オライリー・ジャパンは4月20日、DIY雑誌「Make」のユーザー参加型イベント「Make: Tokyo Meeting」を初開催した。日本全国から"Maker"が集まり、独創的な作品が多数出展された会場は熱気が充満。DIYの新たなムーブメントを感じさせるものになっていた。

会場となったK. International School Tokyo(東京都江東区)。グラウンドでは実演も

メイン会場は体育館。ステージ上では出展者によるプレゼンテーションも行われていた

雑誌「Make: Technology on Your Time」は、DIYにフォーカスした季刊誌として米O'Reillyが2005年3月に創刊。最新刊は「Volume 13」になっており、現在は日本語版も書籍シリーズとして刊行されている。ちなみに英語版Volume 01では、「カイトを使った空撮」などのプロジェクトが紹介されている。

今回の「Make: Tokyo Meeting」は、「ユニークなモノ作りを行っている"Maker"の発表の場、そして交流の場として企画した」(主催者)というイベント。20以上の個人・団体が出展しており、初開催ながら、400人を超える来場者があった。第2回目も今年10月に開催される予定となっている。

時間的に全てを見ることはできなかったのだが、ここでは筆者が注目した展示についてピックアップして紹介していきたい。

超強力な自作バズーカ

最もインパクトが大きかったのがN.I.T. 物理体感工房が出展していた「真空バズーカ」。大気圧を利用してテニスボールを発射するもので、グラウンドでは試射のデモが行われていた。

これが「真空バズーカ」。非常にシンプルな装置だ

片側にはテニスボールとペットボトル、反対側にはキャベツが仕込まれる

"砲身"は一般的な塩ビ製のパイプを使用。この両端にフタをし、内部の空気をポンプで抜いた後に一方の端のフタを外すと、中に置かれたテニスボールが大気圧で押し出されて発射されるという仕組み。その威力はキャベツに大穴を開けるほどだ(実験後のキャベツは出展者の学生が食べていた)。

キャベツに命中した瞬間

ボロボロになったキャベツ。その後は、出展者の食料に

発射されるテニスボールの速度は4~500km/hにも達するとか。今回使われた真空バズーカの長さは3m強だが、長ければ長いほど加速時間は増えるというわけで、「8m砲」ではテニスボールが「黒こげになった」という恐ろしい逸話も。

動画

発射のデモ動画。片端のアクリル板を勢いよく落とすのがトリガとなる

動画

別のデモ動画。テニスボールの勢いでキャベツが吹っ飛んでいる

ちなみに会場にはカシオの高速撮影デジカメ「EX-F1」が持ち込まれており、その動画ファイルが上記リンクのサイトやYouTubeで公開されている。そちらも必見。

新感覚の乗り物? 自作ホバークラフト

自作したホバークラフトのデモを行っていたのはフリーライターの高橋隆雄氏。ホバークラフトというと何やらややこしそうだが、これは合板にビニールシートを貼り付けただけのもの。こんな単純なものでも、送風機でビニールシートの中に風を送り込めば、十分ホバークラフトになるのだ。

自作感あふれるホバークラフト

上には送風機が取り付けられている

スカート代わりのビニールシート底部には穴がいくつか開いており、ここから吹き出る空気によって地面との間にわずかな隙間ができる。この空気の膜によって地面からの抵抗がほとんどなくなり、まるで滑るように進める、というわけだ。送風機は3万円くらいとのことだが、大人の男性が乗ってもちゃんと動いていた。

大人の男性が乗ってもちゃんと動く。操作は子供の方がうまいかも!?

動画

試乗が可能だったので、次から次へと来場者が挑戦していた。筆者も乗ってみたのだが、重心移動が微妙で結構難しい

ただし推力のための機構は装備していないので、このままでは地面の傾斜や風に押されて勝手に進むことになる。任意の方向に進みたければ、扇風機を持つなどの工夫が必要になるだろう。

人間搭乗型の自作ロボット

タイミングが悪く、残念ながら動作デモを見ることができなかったのだが、KIMURA氏の"二足自走機"「フッタウェイ」もなかなか面白そう。ただYouTubeにアップされた動画ファイルを見た限りでは、乗り心地は良くないというか、むしろ悪そう?

二足自走機の「フッタウェイ」。50ccのエンジンで動く

この犬型ロボット?もエンジンで動く

歩行スピードはゆったりしているが、しっかり前進している

ローコストの自作プラネタリウム

自作プラネタリウムというとメガスターの大平貴之氏が有名だが、ヒゲキタ氏も10年間、自作のプラネタリウムで全国に出張投影をしてきた人物。これまでの総入場者数は10万人近いとのことで、会場でも各回満員の大人気となっていた。

エアドーム式の自作プラネタリウム

投影ドーム(直径4m)はなんとポリ袋製で、扇風機で中に風を送り込んで膨らましているという。投影機は豆電球を使ったピンホール式。材料費はかなり安そうだが、約6,000個の恒星を投影することが可能となっている。