25日、ダイソンは同社独自の技術「ルートサイクロンテクノロジー」にコアセパレータを搭載した掃除機「DC22」を発表した。他のサイクロン掃除機よりも30倍効率良くゴミを分離することができるため、これまで搭載してたいモータ保護用のフィルタをクリーニングする必要がなくなり、約7年間手入れが不要になった。発売は12月1日からで、日本で先行販売される。モデルは、ダイソンデジタルモータを搭載した「ddm motorhead」「ddm turbinehead」と通常モータの「motorhead」「turbinehead」の4種類。モターヘッド未対応のモデルにはクリーンエアタービンが付属する。価格はオープンプライスで、推定市場価格は7万5,000円~9万円前後。なお、デジタルモータ搭載機は5年間のメーカー保証、通常モータ搭載機は2年間のメーカー保証が提供される。

ダイソンリミテッド会長で自らも開発者であるジェームズ・ダイソン氏がDC22の発表を行なった

DC22について熱心に語るダイソン氏

今回発表されたコアセパレータ搭載のDC22。ユーザの好みに応じて4つのモデルからチョイスできる

「ルートサイクロンテクノロジー」は同社が特許を保有する技術で、強力な遠心力を生み出す円錐状の筒を複数通過させることによってゴミやホコリを効率よく分離し、高い吸引力を実現することができる。今回、この複数の円錐状の筒の先にコアセパレータと呼ばれる筒を追加して従来2層構造だったサイクロン部分を3層構造に変更。他のサイクロン掃除機よりも効率をアップすることによって、従来97%強だった分離が99%近くになり、モータへのホコリの流入がほとんどなくなった。これによって唯一メンテナンスが必要だったモータ保護用フィルタの洗浄間隔が1年から約7年間に伸ばすことに成功している。

ルートサイクロンの筒がDC12よりも増加して効率をアップ

底面が開いてゴミを捨てる構造はDC12と同じ

外側のクリアビンを外すと網目状のシェラウドが見える

中央にサイクロンの大きな筒が今回追加されたコアセパレータ

「ddm motorhead」と「motorhead」は、ブラシが毎秒90回転するモータヘッド搭載機で、エアータービンヘッドよりもカーペットのホコリやペットの抜け毛などをより強力に除去できる。モータの回転は、手元のスイッチでオン/オフが可能。今回モータヘッドを採用するにあたってヘッドの重量が増することを考慮し、伸縮式のパイプ(Telescope Wand)の材質をアルミからガラス素材の共重合体を20%使用したものに変更して軽量化を図っている。なお、DC12で採用されていたデータ受信システムはDC22では省かれている。

モータヘッドは、より強力にゴミを吸い取ることができる反面、モータを回転させる電力を流すための線を伸縮式のパイプとホースに内蔵しなくてはならず故障の原因にもなる。しかし、日本市場での要望が高いために今回導入したとのことだ。パワーモードの選択(2段階)とブラシの回転のオン/オフは手元で可能。右の写真はモータヘッドの裏側の拡大で、ブラシの表面に見える複数の溝は、糸くずやペットの抜け毛が巻き付いた際にハサミでそれを切りやすくするために設けたものだ。なお、モターヘッド未対応モデルはDC12と同様にエアータービンヘッドが付属し、電源のオン/オフとパワーモードの選択はワイヤレス方式で本体を操作できる

中央の奥に見えるのがモータ保護用フィルタ。今回の新技術によりほとんど汚れが付着しなくなった。そのため、DC12はすぐに取り出せる位置に付いていたが、DC22では本体を分離して行なう方式に変更されている

DC12では排気口が背面にあり、後ろにホコリなどがある場合はそれを巻き上げて部屋に散乱させてしまう場合があり不評だった。DC22では側面に排気口を移動してさらに上に排出されるように改良された

伸縮式のパイプ。DC12のアルミ素材のほうが耐久性がありそうだが、今回の変更で大幅な軽量化がなされたという。また、DC22では完全に伸ばした状態でしかシーリングされない構造に変更されている

ダイソンでは、DC22に加えて英国ダイソンがISSEY MIYAKE氏の2008年春夏パリコレクション「The Wind(風)」を記念した限定モデル「リミテッドエディションDC16」を発表。11月15日より販売を開始する。DC16は、バッテリで駆動するハンディタイプの「ルートサイクロンテクノロジー」搭載掃除機で、このコレクションで発表された「Dyson A - POC」シリーズのシグネチャカラーが使用されている。価格はオープンプライスで、推定市場価格は3万円程度。

今回発表されたハンディクリーナー「リミテッドエディションDC16」。DC16のスペシャルカラーバージョンである

ダイソンのパーツを利用してデザインしたという「The Wind(風)」コレクションをダイソン氏に着せるISSEY MIYAKEのチーフデザイナー藤原大氏。ダイソンの掃除機を自ら分解して同社の「人と風」の関係についての考え方に感動したという