「子育てにお金ってどれくらいかかるの? 」「東京暮らしと地方暮らしとでは、子育てにかかるお金に違いがあるの? 」「教育資金づくりってどんなふうにするの? 」「教育費が足りない場合どうしたらいいの? 」など、子育て真っ最中の方、またはこれから子育てする方には、こんな疑問や不安がある方も多いのではないでしょうか。

前回につづき、今回も「子育てとお金」をテーマに有益な情報をご紹介していきます。「出産にかかるお金」「教育費の目安」「教育資金づくりの方法」「教育費を地域別で比較」など、さまざまな角度から、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が「子育てとお金」についてお伝えしていきます。

FPとして個人のお客様のご相談をお受けしたときに、子どもの大学進学のために必要な貯蓄額や、大学で1年間かかる費用についてなどを聞かれることがあります。大学入学にかかる費用は一律ではなく、「国立と私立」によって異なりますし、また、同じ大学内でも学部によって異なります。

そこで、今回は、私立大学(昼間部)の場合の初年度費用についてお伝えしたいと思います。

私立大学における平均授業料等

文部科学省の調査(表1参照)によりますと、2019年度の私立大学の授業料は、対前年度比0.8%増の911,716円となっており、入学料は、対前年度比0.5%減の248,813円となっています。また、入学した初年度学生納付金(授業料・入学料・施設設備費の合計)については、対前年度比0.4%増の1,340,723円となっており、実験実習料等を含めた初年度に納める総計は、対前年度比0.4%増の1,466,530円となっています。

わずかではありますが、私立大学での初年度費用が上昇していることがわかります。

《表1:2019年度・私立大学の初年度学生納付金等の推移》

  • ※「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」(文部科学省)をもとに執筆者が加工して作成している。  ※( )は対前年度増減%、△はマイナスを表す。  ※計数は端数処理により、合計において一致しない場合がある。

    ※「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」(文部科学省)をもとに執筆者が加工して作成している。 ※( )は対前年度増減%、△はマイナスを表す。 ※計数は端数処理により、合計において一致しない場合がある。

学部ごとの平均授業料等

2019年度の私立大学全体としての初年度の総計平均は1,466,530円でした。では、学部ごとの費用を見てみましょう。最も費用が高いのは医歯系学部の6,393,848円であり、最も費用が低い文科系学部の合計額1,257,199円と比べて、5,136,649円の差があります。

お子さんが医歯系学部を希望される場合は、早い段階で「大学入学への準備金」について検討する必要があることがおわかりいただけると思います。

また、そもそもお子さんが大学に進学すること自体不明確であったとしても、「大学まで進学する可能性がある」として教育費の準備をしておくと親としては安心ではないでしょうか。そのためにも、お子さんが小学生または中学生の頃から大学入学に向けて「教育費の貯蓄」の手段をご検討されるとよいと思います。

《表2:2019年度・私立大学各学部の初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)》

  • ※「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」(文部科学省)をもとに執筆者が加工して作成している。
    ※上記の数値は、日本私立学校復興・共済事業団よりデータの提供を受け、私立大学の昼間部における初年度学生納付金等についてまとめたものである。
    ※初年度学生納付金平均額の算定に当たっては、2019年度入学定員を用いて加重平均している。
    ※計数は端数処理により、合計において一致しない場合がある。

終わりに

今回は、私立大学に入学した初年度の費用についてお伝えしましたが、次回以降には、国立大学や私立の短期大学、私立高等専門学校などに進学した場合の費用等もお伝えいたします。