英Vodafoneの子会社、独Vodafoneは2日、W-CDMA方式の高速データ通信規格「HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)」をサポートしたデータ通信カード「Mobile Connect Card 3G Broadband Express」を発表した。通信速度は上り最大1.45Mbpsをサポートするという。ドイツでは初めてのHSUPA商用サービスとしている。

HSUPAは3G規格のW-CMDAの上り方向を高速化した規格で、下り技術のHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)とともに「3.5G」と呼ばれる技術。上り速度は1Mbps~1.8Mbpsといわれている。

Mobile Connect Card 3G Broadband Expressでは、下り最大7.2Mbps、上り最大1.45Mbpsのデータ通信速度をサポートする。上り速度に関しては、現在同社が提供する速度の4倍を実現し、有線ブロードバンド技術よりも高速としている。たとえば、2MBの写真ファイルを送信する場合、従来は約22秒かかっていたのが、HSUPAネットワークを利用した場合は約12秒に短縮されるという。これにより、動画やPowerPointを使ったプレゼンテーション資料などのやりとりを高速に行えるという。ExpressCardスロットに対応し、アダプタの利用でType IIのPCカードスロットでも使用可能。

HSDPA/HSUPAが実装されていないネットワークでは、W-CDMA、EDGE、GPRSを利用する。Vodafoneによると、同社の3G網は現在、ドイツの人口の80%をカバーする2,200の都市・町で利用可能だという。同社では、2008年夏までにドイツの3G網すべてでHSDPA/HSUPAを実装する計画だ。

Mobile Connect Card 3G Broadband Expressは9日に販売を開始する。本体価格は399.9ユーロだが、既存データ通信サービス利用者には割引料金で提供する。

Vodafoneはまた、家庭ユーザー向けにも「Easy Box III」としてHSUPAサービスを提供する。USB経由でPCと接続でき、Mobile Connect Card 3G Broadband Expressと同じ速度を実現するという。

HSUPAの商用サービスは、韓国KTFが10月より開始することを明らかにしている。欧州ではオーストリアのMobilkomが2月にHSUPAの商用サービス開始を発表しているほか、伊Telecom Italia Mobile(TIM)、仏Orangeのルーマニア子会社などが年内スタートを予定している。