OEMに対するハードウエア要件は、1.2GHz以上のx86 CPU、512MB以上のRAM、80GB以上の内蔵HDD、Gigabit Ethernetカード、4つ以上のUSBポートとなっている。またノイズを30dB以下にすることも含まれる。Drive Extenderを用いたストレージの追加/削除を考えると、Serial ATAを用いた手軽なストレージ拡張の仕組みも必須になりそうだ。逆にワイアレス・アダプタ、ビデオ・コネクタ、光学ドライブ、キーボード/マウスのポート、RS-232Cおよびパラレル・ポートなどは搭載が認められていない。パーツが少ないため、「より自由なデザインが可能になる」とKindel氏。「例えば壁に貼り付けるようなデザインも面白いのではないか」と述べていた。

Windows Home Serverをインターネットへのゲートウエイとして利用することはできない。「ホームネットワークを築いている一般家庭ユーザー」をターゲットとしているため、ブロードバンド・ルーターに接続するという利用シナリオに限定するという。Microsoftとしては、Windows Rallyでホームネットワークを構築してもらい、そこにWindows Home Server搭載のサーバを組み込むという形を想定しているのだろう。価格についてKindel氏は「一般ユーザーにとって手頃な価格」を希望していた。展示会場のブースのスタッフは、OEM製品が「500ドルぐらいから登場するのではないか」と予想していた。

Windows Home Server向けソフトウエアの可能性

Windows Home Server搭載ホームサーバのハードウエアコンセプト

Windows Home Serverは常に稼働する。その特徴を活用すれば、「ソフトウエアやオンラインサービスの可能性が広がる」とKindel氏。ホームオートメーションやオンライン・データバックアップ、セキュリティ、写真共有、スケジュール共有などの例を挙げた。サードパーティ製のソフトはアドインという形で提供され、ユーザーはアドインの組み合わせでホームサーバの機能を強化する。

Kindel氏はWindows Home Serverについて、「新たなカテゴリを開拓する製品」と説明していた。サーバと名が付く製品を、一般家庭に購入してもらうのだ。切り開くのは容易ではないだろう。ただWinHEC会場で触れたWindows Home Serverはシンプルで、しぼり込まれた機能からは「ホームネットワークを築いている一般家庭ユーザー」というターゲットが明確に伝わってきた。課題はデザインだ。CESやWinHECで展示されていたHewlett-Packardの「MediaSmart Server」はコンパクトだが、タワー型PCに近い。新たなカテゴリを切り開く新しいタイプの製品という感じではない。百聞は一見にしかずだ。いわゆるサーバではなく、また外部HDDやNASよりも豊富で安心な機能を備えている……そんなホームサーバの特徴をOEM各社が見た目で表現できるかが、Windows Home Serverの成功を左右しそうだ。

HPの「MediaSmart Server」