ASMLの露光装置開発においては、Carl Zeissの光学系設計技術が重要な役割を果たしている。ASMLがまもなく出荷を開始する最新鋭の液浸露光装置「TWINSCAN XT:1900i」。この露光装置のNAは1.35という高い値を実現している。ニコンの最新鋭液浸露光装置「NSR-S610C」のNA値は1.30。XT:1900iは現在世界最高のNA値を達成している露光装置だ。この装置、発表は昨年で、現在ASMLのクリーンルームで組み立てと検査が進んでいるのを確認している。

Zeiss製露光装置用レンズユニット。XT:1900i用の最新型。

この1900iには、現行の最新機種の1700i(NA=1.20)とともに、「Catadioptric」と呼ばれる反射屈折光学系が使われている。この反射屈折光学系の採用により、現実的なコストで超高NA値が実現したという。液浸素材として水を使う場合、理論的に最大のNA値は1.43。NAを1.43に近づけるに従って、急激にレンズのコストが高くなっていく。従来の屈折光学系で開発した場合、NA=0.93のモデルに比べて、NA=1.35のモデルは5倍以上の価格になる計算であるところを、反射屈折光学系を採用することで、約2倍のコストに控えることができたという。XT:1700iから採用されたこの反射屈折光学系の実現に際しては、様々なパターンが検討され、最終的にはインライン型で、一本の筒の中に光路を収める光学系が採用された。外見上は屈折光学系と変わらない。同社ではこの光学系の開発に成功したことが、強い競争力を持つ露光装置の開発に際して大変重要だったと述べる。このように、Carl Zeissの光学技術が、ASMLの露光装置の技術開発に際して重要な役割を果たしていることがわかる。

ここで、もう一つのASMLの力強い開発パートナーを紹介しよう。それは、ベルギーにある研究機関のIMECだ。