地球環境にやさしいIT製品などを指す「グリーンIT」が、昨今話題となっている。これまでは製品の素材に有害物質が含まれていたり、リサイクルしにくいといった問題が多かった電化製品だが、自然環境へ配慮する視点から、グリーンITに対する動きは世界的に強まり続けている。

とはいえこれに関する目立った動きというのは、韓国内でもそれほど多く見られなかったが、このたびSamsung ElectronicsがグリーンITを体現した携帯電話2機種を発表した。

「SCH-W510」は、バッテリカバーなどに「バイオプラスチック」が使用されている。バイオプラスチックというのは、植物などを原料としたプラスチックで、微生物によって分解可能である点が特徴だ。

これにより既存のプラスチックのように、焼却すると有害物質が出たり、微生物によって分解されずに残り続けるといった公害が出にくくなる。今回の製品には、とうもろこしのでん粉で作られたバイオプラスチックが適用されているという。

表面には抗菌塗料を使用することで、雑菌などの発生が最大限防げるようになっている。6月末、韓国市場でSK Telecom向けに販売される予定だ。

バイオプラスチックを使用している「SCH-W510」

一方「SGH-F268」は、携帯電話本体をはじめ、充電器やヘッドセットといったアクセサリにいたるまで「BFRs(臭素系燃料剤)」や「PVC(塩化ビニール)」を使用していないのが特徴だ。BFRsやPVCは「環境ホルモンを発生させ、癌を誘発する有害物質」(Samsung)ということで、人体への悪影響が大きな物質。実際に環境団体でも使用禁止を訴えるキャンペーンが行われたりしている。

Samsungは、地球環境への意識向上や都市作りを目指した「グリーンオリンピック」を掲げる、北京五輪の公式スポンサーとなっている。こうしたことでSGH-F268も今月中に、中国市場で販売される予定だ。

"グリーンオリンピック"公式スポンサーとしての象徴的な製品「SGH-F268」

また五輪の公式スポンサーであるかどうかに関わらず、世界各国で携帯電話を販売しているSamsungにとって、グリーンITが注目されている昨今、環境への配慮は避けて通れない取り組みだといえる。

EUによって発令された、電化製品に鉛やカドミウムなどの有害物質を含まないという内容の「RoHS(Restriction of the Use of CertainHazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment)指令」を守るといった活動はすでに基本。自社的には2009年から開発される製品についてはBFRsを、2010年から販売される製品についてはPVCを、それぞれ使用しないことにする方針も立てている。

さらに「(使い終わった)廃携帯電話の回収に積極的に参加することで、携帯電話の生産からリサイクルにいたるまでの全過程において、人体への害を最小化し環境を保護する」(Samsung)とのこと。

グリーンITの注目度上昇と北京五輪開催という2つが重なった今、IT業界の環境保全への取り組みにも弾みがついている。Samsungの活動も、いよいよ本格化してきたといえる。