Rattner CTOに続いては、Patrick P. Gelsinger上席副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長による基調講演が行われた(Rattner CTOの基調講演レポートはコチラ)。

講演では、まずPenryn世代のラインナップが紹介されたあとに、初めてサーバー版Penrynでの実機デモが公開された(開幕前日のプレスブリーフィングでは、モバイル版Penrynのデモのみだった)。デモに用いたのはクワッドコアの製品ということで、CPUは2つ搭載(計8コア)。FSBは1,600MHz、動作クロックは3.2GHzで、MRIの画像がスムーズに3D表示される様子が示された。

Penryn世代のラインナップ。サーバー、デスクトップ、モバイルの各分野に投入される

実機でのデモを披露するPatrick P. Gelsinger上席副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長(右)

Penrynの実際のパフォーマンスについては、アプリケーション分野ごとに数字があげられた。65nm世代と比較したときに、ビデオ処理で15%、3Dレンダリングで25%、ゲームで40%、動画のエンコードで40%の性能向上が見込まれるほか、サーバー側では、JAVAの処理で25%、HPCの高伝送負荷アプリで45%の性能向上も期待できるという。

旧世代と比較した場合のPenrynのパフォーマンス

同社は昨年、企業向けの新プラットフォームとして「vPro」を立ち上げたが、次世代の「3シリーズ」チップセットにアップグレードした「Weybridge」を今年後半に投入する。また先日、ノートPC向けにも「Centrino Pro」としてvProの技術を投入することが明らかにされているが、Lenovoのマシンを使い、無線LAN経由でリモート管理されるデモも紹介された。

vProも今年はアップグレードされる

ThinkPadでのデモ。Centrino Proは無線LANもサポート

そして今回、初めて発表されたのが、企業向けシステム・オン・チップ(SoC)製品となる「Tolapai」(コードネーム)だ。IAベースのCPUコアとアクセラレータを1チップに統合できるもので、例えばVPNルータの場合であれば、従来の4チップ構成に比べ、消費電力を20%削減し、さらに処理性能も大幅に向上できるという。暗号化だけでなく、RAID・XML・ウィルススキャン・圧縮などにも利用可能。氏はチップを披露し、スケジュールに関しては「今年生産に入る」とした。

企業向けSoC製品「Tolapai」。様々な用途ごとのアクセラレータを組み合わせることができる。消費電力・面積の削減が可能という

上がTolapai、下が標準的な4チップ構成のもの。消費電力は31Wから25Wに削減され、スループットは200Mbpsから1,600Mbpsに向上

Tolapaiはこんな大きさ

様々な機器で利用できる

またRattner CTOが基調講演で触れたIAコアによるテラフロップCPUに関し、もう少し細かい話も出てきた。デモで紹介された80コアの試作チップはIAコアではなく、もっとシンプルなものだったが、IAコアを搭載するものを同社は開発中で、コードネームは「Larrabee」であることがGelsinger氏から明らかにされた。

IAベースのコアを高並列化する「Larrabee」。科学計算、財務分析、医療など、様々なアプリケーションに適用できるという

実際のコア数がどのくらいになるのかは不明だが、命令セットが拡張されたIAコアを搭載することになるようだ。これは製品化を前提にした開発のようで、「来年にもデモが披露できる予定」とGelsinger氏。最後にMicrosoft ResearchのDavid Williams氏の「Intelのこのアプローチは、GPGPUコンピューティングに関するディベートを終わらせることになる」というコメントを引用し、Larrabeeに対する自信を見せた。