消費電力および温度
ここまでのテストをみれば、GeForce 9600 GTのパフォーマンスは、ミドルレンジとしてかなり優秀であることがわかる。そこで気になるのは「消費電力」。そこで、「ワットチェッカー」を使い、アイドル時および3D描画時(3DMark06を使用)のシステム全体の消費電力を比較してみた。
9600 GTは8800 GSと同じ65nmプロセスで製造されているため、それなりに消費電力は低くなりそうだが、ストリーミングプロセッサが倍に増えたことで、8600 GTSよりもピーク時で30W以上も消費電力はアップしている。8800 GSと比べるとほぼ同レベルだが、これは各種ベンチの結果から見ても納得できる数値。まあ、結果を出すだけの飯を食らうということである。
一方、9600 GTの発熱はかなり抑え気味だ。リファレンスクーラーを搭載した8800 GTでは、ちょっと使っているとボード全体が熱いと感じるほどだが、9600 GTではボード全体が熱を帯びるといった程度。NVMonitorでGPU温度を監視した結果でも60度未満に収まった。8800 GTが軽く80度近くに達することを考えれば、かなり安心して使えるGPUといえそうだ。
まとめ - 価格が下がればブレイク必至
今回のベンチから、GeForce 9600 GTのパフォーマンスはミドルレンジクラスとしてかなり優秀であることがわかった。スーパーミドルレンジからハイエンドに位置づけられる、8800 GS、そしておそらくは8800 GTの256MB版をも食らう製品に仕上がっているといえよう。むしろ8800 GSは、この9600 GTの登場によって非常に短命な製品で終わる可能性すら出てきた。ボードサイズが大型化したというのはパーツ選びの上でマイナス点といえるが、ライトゲーマーにとってのコストパフォーマンスは極めて高い。ミドルレンジ界に突如出現した超新星といってもよいかもしれない。
ちょっと気になるのは型番最後の符号が「GT」で終わっていることだ。GeForce 8シリーズの8600では、GTの上にGTSが存在する。つまり「9600 GTS」という上位版の登場もありえるということだ。あくまでも「if」の世界となるが、9600 GTSが登場すれば、ハイエンドクラスの「8800 GT」をも脅かす存在として期待できそうだ。
今回の9600 GTのベンチ結果は、GeForce 9シリーズの登場をかなり鮮烈なものにしたが、今後はどのタイミングでどのクラスのモデルを投入するのかが気になるポイントとなる。特にずっと放置されたままのハイエンドモデル「GeForce 8800 GTX/Ultra」の後継となる、真のハイエンドはいつ来るのだろうか? NVIDIAの打つ次の一手を期待しつつ待ちたいところである。