富士通の「FMV-BIBLO NF75Y/D」

30万円を超える据え置きノートが何でもこなせるのは当たり前。しかし、20万円前後の中位モデルになると、地デジ放送やDVD視聴ができてビジネス用途にも使えるような万能型は、意外と数が少ない。富士通の「FMV-BIBLO NF75Y/D」は、その条件を満たした貴重なモデルだ。

AVでもビジネスでも活躍できる構成

FMV-BIBLO NF75Y/Dは、富士通の標準的な据え置きノート「NF」シリーズの最上位にラインナップされる15.4型ワイドノートだ。地上デジタルチューナーを1基搭載しているので、テレビ番組を160GBのHDDに録画したり、録画データをDVDスーパーマルチドライブを使ってDVDに書き出したりすることができる。色純度約72%のスーパーファインDXII液晶により、映像の表現力は上々だ。また、キーボード面をフルに活用し、キーピッチ18mmを確保しながらテンキーも搭載している。WordやExcelをパッケージングした「Microsoft Office Personal Edition 2007」をプリインストールしているので、これ一台で表計算ソフトでの数値入力が効率的にこなせる。

FMV-BIBLO NF75Y/Dのキーボード面。やや縦長のテンキーを右脇に配置している。テンキーと矢印キー以外の配置は標準に近く、機種を乗り換えても違和感が少なくて済む

テレビ機能に注力したモデルはビジネス向けの機能を最小限に留めている場合が多く、本機のようにキー入力の機能性を追求するのは珍しい。地デジとテンキーという、用途の異なる付加価値を搭載しているのがFMV-BIBLO NF75Y/Dの最大の特徴といえるだろう。AVノートの割にHDDの容量が少なく、ビジネス向けながらPowerPointを搭載しないなどの弱点もあるが、"何でもできる"潜在能力を備えて店頭で20万円以下の低価格に抑えているのは、高く評価できる。

豊富なインタフェースで拡張性は十分

多彩なシーンで対応するべく、基本性能は十分に高い。CPUとメモリはCore 2 Duo T7250(2.0GHz)と2GB DDR2 SDRAM PC2-5300(1GB×2、最大4GB)。最近店頭でWindows Vistaマシンを選ぶ指標のひとつになっている「デュアルコアCPUで2GBメモリ」の条件をクリアしている。ただし、富士通独自のスタートアップ機能が多いこともあり、完全に起動が完了するまでに1分30秒近くかかるなど、電源投入からの待ち時間は長く感じた。ただし、アプリケーションを起動したあとのレスポンスは上々だ。3DMark06のCPU Scoreの1589という数値が、高性能を裏付けている。一方の3DMark06 Scoreは562だが、チップセット内蔵グラフィックスコア(Intel GMA X3100)を使ったマシンとしては優秀なほう。繊細な描画にこだわらなければ、オンラインゲームが無理なく楽しめるレベルといえる。ギガビットイーサネットとIEEE802.11a/b/gに対応しているので、最近のブロードバンド回線を使っているなら、インフラ側のボトルネックも感じないだろう。

そのほか、外部インタフェースの数が多く、周辺機器の選択肢が幅広いのがうれしい。SDカードとメモリースティック、x-Dピクチャーカードに対応するカードリーダーを備え、拡張カード用にPCカードとExpressカードの新旧スロットを搭載。PCを乗り換えた直後は、以前から使っていたPCカード端末を使い、数年経ったらExpressカード端末に切り替えるといった柔軟な付き合い方ができる。ただし、USB端子を5基備えているのは魅力だが、右側面に1基しかないのは不便に感じた。マウスを接続すると、USBメモリを背面に装着しなければならない。汎用性が高く着脱頻度も高い端子だけに、すぐ手の届く位置に複数個ほしいところだ。

本体正面。ワイヤレスLANのスイッチとマイク/ヘッドフォン端子を配置している

本体右側面。拡張カードスロットやカードリーダー、USB2.0、IEEE1394端子など、頻繁に使う端子が並ぶ。それぞれの干渉に気をつけながら利用することになりそうだ。ちなみに、左側面にはDVDドライブのみが置かれている

本体背面。USB2.0端子を左右に2基ずつ配置している。スペースに余裕があるので、常設するケーブルが干渉することはない。左側のUSB端子は開けておくのがベター

総合力の高さが魅力

据え置きモデルのため、バッテリー駆動時間は公称値で約1.4時間と少ない。液晶ディスプレイの輝度を最大にし、省電力機能を無効化した状態で「FINAL FANTASY XI Official BenchMark」のデモモード(Lowモード)をループさせたところ、46分で電源が落ちた。やはり、ホームモバイルするにしても、電源ケーブルから離すのは一時的な使い方と考えた方がよさそうだ。

全体を通してFMV-BIBLO NF75Y/Dをみると、AV用途やビジネス用途など、各分野に特価したモデルには、機能面で引けをとる部分もみられた。それでも、HDD容量が少なすぎるわけではなく、仕事用に使えない決定的な弱点はない。すべてを"中の上"でまとめているあたりが、このモデルの真骨頂といえる。「とりあえずパソコンを買って、色々なことを試してみたい」という人には、ベストパートナーとなるはずだ。

ベンチマーク

3DMark06(800×600ドット) CPU Score 1589
3DMark 562
フルパワーモードにてFFBenchをローモードでループさせたバッテリ持続時間(9セルバッテリ使用) 46分

スペック

CPU Core 2 Duo T7250
チップセット Intel PM965 Express
メモリ 2GB(最大4GB)
グラフィックスチップ チップセット内蔵
ディスプレイ 15.4型ワイドTFTカラー液晶(スーパーファインDXII液晶、1280×800ドット)
HDD 160GB HDD (SATA、5400rpm)
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
有線LAN 内蔵(10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T)
無線LAN 内蔵(IEEE802.11a/b/g)
Bluetooth なし
モデム なし
Webカメラ なし
その他の主な機能 指紋センサー、テンキー、地上デジタルチューナー
メディアカードスロット 内蔵(SD/MS/xD対応)
拡張カードスロット ExpressCard/54/34スロット、PCカードスロット(TYPEI/II)
インタフェース 外部ディスプレイ(D-Sub15ピン、Sビデオ出力)、USB2.0×5、ヘッドホン出力、マイク入力、IEEE1394(4ピン)
本体サイズ 360(W)×265(D)×33.5~38.2(H)mm
本体重量 約3.0kg(バッテリーパック装着時)
バッテリ駆動時間(公称) 約1.4時間(付属バッテリーパック時)
OS Windows Vista Home Premium
WEBMART価格 18万1,800円から