岡山~出雲市間を結ぶ特急「やくも」の新型車両273系が4月6日にデビュー。これに先立ち、JR西日本は「WESTER」会員ならびにインフルエンサーを対象とした273系の試乗会を3月23日に実施。報道公開も行われた。

  • 特急「やくも」の新型車両273系。試乗会の列車に生山駅から米子駅まで乗車した

試乗会の実施にあたり、山陰エリアと岡山エリアで計6コースを用意。Aコースは出雲市駅から米子駅まで、Bコースは米子駅から生山駅まで、Cコースは生山駅から米子駅まで、Dコースは米子駅から出雲市駅まで、Eコースは岡山駅から新見駅まで、Fコースは新見駅から岡山駅までとなっており、この中から1コースを選ぶことができた。「WESTER」会員向けの募集人数は計600名とされ、各乗車区間に100名ずつ乗車。倍率は56倍だった。

インフルエンサーの乗車コースはA~Dコースの計4コース。YouTubeのチャンネル登録者数2万人以上、あるいはYouTube以外のSNSのフォロワー数1万人以上のアカウントを持っていることを応募の条件としていた。その他、地元沿線の関係者らも乗車した。

筆者は報道関係者としてCコース(生山駅から米子駅まで)に試乗した。生山駅は鳥取県日野郡日南町にあり、特急「やくも」の一部列車が停車する山間の駅。当日は4両編成の273系を2編成連結し、8両編成で運転されたこともあり、生山駅の3番線ホームいっぱいに273系が停車していた。

  • 列車名の「やくも」をイラスト入りで表示。行先は「出雲市」と示された

  • 当日は4両編成の273系を2編成連結し、8両編成で運転

  • 生山駅の駅名標

273系は13時16分に生山駅を発車。カーブを高速で通過するため、国内初搭載という新機能「車上型の制御付自然振り子方式」を作動させた。オリジナルチャイムを含めた放送案内や車内案内表示も営業運転を想定したものだった。

途中、根雨駅で運転停車もありつつ、最新の特急車両らしい走りを楽しめた。40年以上も活躍を続けてきた381系の特急「やくも」とすれ違う場面もあり、車両の新旧交代を印象づけた。

  • 普通車の座席は横4列(2列+2列)

  • グループ向け座席「セミコンパートメント」

  • 「セミコンパートメント」で参加者たちが思い思いに過ごす

今回の試乗会では、「WESTER」会員の参加者が1号車(半室グリーン車)のグリーン席とグループ向け座席「セミコンパートメント」を交代で体験。「セミコンパートメント」は普通車指定席と同額で利用可能だという。シートをフルフラットにできるため、靴を脱いで足を伸ばす子の姿も。全体的に和やかな雰囲気だった。

273系の試乗会列車は米子駅へ14時13分に到着し、これでCコースは終了。続いてDコースの参加者たちが273系へ乗り込み、14時20分にDコースの目的地である出雲市駅へ出発した。

  • 273系の試乗会列車が米子駅に到着

  • 「やくも」の「雲」をモチーフにした駅名標。米子駅をはじめ、出雲市駅、松江駅、倉敷駅、岡山駅に設置されている

特急「やくも」の新型車両273系は4月6日に営業運転を開始する予定だが、この時点で全列車を置き換えるわけではない。ゴールデンウィーク前の4月25日まで、1日あたり上下計30本(15往復)のうち12本(6往復)を273系で運転する。その後は273系に順次置き換えられ、6月15日に置換えが完了する予定。ただし、その後も381系が臨時列車等の運用に就く場合があるとのことだった。