分け隔てなくふたりの時間を大事にする

板谷: 全然違います。お兄ちゃんはお兄ちゃんで、お兄ちゃんぶっているし(笑)。弟はお兄ちゃんがいないとどこにも行けないかな。いつも、お兄ちゃんの後ろについて、連れて行ってもらっています。ふたりペア、という感じじゃないですかね。

幼いながら、すでに芽生えている兄弟愛がほほえましくなることも

――どうしても兄弟姉妹がいると、下の子の面倒を見るために上の子に我慢してもらうということもあるかと思うんですが、そんな時、どのようなことに気をつけていらっしゃいますか。

板谷: もちろん今でも、お兄ちゃんはかまってほしそうにしていますよ。でも、家族全員で動くとなると、どうしても一番小さい子に合わせざるをえなくなりますよね。なので、できるだけシャッフルもしながら、2対2で動くことを意識しています。お父さんと長男・私と末っ子、お父さんと末っ子・私と長男、というように。

ふたりの時間を大事にする、ということを意識的にしないと、どうしても長男・長女って我慢しなくちゃいけないって思ってしまいがちですよね。下は下でやっぱり、お兄ちゃんがいないところでお父さんやお母さんに甘えたいという気持ちもあるでしょうし。だからなるべくペアをつくって、ふたりで過ごす時間を大切にしています。

日記の中に自然と子どもの風景が

――インスタグラムにもお子さんの写真を投稿されていますが、投稿するきっかけはありましたか。とあるママから、「私も板谷さんのインスタに励まされている」と聞いたことがあります。

板谷: インスタグラムでは、子育てをしている人が見てくれているということも意識していますし、実際に「励まされている」という声もいただいています。インスタグラムは私の日記みたいなもので、「なぜ子どもの写真を載せているのか」と言われても、「何でだろう」と思ってしまうんですよね(笑)。日記の中に自然と子どもの風景が入っているというところでしょうから。ただ、私の生活という意味で投稿していて、同じような世代で子どもを育てているお母さんたちが見て、「私もがんばろう」と思ってくれるのであれば、やっぱりうれしいですね。

――最後にですが、ドラマ『母になる』の見所、西原莉沙子を演じる上で想うところを聞かせてください。

板谷: 私が演じる人がどうなっていくのかなと、という気持ちはありますよね。どのお母さんも絶対、「母親ってなんなんだろう」って思っているはずなんですよ。それは、答えがあるようでなかったり、答えがなさそうで絶対ありそうだったり。あえて意識しては考えないものの、いざ考えてみると、私自身も「はっ」とすることがあります。

だから、このドラマが「母親ってなんなんだろう」と考えるひとつのきっかけになればいいかな。それは何も、母親になった人だけではなくて、男性も含めてご自身のお母さんを考えることにもなるでしょうし。この役を演じるにあたり、私も改めて「母親ってなんなんだろう」ってずっと考えています。

「母親ってなんなんだろう」。答えがあるようでなかったり、答えがなさそうで絶対ありそうだったり

事件から時を経て子どもが戻り、そこから女性がお母さんになる気持ち、今までお母さんとして育ててきた女性の気持ち、私のようにずっと母親としてやってきたものの改めて母親とは何なのかと悩む気持ち。みんなそれぞれの視点で、母親のもつ意味や存在を見つめ直すことになります。

そうした問いかけに、年齢は関係ないと思うんですよ。高校生が見て自分のお母さんのことを想ってくれてもいいし、子育てが終わった方が見て母親や娘のことを考えてもいいですし。母親というテーマは、絶対どこかで誰しもつながっているんですよ。大きなテーマだと思います。


『母になる』(日本テレビ系、毎週水曜22:00~)
3歳で誘拐にあった息子が、9年を経て13歳になって現れ、それに関わる3人の女性たちが傷つきながらも「母になる」までの物語。出演は、沢尻エリカ、藤木直人、中島裕翔、道枝駿佑(関西ジャニーズJr.)、高橋メアリージュン、浅野和之、風吹ジュン、板谷由夏、小池栄子ほか。
(C)NTV

"母になる"こと

vol.1: 母になって、自分は変わったと思う?
vol.2: 自分に母親として点数をつけるとすれば何点?
vol.3: 無条件で愛したい! 母親になって実感した喜びは?
vol.4: 自分の時間はいずこ……母親になって実感した息苦しさは?
vol.5: 小池栄子が描く「母」、心理学者が語る「母としての物語」
vol.6: 小池栄子×心理学者が語る「生みの親」と「育ての親」の未来
vol.7: 2児のママ・板谷由夏が"怪獣たち"から学んだこと
vol.8: 毎週泣けると話題のドラマ『母になる』は、母と子の神話に別視点を示す物語
vol.9: 役者それぞれのリアルが現れた、ドラマ『母になる』