夏こそ毎日の食事を大切に

これらの要因によってホメオスタシスの維持が難しくなると、いわゆる夏バテの状況に陥る。一般的に食欲不振や倦怠感などの症状を思い浮かべる人も少なくないだろうが、その症状は意外と多岐にわたっている。下記が一例だ。

■冷え
■だるさ
■のぼせ
■頭痛
■めまい
■イライラ
■やる気が出ない
■食欲不振
■便秘
■下痢
■むくみ

これらの症状の中でも、山本医師は特に食欲不振時には注意をしてほしいと警鐘を鳴らす。

暑い夏は食欲が落ちる傾向にあり、ジュースやアイスなどの冷たいものをたくさん摂取したり、食事も冷たくて喉を通りやすいそうめんなどの冷たい麺類やお茶漬けが増えたりする。だが、冷たいものの過剰な摂取は胃腸に負担をかけ、下痢や消化不良、さらなる食欲不振を引き起こす。

「また、麺類やお茶漬けなどのごはん類は炭水化物(糖質)を多く含みます。糖分はエネルギーを作るのに大切な栄養素なので、十分な摂取が重要ですが、糖をエネルギーに変換するにはビタミンが必要です。食べやすい物ばかりを選び栄養バランスが悪くなると、十分なエネルギーを作り出すことができなくなってしまい、疲れやすくなったり、だるさを引き起こしたりします」

そうめんや冷や麦などはさらさらと食べやすいが、それらばかりを食べていると一日に必要なカロリーやたんぱく質、ビタミンといった栄養素がどうしても不足しがち。結果として夏バテの症状が悪化する可能性も出てくる。暑い時期にこそ、食事の重要性を再認識する必要があることを覚えておいてほしい。

※写真と本文は関係ありません

取材協力: 山本咲(ヤマモト・サキ)

都内の大学病院で初期臨床研修後、同病院の糖尿病代謝内分泌内科医局に入局。糖尿病専門医、内分泌代謝専門医を取得。現在は神奈川県内の大学病院にて糖尿病代謝内分泌分野を中心とした内科診療に携わっている。En女医会所属。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。