セットアップも独特

さて、実際にHybrid SLIのベンチ検証に入る前に、今回の実験環境と、Hybrid SLI特有のセットアップの"キモ"を軽く紹介しておきたい。テスト環境は下表の通りだ。

CPU Phenom X4 9850 Black Edition
マザー ASUS M3H-SLI Deluxe/Mempipe
メモリ DDR2 800 1GBx2
HDD ST3500630AS
OS Windows Vista Ultimate SP1
ドライバ ForceWare 175.16
nForce Driver 18.11

今回試したASUSTeKのHybrid SLI対応マザー「M3N-HT Deluxe/Mempipe」。PhenomやAthlon 64 X2ファミリーで登場が待たれていた待望のSLI対応最新チップセット「nForce 780a SLI」を採用している

Hybrid SLIはセットアップの方法からして独特だ。Hybrid SLIを利用するには、まず第1にマザーのBIOSが対応している必要がある。今回はASUSTeKから直接入手した最新β版「0701」で実験を行なった。

Hybrid SLI対応BIOSを導入すると、「Hybrid SLI」の項目を「Auto」に設定することができるようになる(非対応BIOSではグレーアウトしていて変更不可)。Disabledにすれば、普通の統合型チップセットとして動作する

Hybrid SLIを使う前にもう1つ、最優先で利用するGPU(Primary Display Adapter)を「OnBoard」に設定しておこう

また、Hybrid SLIでは「グラフィックスカード側にディスプレイを接続しない」という点もユニークだ。ディスプレイのケーブルはマザー側のディスプレイ出力コネクタへ接続する。グラフィックスカード側でレンダリングされたデータはチップセットへと転送され、そこから外部へ出力されるのだ。

Hybrid SLI環境をセットアップすると、タスクトレイまたはコントロールパネル内に設定を変更するための項目が追加される。

コントロールパネル内にある専用のアイコンを開くと、設定が変更できるようになる。8400 GSのようなローエンドGPUと組み合わせた場合は「Boost Performance」、即ちGeForce Boostのみが選択できる。下の選択肢はグラフィックスカード側のGPUもマルチディスプレイ用に使う、いわば"何もしない"モードだ

9800 GTXのようなハイエンドGPUと組み合わせた場合はHybridPowerにあたる「Save Power」も選択可能になる

設定の変更はタスクトレイに常駐するアイコンからでも行なえる。テストの時点では完成度に問題があった(後述)ため、このアイコンが大活躍した