PMをサポートする「Microsoft Office Project Standard 2007」

こうした厳密な見積もりや計画の作成は、プロジェクトマネージャの個人的な経験則とExcelでは手にあまるだろう。プロジェクトの計画や予算管理、進捗状況の把握、計画の修正といったプロジェクトマネージャの業務をサポートするツールが必要となる。これに対応するものとしてマイクロソフトが提供するのが「Microsoft Office Project Standard 2007」だ。

標準化された業務プロセスをテンプレート化して利用することで、プロジェクトのスケジュール作成が容易に行えるようになる。タスクに必要な期間とタスクごとの前後関係を設定することで開始日や終了日が自動算出されるのはもちろん、あらかじめ設定してある業務カレンダーから休日を計算に入れたスケジュールが作成される。リソースの割り当てを行うときには、有給休暇等を含めた開発者のスケジュールや作業の空き情報を自動的に取り込むこともできる。また、同時に割り当てられた開発者の単価を反映してフェーズごとのコストも計算される。

Project2007(出典:マイクロソフト)

こうして作られたスケジュール表には、その進捗状況がプロジェクト全体に影響する「クリティカルパス」を赤色で表示したり、発生するコストの差などを視覚的に把握するためのマークを表示することなどができる。プロジェクト進行中には進捗状況を同時に表示することも可能だ。

進捗が遅れているプロジェクトはマークや色で判別できる(出典:マイクロソフト)

「自動計算機能を利用すれば、再計画時にもさまざまな状況を想定したシミュレーションを簡単に行うことができます。また、プロジェクト終了時にはその結果を新たなテンプレートとすることで、培われたノウハウが次のプロジェクトに引き継がれるという仕組みです」と相場氏はその利便性を語る。

小規模なベンダーや進行基準への対応を始めた初期には「Microsoft Office Project Standard 2007」をプロジェクトマネージャがスタンドアローンで利用すれば、導入コストを抑えることができる。一方で、大規模なプロジェクトでは進捗状況の報告等をプロジェクトマネージャだけで把握するのは困難だが、「Office Project Server 2007」を介して、開発者がOutlookから作業実績を報告できるようにすることもできる。最終的には会計システムと接続してプロジェクトごとの個別原価を会計システム上で処理することも可能だ。

Office Project Server 2007を利用するとOutlookやブラウザから各自が進捗を入力できる(出典:マイクロソフト)

こうしたツールを活用することで、「工事進行基準」への対応も難しいものではなくなる。むしろ、計画性のあるソフトウェア開発が可能になるだろう。

「これからは工事進行基準に対応して成長して行くベンダーと、対応することを諦めて完全に派遣型に移行するベンダー、という具合に二極化が進む可能性があります。成長のためには工事進行基準への対応が必要ではないでしょうか」と相場氏はITベンダーの積極的な取り組みを勧めている。