iPhone 1.1.2のインストーラを起動したところ

米Appleは11月12日夜(現地時間)、iPhoneの最新アップデータとなる「1.1.2」の提供を開始した。同アップデータではいくつかの脆弱性対策のほか、1.1.1で搭載が見送られた多言語切り替え機能に対応している。アップデータのサイズは160MBで、iTunesを経由してのアップデートが可能。

iPhoneでは、これまで隠し機能として一部Webページで"日本語キーボード"などが出現する多言語対応キーボードが用意されていたが、iPod touchなどと同様に設定メニューから直接使用言語を切り替える機能が正式に搭載されるのは初となる。11月9日にはドイツと英国で順次iPhoneの発売が開始されており、それに合わせた旧バージョンのアップデート措置だとみられる。すでに9日より数日前に、流出したアップデータを使ってバージョン1.1.2へとiPhoneソフトウェアを更新した写真つきの報告があったほか、9日にはAppleの公式サイトでアップデータのファイルがアップロードされているのが確認されていたが、iTunesを介しての1.1.2の正式な提供はそれより後の12日となったようだ。

アップデータ適用後にiPhoneは自動的に再アクティベートする。これがクラック対策になっている

アップデートにあたっては最新のiTunes 7.5でなくてもかまわない。iPhone 1.1.1のインストールに必要なiTunes 7.4.2以降のバージョンであれば問題ないようだ。また1.1.2アップデータのインストール後、iPhoneは再起動の際に再アクティベートを行うため、アクティベーションを何らかの方法で回避したいわゆる"クラック版"では、事実上インストールを完了できないことになる。

クラッキング対策など比較的大きな変更の行われた1.1.1と比較して、1.1.2での変更点はそれほど大きくない。唯一の変更点といえるのが多言語対応で、メニューの項目から使用言語を選択できる。これにより、これまで英語でしか行えなかったWebページや電子メールの読み書き、各アプリケーションでの入力について、英語以外の対応言語を操れる。また言語設定の切り替えを行うことでメニュー画面やメッセージがその対応言語に変化する。表示言語のほか、キーボードレイアウト、単位の表示フォーマットの3つの項目を変更することが可能で、表示言語は英語にしたままで、キーボードのみ英語/フランス語/ドイツ語の3種類の言語の中から好きに選択することができる。それぞれの言語キーボードの切り替えは、キーボードのスペースキー横にある地球マークを使用する。

1.1.1ではなかった設定メニューの「International」項目

International項目を選択したところ。「Language」は表示言語の選択、「Keyboards」ではキーボードレイアウトの選択を行う。横の数字は選択されているキーボードの数。「Asian Font」は一部で問題になっていた、表示の際の日本語フォントと中国語フォントの混在を解決し、どちらか一方に強制的に変更する。「Region Format」は単位や電話番号などの表示方法を国ごとのルールに合わせて変更する

だが残念ながら、いまだ日本語への言語設定には対応していないようだ。すでに日本語キーボードが用意されており、1.1.2では中国語フォント/日本語フォントの切り替えメニューがついていることから着実にアップデートは行われているものの、完全対応までにはまだしばらくの時間が必要なようだ。今回のアップデートで初めて、ドイツ語とフランス語対応が行われたことから、日本語対応アップデータはiPhoneの日本投入が正式発表された後に提供される可能性もある。

「Language」の設定メニュー。英語以外にドイツ語とフランス語も選択できるようになった。イタリア語があるのは、近い将来でのイタリアかスイスでのiPhoneリリースへの布石か?

「Keyboards」ではこのようにキーボードレイアウトを選択する。複数選択可能になっており、必要に応じて入力中に自在に切り替えられる

メインメニューをドイツ語化してみたところ。各種メッセージもドイツ語になっているが、英語版と内容は一緒

Google Mapの使用例。搭載アプリケーションもドイツ語化されているようだが、メッセージや表示内容などで微妙に英語が混在している

ドイツ語版キーボードを表示させたところ。アルファベットのキー配列が異なることに注目。スペースキー横にある地球マークでキーボードレイアウトを入れ替える

フランス語版キーボード。言語を切り替えた瞬間、スペースキーの部分に「English (UK)」のように現在のキーボードレイアウトがどこの国か一瞬だけ表示される