最後は消費電力のテスト結果を紹介したい。CPUに関してはEISTをオフとして、GPUの電力変化のみをピックアップしている。また、GeForce 8800 GTSに関してはカードの初期設定に戻してある。

アイドル時のRadeon HD 4850の消費電力は、やはりRadeon HD 3850よりは25Wほど高くなっているが、GeForce 8800 GTS 512と比べればやや低いというところ。ただ、負荷時も合わせて全体的に見ればGeForce 8800 GTS 512とあまり変わらない。特別、低消費電力というほどでもないが、バカ食いするというほど高くも無い。また、高負荷時に関して言えば、ベンチマークスコアでRadeon HD 4850シングルはRadeon HD 3850のCrossFireX構成に近い数値を出しているのに対し、消費電力はそれ以下に収っている点もポイントが高い。

大雑把な計算だが、CPUその他システムが100W前後、Radeon HD 3850がアイドル時20W/枚、Radeon HD 4850が45W/枚といったところだろうか。Radeon HD 4850がピーク時110Wというオフィシャルの数値ともおおよそ合っている。

消費電力とセットで考えたい発熱だが、ここはリファレンスカードがデメリットとなっている印象を受けた。Radeon HD 4850のテスト後のヒートシンク温度はかなり高く、火傷をしそうなほど。確かにRadeon HD 3850も温度は熱かったがそれを上回っている。Radeon HD 4850が1スロット厚のクーラーでも大丈夫という設計面は評価できる。しかし少し余裕を持って2スロット厚のクーラーを採用した方が良いのではないだろうかと感じた。今回消費電力でそれほど差がでなかったGeForce 8800 GTS 512は、2スロット厚のクーラーを備え、テスト直後に触ってもそこまで熱いことはない。今はまだリファレンスデザインのカードが主流だが、交換可能なGPUクーラーが登場する、あるいは各社オリジナルデザインのファンを搭載するようになってくると、さらに扱いやすくなるのではないだろうか。

まとめ

Radeon HD 4850は、ベンチマークテストのスコアでも、実際のゲームタイトルでのベンチマークでもかなり良好なスコアを示している。もちろん、トップエンドのスコアと比較するものではないが、1600×1200ドット近辺までは、DirectX 9タイトルなら高画質オプションを有効にしても快適なラインで、DirectX 10タイトルではできればCrossFireX構成を選びたいといったところだろう。今回、GeForce 8800 GTS 512というNVIDIAでは1世代古い、トップエンドの1つ下に位置するカードを比較に選んだが、こちらとは同等以上の勝負をしているのが良い印象だ。型番からも想像できるとおり、上位モデルも控えており、こちらはさらに上のライバルといい勝負をしてくれると思う。

Radeon HD 4850を搭載するグラフィックスカードは既に店頭に並んでいて、価格も2万円台前半~半ばと性能から考えれば安価だ。売れ筋の価格帯にも近く、価格対性能のバランスもはなかなか良好である。CrossFireX構成で2枚揃えても5万円程度でなんとか収まる。ライバルNVIDIAもGeForce 9800 GTXを199ドルに値下げし、さらに9800 GTX+を追加した。このあたりの価格帯で3D FPSのハイエンドタイトルが快適に楽しめるとなると、PCゲームのニーズ、PCで3Dゲームしてみようという動きも高まってくるのではないだろうかと期待したいところだ。