オリンパスイメージングと松下電器産業(パナソニック)は、8月5日、都内でレンズ交換式デジタル一眼レフカメラシステムの新規格「マイクロフォーサーズシステム(Micro Four Thirds System)」の発表会を行なった。会場にはオリンパスイメージングの社長をはじめ、多くの関係者が集った。
最初に挨拶に立ったのは、大久保雅治 オリンパスイメージング 代表取締役社長。「2007年のデジタルカメラ総出荷台数は1億台を突破した。CIPAの予想では2010年には1億2,650万台、一眼レフは1,121万台になるという。しかし、それでもまだ1割に達しない。デジタル一眼レフ市場を活性化させるため、さらなる提案が必要だと考えている。デジタル専用のフォーサーズシステムを提案し、商品を提供してきたが、今回、フォーサーズの一番の特長である機動性に磨きをかけるために、規格を拡張したマイクロフォーサーズシステムを提案する」と力強く宣言した。
続いて松澤良紀 オリンパスイメージング 開発本部開発企画部課長が、マイクロフォーサーズの概要について解説した。「フランジバックをフォーサーズシステムの1/2としたが、これは現在の一眼レフシステムではもっとも薄いものとなる。ボディを小型化するだけでなく、特に広角レンズの小型化なども可能になる」という。マウントについては小径化とともに信号接点の2点増加を解説した。「より速い通信を可能にする2本の信号線を追加することで、レンズとボディのコミュニケーションの速度、密度が高まり、高速で滑らかなレンズ制御が可能になる。これによりライブビューの快適化や、静止画・動画のボーダレス時代への対応が可能になる」と語った。
3人目の小川治男 オリンパスイメージング SLR事業本部本部長は、マイクロフォーサーズの可能性や市場性について解説した。「一眼レフの比率はまだまだ少ないと考えている。調査によると、一眼レフの購入を検討したが見送ったというお客様が20%ほどいる。デジタルカメラは1億台に届こうという市場で、一眼レフの潜在市場は2000万台にもなる。一眼レフを検討しても買わない理由としては、価格の面を除けば、大きい重いということ、それと簡便さや気軽さに欠けるという点に集約される。オリンパスが進めてきたライブビュー機能の充実を含め、マイクロフォーサーズにより、この潜在市場に応える製品の提供が可能だと考えている」と語った。
CIPA発表のカメラ年間出荷台数の推移 |
同じく、カメラ全体に占める一眼レフの比率の推移 |
最後に壇上に立ったのは、吉田守 パナソニックAVCネットワークス社副社長。パナソニックのカメラ事業に対する取り組みなどについて解説した。「デジタル一眼レフ普及の初期には、銀塩(フィルム)一眼レフからの乗り換えが中心だったが、現在ではファミリー層、それほどカメラには詳しくないが子供の一瞬の笑顔をきれいな画質で残したいといった層が中心。そして急速に増えているのが女性の写真愛好家。街の中で一眼レフをもった女性を見かけることも珍しくはない。しかし、携帯電話のカメラ機能やコンパクトデジタルカメラに慣れた人にとっては、一眼レフはまだまだむずかしく、重いという印象が強いようだ。簡単に使え、軽く、それでいて一眼レフと同等の高画質をもったデジタルカメラが求められていると考えている。マイクロフォーサーズは小型軽量はもちろん、コンパクトから乗り換えても違和感のないフルタイムライブビューを備え、シームレスに使える操作性、広角レンズも含めてシステムで小型化できる規格。松下電器は動画機能への発展も視野に入れた、デジタル時代にふさわしい商品を提供する予定」と宣言した。
その後の質疑応答では。具体的な商品はいつ登場するのかという質問が繰り返されたが、オリンパス、パナソニックとも、「それは今後に期待してほしい」と、時期については明確にしなかった。フランジバックの短縮によりボディが大幅に小型になるため、一眼レフ特有のミラーユニットは入らず、ミラーを使わないオートフォーカス(コントラスト検出式AF)が使われることも、質疑応答で明らかになった。また、従来のフォーサーズと新しいマイクロフォーサーズのどちらを中心に展開するのかという質問については、「どちらを優先ということはない」と、既存のフォーサーズユーザーにはホッとするコメントもあった。
具体的な製品は見ることができなかったが、大きさ比較のためのサンプルは展示された。目算ではフォーサーズでもっとも小さなE-420よりも、体積比で1/2程度に収まるようだ。E-420でも他マウントでは追いつけないほど小さいが、マイクロフォーサーズは画期的なサイズに収まる可能性がある。いまから製品が非常に楽しみである。