「Mac定番ソフト十番勝負」、少し間が空いたが最終回の10回目はMac上でマルチOSを実行できるVM(Virtual Machine)ソフトを比較してみよう。

VM、Virtual MachineとはOS上で他OSを実行できるようにするためのソフト。Windows PCを使っていた人がMacに乗り換えたとき、これまで使っていたソフトやMacにはないソフトを使いたい場合があるだろう。そんなとき、MacではBootcampという仕組みを使ってMacとWindowsを切り替えて使うことができるが、いちいちどちらかのOSで起動し直さなければならず面倒だ。このVMソフトを使うとWindows OSをインストールした「仮想マシン」を作成し、Mac上で別のPCのように動作させることができる。Windows OSそのものがMacのソフトになったような感じだ。さらにMacのDVDドライブなどの周辺機器も動作し、Windows用のソフトウェアもインストールして利用できる。

Mac用のVMソフトはParallels社の「Parallels Desktop for Mac」、VMware社の「VMware Fusion」、そしてOracleの「VirtualBox」などが有名だ。今回は有償ソフトで定評のあるParallels Desktop for MacとVMware Fusionを比較してみよう。

■Mac定番ソフト十番勝負!
第1回 表計算ソフト「Excel」「Numbers」それぞれの使いどころ(2012年9月4日)
第2回 聴き手の心をつかむプレゼンソフトは「PowerPoint」か「Keynote」か(2012年10月4日)
第3回 4本の日本語入力ソフト、いちばん優秀なのはどれか(2012年11月5日)
第4回 Chrome/FirefoxはMac環境でSafariを超えるか? ブラウザ3強対決(2012年11月28日)
第5回 WordとPagesに挑むNeo OfficeのWriter、最強のワープロはどれか?(2012年12月28日)
第6回 写真整理ソフト、本命のiPhotoにPicasaとPhotoshop Elementsが挑む!(2013年1月18日)
第7回 画像加工ソフトの雄に対抗できるソフトはあるのか?(2013年2月8日)
第8回 写真現像ソフトを使おう! 「Aperture」VS.「Adobe Photoshop Lightroom」(2013年3月25日)
第9回 行楽の様子は動画編集ソフトで編集して残そう(2013年5月14日)

Mac用VM分野を開拓した先駆者 Parallels Desktop for Mac

2006年にIntel Macで使えるWindows仮想環境ソフトとして登場したのがParallels Desktop(以下Parallels)。それまで、「Virtual PC」というPowerPC系のMacでWindowsを利用できるソフトはあったが、動作が遅く不安定だった。ParallelsはIntel CPU専用とすることでWindowsが非常に安定して利用できる環境を実現した。当時はWindowsだけだったがその後対応OSを増やし、最新版のヴァージョン8ではMac OSのホストOS以外のもの、Linux、FreeBSD、OS/2、Solaris、MS-DOSもインストールして利用可能だ。

Parallelsの仮想マシンリスト画面。アイコンをクリックしてVMを起動する

ParallelsはデスクトップにVMのアイコンが登録され、ダブルクリックして起動することもできる

VMソフト界の雄 VMware Fusion

VMware Fusion(以下Fusion)は仮想化ソフトでは老舗と言えるVMware社がIntel Mac用に販売する仮想化ソフト。VMware社は1999年にワークステーション用の仮想化ソフトを発売し、主に業務用に製品を開発してきた。Intel Mac用のFusionが登場したのは2007年。こちらもWindowsの各バージョン、ubuntu、Linux、Solaris、FreeBSD、Mac OS X Serverなどのインストールに対応する。

Fusionの仮想マシンライブラリ画面。VMは左に一覧表示され、右にはサスペンド状態の画面が表示される

Fusionではツールバーにアイコンが登録され、設定やVMの起動ができる