女優にキャスターにと、さまざなステージで活躍している板谷由夏。「私の生活をうつす日記みたいなもの」と語るインスタグラムでは、そのさまざまなステージにおける何げない風景の中に、2児の母という板谷由夏も垣間見える。

女優・沢尻エリカ主演の日本テレビ系ドラマ『母になる』(毎週水曜22:00~)から、"母になる"ことを考える連載シリーズの第7弾の企画として、母親を続けながら葛藤する女性・西原莉沙子を演じる板谷由夏に、母親としての想いをうかがった。

「両立できてないけどがんばるよ」

板谷由夏(いたや・ゆか)。1975年6月22日生まれ、福岡県出身。近年の主な出演作に「女の中にいる他人」(NHK-BS)、「遺産争族」(テレビ朝日系)など。現在、映画の魅力を語りつくす「映画工房」(WOWOW)ではMCを、「NEWS ZERO」(日本テレビ系)ではキャスターを務めている。
撮影: 大塚素久(SYASYA)

――実際に母になって、板谷さんご自身が「自分は変わったな」と感じることはありますか。

板谷: 私自身の根っこの部分はあまり変わっていないと思うんですが、生活はがらりと変わったので、そういう意味では変わったと思います。

――マイナビニュースの読者にも、子育てと仕事の両立に悩んでいる人が多いようです。そうした人に何かアドバイスをするとしたら、どのようなことを伝えたいですか。

板谷: 自分自身、「子育てと仕事が両立できていない」と言い切ってしまうとちょっと違うなとは思うんですが、でも、「両立できていないんじゃないか」と思いながらやっています。やっぱり、常に問題は勃発するので、「両立できていますよ」と自信満々で言えることではないなって。常にいつも戦っているし、常に大変だし。「両立できてないけどがんばるよ」くらいのニュアンスでないと、自分自身も大変になってしまう。それに、できてないって思った方が、まだがんばれる先があるって感じがしていいんじゃないかなって。

――「両立できてないけどがんばるよ」という言葉に、励まされたお母さんも多いんじゃないかなと、今、お話を聞きながら思っていました。

板谷: 悩まないお母さんはどこにもいない。「悩んでていいんじゃないですか」って私は思います。子どもたちのその年齢年齢で、悩みは変化していきますし。

――実際、板谷さんご自身が「子どもっていいな」「お母さんっていいな」と思うことはありますか?

板谷: 私だけの生き方だったら、たぶんいろんな時間が何げなく過ぎていったと思うんですよ。でも、彼らの成長や彼らの存在そのものが、私自身の生きている証にもなっているんですよね。私が時間をつむいでいるというよりも、彼らがつむいでいる時間を一緒に共有していることがありがたいなと思う。私の時間の流れを彼らが表現してくれている、というところがありますね。「母親になってよかったな」と思うことは多々あるんですが、それよりも、子どもたちがいてくれること、それだけでいいです。

子どもたちがいてくれること、それだけでいい

答えはない「だって、したいんだもん」

――板谷さんには今、ふたりの男の子がいらっしゃいますが、男の子がふたりいる家庭の話を聞くと、相対的にということにはなりますけど、男の子はわんぱくでときには手がつけられない、ということもあるようです。実際に男の子をふたり育てている中で、板谷さんが感じたことはどのようなことでしょうか。

板谷: 私自身はふたり姉妹だったこともあり、男の子というものにあまり接したことがありませんでした。だから、男の子がうまれてきた時、うちの家族はびっくりしました(笑)。でもたぶん、「うちの子がわんぱくで……」ではなくて、「男の子はそうなんだ」と思わないと悩んでしまうんじゃないかなって。だから私は、生物の性質が男と女で違うということを考えて、男の子という性質を受け入れることにしました。

本当に怪獣なんです。お兄ちゃんも弟も怪獣(笑)。「なんで? 」と思っていても答えはないんですよ。だって、したいんだもん。でもそれは、男の子のもつパワーやエネルギーで、スペシャルなことなんです。生物としての差を考えてあげると、子育ては楽しくなると思う。男の子と女の子は全然違う。私はそうやって考えて、男の子を育てることにしました。

――ひとり目の育て方とふたり目の育て方に悩むという声もあります。板谷さんご自身も、ふたりの性格の違いを感じることはありますか。