米国時間の2月23日、Netscape Communications社 (当時、以下NC社) が「Mozilla.org」を開設してから10周年を迎えた。まもなくオープンソース化されたNetscape Communicator 5.0の資産は、現在では活用されていないものの、同団体の設立はWebブラウザの新時代が始まる画期的な出来事だったといえる。

誕生から10年の「Mozilla.org」(画面は開発中のFirefox 3.0 β3)

NC社は、米国時間の1998年1月22日、Netscape Communicator Standard Edition 5.0のソースコードを公開すると発表。同年2月23日に設立されたMozilla.orgは、Mozilla Application Suiteの開発への協力を目的としたもの。同年3月31日には、Netscape Communicator 5.0早期スナップショットの一部のソースコードがNPL (Netscape Public License) のもと公開され、同団体における開発が正式にスタートした。

Mozilla.org設立当初は、ブラウザーのNavigator、HTMLオーサリングツールの「Composer」、Netscape Communicatorの一括管理用ツールの「AutoAdmin」のソースコードが対象とされたが、1998年5月12日にはメールクライアント機能の「Messenger」を公開、クライアントソフトの大半がオープンソース化された。

その後Mozilla.orgは、1988年11月のAOLによるNC社買収後も活動を続けたが、2003年の規模縮小に伴い非営利団体の「Mozilla Foundation」を設立。Mozilla.orgの資産や知的財産権はMozilla Foundationへ移譲され、AOL / Netscapeとの関係は終了している。

なお、NC社はNetscape 5.0のリリースを予定していたものの、Mozillaでは新しいコードベースに基づくレンダリングエンジン「NGLayout (後のGecko)」の開発を平行して実施。パフォーマンスに優れるGeckoが採用されることになり、それまでのMozillaブラウザ (Mozilla Classic) は破棄され、新Mozilla (コード名:SeaMonkey) に移行した。現在のFirefoxなどのMozilla系Webブラウザは、このSeaMonkey由来の技術をベースに開発されている。