iPhoneも音声よりはデータ通信を特に考慮した端末だが、これまで収益の柱だった音声収入は、「人間がしゃべることなので、これ以上はしゃべれない」(同)であり、一定の限度で収入が打ち止めになるという認識だ。

3Gまでは音声収入の方が大きいが、今後はデータ収入が上回る見込み

しかし、「それを補ってあまりあるデータ収入が得られる」(同)のだ。ネットへのアクセスは、これまではPCが中心だったが、携帯からのアクセスが急激に増えているという。例えばSNSサービスのmixiでは、07年秋にPCからのアクセスを携帯からのアクセスが追い抜いた。こうした傾向は今後も続いていく見込みだ。

さらに、ソフトバンクの端末に「Y!」ボタンを新設して簡単に携帯からネットにアクセスできるようにしたところ、Yahoo!ケータイへのアクセスは約100倍に跳ね上がったということで、わずかな工夫で携帯からのアクセスは飛躍的に伸ばすことができるという。「UIがいかに重要かを如実に示した例」(同)だという。

2.M@mixiとYahoo!ケータイへのアクセスの推移

そのほか、松本副社長はソフトバンクのカバーエリアが他社に比べて「一歩遅れている」と認めた上で、少しずつ、着実にエリアを拡大していくことを約束。さらに、2010年には現在の2Gで使っている1.5GHz帯を返納するため、この周波数帯を改めて獲得する意欲を示す。これを使って3.9Gのネットワークを構築していきたい考えだ。

一般的に3.9GというとW-CDMA陣営ではLTEを指すが、この区分は特に決められたものではないため、松本副社長はHSDPAの拡張仕様HSPA+も3.9Gとして展開を目指していくという。HSPA+は「10MHzなら利用効率がほぼLTEと同じ」(同)であり、既存のシステムを比較的低価格でアップグレードできる点がメリットだ。

それに対して「LTEはまだこれから」(同)であり、当初はシステムのコストが低廉化しないことからまずはHSPA+を導入し、「12~13年ごろに(LTEが)評価できるようになる」と予測する。将来的にはLTEにアップグレードしていくことを検討しているようだ。

ただ、3.9G/4Gになっても、将来的に携帯端末は大量のトラフィックを扱うことになると松本副社長。これをすべて携帯網でまかなうのは無理があるとして、利用場所やサービスによってFMC、3.9G/4G、ブロードキャストといったさまざまなネットワークを使い分ける「合わせ技」(同)が必要だという。