Mobile World Congressが開催されたスペイン・バルセロナ。街行く人々を観察してみると、だれもが携帯電話片手に通話をしたりメッセージを送りあったりしている姿を目にすることができる。そんなバルセロナの携帯電話事情を追いかけてみた。また外国人でも現地の携帯電話を買えるのだろうか? 現地で実際に試してみた。

スペインの携帯電話事情

人口約4,300万人のスペイン。携帯電話普及率は80%を超えている。利用されているシステムはヨーロッパのほかの国同様、GSM(900/1800MHz)およびW-CDMA(2100MHz)方式だ。最近では高速パケット通信規格のHSDPAも開始されている。

SIMカードを利用するため、端末本体と回線契約は完全に分離されている。そのためメーカーブランドの端末が普通に販売されており、通信事業者が異なっても同じ端末が販売されていることも普通だ。またSIMロックをかけることで格安――時には無料――での端末販売も行われている。契約とプリペイドの利用比率は半々程度とのことであり、プリペイドSIMカードも各社から発売されている。

古い建物が残るバルセロナの街並み。携帯事業者の広告もあちこちで見かける

メーカーブランド端末が普通に販売されているため、メーカーの広告も多い

携帯電話事業者は4社。シェアトップは固定電話やインターネットサービスも提供している総合通信事業者のTelefonicaである。同社はMovistarという名称で携帯電話サービスを提供している。その後を追いかけるのがVodafoneとOrangeだ。VodafoneはイギリスのVodafoneグループのスペイン子会社、またフランスのOrangeは地場の携帯事業者Amenaを2005年に買収してスペインに市場参入を図っている。そして、W-CDMA方式で最後に市場参入したのがYoigoのブランド名でサービスを提供しているXfera Movilesである。このほかにMVNOが数社存在しているとのこと。

シェアトップのTelefonicaはMovistarの名称で携帯サービスを展開中

ヨーロッパではおなじみのVodafoneはスペインでも営業を行っている

Orangeは地元事業者を買収して市場に参入した

他にもYoigoやMVNO(写真はLebara)など数社がある

また、スペインではTelefonica/Movistarがiモードサービスを提供しているはずである。しかし現在はあまり積極的な販売活動は行っていないようであり、Telefonicaの直営店舗内でも端末やサービスの案内などは見られなかった。海外iモードは苦戦が伝えられることが多いが、ここスペインでも今後の巻き返しが必要なようだ。

バルセロナでプリペイド式携帯電話を買う

スペインはプリペイドの利用比率が高いため、海外からの渡航者であっても現地でプリペイドタイプの携帯電話を購入することが可能だ。GSM圏では一般的なプリペイドSIMカードが販売されており、またプリペイドSIMカードとSIMロックつきの端末をセットにしたプリペイドパックもよく売られている。例えば、ノキア・ジャパンやHTC Nipponが販売しているSIMロックフリーの日本語版GSM/W-CDMA携帯電話を現地に持ち込み、現地のプリペイドSIMカードを装着すれば、日本語の使える現地携帯電話としても使えるわけだ。

現在、プリペイドSIMカード(及びプリペイドパック)を買う場合は身分証明書の提示が必要となっている。また住所の提示を求められることがあるが、その場合は宿泊しているホテルの住所で問題ない。チェックイン時にホテルの名刺をもらっておき、プリペイドSIMカードを買う場合にはそれを見せるといいだろう。

価格はプリペイドSIMカード単体で10~20ユーロ程度から。残高が無くなればリチャージ(残高追加)カードを買って追加入金することが可能だ。また携帯電話とセットのパック品は安いものであれば20ユーロから。あとは同梱の携帯電話の機能に応じて価格は高くなっていくが、SIMロックがかかっているので単体のSIMロックフリー品を買うよりは安い。なお、パケット通信の可能なプリペイドSIMカードもある。試してみたところ、TelefonicaとYoigoのものは特に登録しなくともパケット通信が可能であった。