同社の車載用半導体ビジネスは、「マイコン」、「パワー半導体」、「センサ」の3つのカテゴリを中心に展開されたきた。
センサは「ホール素子や圧力素子といった機能素子と回路集積の組み合わせを実現すること」(土屋氏)を、マイコンでは「自動車向けに開発された専門アーキテクチャに基づいた設計思想を実現することにより、他社のマイコンに比べコード効率を高めている」(同)ことを、パワー半導体では、「IGBTやMOSFETといったパワー半導体と回路集積を組み合わせることによるインテリジェント化」(同)ことをそれぞれ特長としたソリューションを提供してきた。
特にインテリジェントパワー半導体は、日本市場を意識して設計、製造されたデバイスなども提供しているほか、トランスミッション系のアプリケーション用ICではディザコントロールによりバルブのヒステリシスを抑制することを可能にするなど、アプリケーションを念頭においた製品が提供されている。
また、「2009年には130nm CMOSプロセス採用のLSIを集積したパワー半導体を投入することにより、IGBTから大規模集積回路搭載製品まで幅広いラインナップが揃うことになる」(同)という。
一方、センサ関連では、表面マイクロマシニング技術やバルクマイクロマシニング技術、ホール効果やGMRによる磁気センサなどを提供しているほか、高周波Si技術として無線通信関連製品の提供も行っている。キーレスエントリの送信および受信ICなどが中心となっているが、現在、SiGeを用いた77GHzミリ波レーダーのフロントエンドチップの開発を進めており、2009年には市場に投入できるようになるとしている。
マイコン関連では、独自のCPUコア「TriCore」を搭載した「AUDOファミリ」を積極展開している。TriCoreは、32ビット RISCロード・ストア ハーバードアーキテクチャを採用しているほか、マイコン機能としての高速割り込み応答やペリフェラルサポートの統合、DSP機能を組み合わせた自動車向けに専用化された32ビットCPUコアである。
AUDOファミリは現在、第2世代品となる「AUDO-NextGeneration(AUDO-NG)」が提供されている。AUDO-NGは130nmプロセスで製造され、2MBのフラッシュメモリを搭載、最大150MHz動作が可能である。また、現在、第3世代品となる「AUDO-FUTURE」の開発が進められており、メインストリーム向け製品が2008年春に、フラグシップとなる製品が同秋頃に、ローエンド向け製品が同年末までにそれぞれ提供を開始する計画となっている。
AUDOファミリは、2008年の1年間だけで約600万個の出荷が計画されており、マーケットシェアは9%を獲得する見込みである。すでに複数の自動車メーカーが次世代の自動車での採用を予定しており、2010年にはマーケットシェア31%(2007年から2010年までのCAGRは72%)を獲得できる見通しとしている。
AUDO-FUTUREの採用プロセスは130nmと、プロセスそのものはAUDO-NGと変わりはないが、動作周波数は最大180MHzまで引き上げられているほか、フラッシュメモリも4MBに引き上げられている。また、FlexRayコントローラを搭載することで、次世代の車載ネットワークにも対応する。
現在、同社では第4世代AUDOの開発に向け、自動車メーカーなどと仕様策定に向けた協議を重ねている段階にあるとしており、今年中にヒアリングを終え、2009年からの開発を目指すとしている。
なお、インフィニオンテクノロジーズジャパンでは、今後、「ゼロppmおよび品質対応力の強化」「ものづくり、日本メーカーにない戦略開発製品の計画実現」「日本での事業対応力強化」という3つの挑戦を行っていくことで、日本地域における車載事業を2013年に現在の3倍のマーケットシェアを獲得し、世界市場でもトップシェアを有する車載用半導体メーカーを目指すとしている。