NEC執行役員 モバイルターミナル事業本部長 山崎耕司氏

ワイヤレスジャパン2008の初日、NEC執行役員でモバイルターミナル事業本部長の山崎耕司氏が、「次世代ネットワークにおけるNECのターミナル戦略」と題した基調講演を行った。

山崎氏は、携帯電話の発展の歴史を振り返るところから講演をスタート。1996年ごろに1,078万の契約者数となったポケットベル、1999年にサービスを開始したiモードの登場により「ボイスコミュニケーションからテキストコミュニケーションの時代に大きく変化した」と説明。その後、カメラやワンセグなどAV家電の機能の搭載や、デザインやカラーの洗練・多様化について触れ、「携帯電話は、ファッションの要素など個性を主張するアイテムへと変化している。単なる通信ツールから、コンシューマー製品に変化してきた」と解説した。

携帯電話は、単なる通信ツールから、コンシューマー製品へと変化したと説明

またシャープの「AQUOSケータイ」や、パナソニック モバイルコミュニケーションズの「VIERAケータイ」など、他社の携帯電話がIT家電の認知度をベースに商品展開を行う現在の状況に対して「NECは出遅れてしまった」と現状を語った。

そのような状況で、NECの強みである通信機器としての基本的な機能やPC機器メーカーとしての信頼感をベースに、個々人が満足できるハードウェアを展開していくと説明。端末のデザインやカラー展開、ファッションやインテリアブランドなど企業とコラボレーションした端末の開発に注力するとした。例として、講談社の女性ファッション誌「ViVi」、バッグ・アクセサリーブランドの「サマンサタバサ」とコラボレーションした「N906iμ Pink Diamond」、人気のインテリア・雑貨ブランド「Francfranc(フランフラン)」とコラボレーションした「N706i」の好調な売れ行きを紹介した。コラボレーションモデルの展開により、多様化するユーザーニーズに対応した商品を展開していくとした。

NECの歴代コラボレーションモデル

NECの考える次世代ケータイコンセプト

また携帯電話やPCなどの端末に加えて、無線通信技術、サーバー、ネットワークのインフラを含めた商品を単独で提供できる「総合力」もNECの強みと説明。総合力を活かしたNECオンリーの商品を提供し、新たな市場の開拓を目指すとしている。

山崎氏の講演後、NECが目指す具体的な商品のデザイナーの視点からの提案として、同社クリエイティブディレクターの磯野氏がコンセプトモデルを発表した。磯野氏は、撮影した動画をその場で編集でき、ストリーミングでサーバーに保存できるなど映像機能にフォーカスした「Mobile Broadcast」や、筐体やキー部分を簡単に取り替えられるなど広いカスタマイズに対応し、コラボレーションモデルとしての展開も視野に入れた「Simple Clam Shell」など4モデルを発表。「NECが持つ、クライアントサーバーの強み、コラボレーションデザインの力を総合力として商品展開をしていく」と述べた。

映像機能にフォーカスした「Mobile Broadcast」

撮影時に時間とフレーム数を自由に設定可能な小型カメラを備えた子供向け端末「Mobile Kid's Lab」

筐体やキー部分を簡単に取り替えられる「Simple Clam Shell」

薄型ケータイの正常進化の提案「Super Slim」

講演ではiPhone 3Gについて語られる場面もあった。山崎氏はiPhone 3Gについて、「iPhoneのUIは、非常におもしろい。アップルはユーザーの目線を持っていると感じた。iTunesとの連携などクライアントサーバーモデルによってサービスの形がかわっていくビジネスモデルはすばらしい」と評価しながらも「あの形のままで、すべてのユーザーが満足するかといえば、必ずしもそういうものではない。画面の大きさや形、カラーバリエーションなど、多様なユーザーニーズがある」と主張した。