働き方改革の波を受け、生産性向上を実現するための方策を検討する企業が増加しています。この波を早くから見据え、ソフトバンク・テクノロジー株式会社(以下、ソフトバンク・テクノロジー)ではかねてより、顧客企業の生産性向上を支援する技術と知見を蓄積してきました。 同社のユニークな点として、まず自らがさまざまな最新テクノロジを導入し、そこで得た知見や技術をもって顧客のICT課題へ取り組んでいる点が挙げられます。こと、生産性向上というテーマにおいては、Office365や、Enterprise Mobility+Security(EMS)など、マイクロソフトテクノロジの先行導入を積極的に推進。2016年1月からは、生産性向上を実現するための有効なICTとして、提供開始から間もないWindows10の導入を実施しています。

生産性を高めるうえで、いつ、どこでも業務が行える環境を整備することは有力なアプローチだといえます。同社では、BitLockerやWindows Information Protection、Credential Guardなど、セキュリティの機能を豊富に備えるWindows10へクライアント環境を移行したことで、モバイルワークに適合したセキュリティレベルを担保。さらに、SCCMを用いたビルドとバージョン制御を採ったことで、最適なバージョン管理と資産管理の透明化を実現しています。同取り組みで獲得した知見や技術をもって、ソフトバンク・テクノロジー株式会社では今後、顧客企業のWindows10移行も強力に支援していきます。

プロファイル

1990年の設立以後、ICTサービス事業を基盤として成長を続けてきた、ソフトバンク・テクノロジー株式会社。クラウドを軸に「デジタルマーケティング分野」「プラットフォームソリューション分野」「クラウドシステム分野」を展開する同社では、今後も「情報革命で人々を幸せに~技術の力で、未来をつくる~」という志のもと、技術の力で新しい付加価値の創出に挑戦し続けていきます。

導入の背景とねらい
生産性向上を実現するための有効なICTとして、Windows10Enterpriseに着目

ソフトバンク・テクノロジー株式会社

「情報革命で人々を幸せに ~技術の力で、未来をつくる~」を経営理念に掲げ、企業のICTを長年支え続けてきたソフトバンク・テクノロジー。同社ではこの理念を実践すべく、顧客へ向けたサービス提供に先駆けて、まず自らがさまざまな最新テクノロジを導入。そこで得た知見や技術をもって、顧客のICT課題へ取り組むことを方針としています。顧客の課題は種々さまざまであり、そこにはどうしても、単一のソリューションだけでは解決できない領域が存在します。ソフトバンク・テクノロジーでは、先の方針のもとで培った知見や技術、独自商材を組み合わせることで、この領域も含めて企業の課題を包括的に解決するソリューションを提供しているのです。 同社ではこの方針を進めるうえで、国内初のモデルケースとなったOffice 365の導入を端とし、Enterprise Mobility+Securityによるモバイルセキュリティの向上など、マイクロソフトテクノロジの先行導入を積極的に進めてきました。

ソフトバンク・テクノロジー株式会社 業務推進本部 副本部長 兼 CISO 兼 CIO代行 橘 勝也氏

この理由について、ソフトバンク・テクノロジー 業務推進本部 副本部長 兼 CISO 兼 CIO代行 橘 勝也氏は、次のように説明します。

「近年のICTのニーズで欠かせないものに『働き方改革』が挙げられます。このニーズはダイバーシティへの対応を前提に語られることが多いですが、そこで本質的に改善せねばならない課題は『生産性向上』です。生産性向上は、業種、職種を問わずあらゆる企業が抱える普遍的な課題だといえます。マイクロソフトのソリューションは、コミュニケーションの最適化や社外からのセキュア アクセス、個別にある作業工程の最適化など、マクロとミクロの両視点から、生産性向上を支援する有益なソリューションが揃っています。当社では積極的にマイクロソフトのソリューションを導入し実践することが、生産性向上へ向けたあらゆる企業の取り組みを支援できると考えたのです」(橘氏)。

この生産性向上を実現するための有効なICTとして、ソフトバンク・テクノロジーが新たに注目したものが、2015年夏からマイクロソフトが提供を開始したWindows10です。

ソフトバンク・テクノロジーではこれまで、バックオフィスと開発部門にはデスクトップPCを、外販部門にはモバイルノートPCをといった形で、部門ごとに適したPCを1人1台の割合で配付。PCのセッティングやOSのバージョン管理をユーザー自身に作業させることで、企業の根幹となる情報技術力の向上を推し進めてきました。しかし、ユーザーの生産性を高めていくうえで、従来のクライアントPCの運用方式には課題があったといいます。

ソフトバンク・テクノロジー株式会社 業務推進本部 情報システム・セキュリティ部 部長代行 兼 業務推進本部 情報システム・セキュリティ部 システムグループ マネージャー 兼 業務推進本部 情報システム・セキュリティ部 インフラ・セキュリティグループ マネージャー 千家 敬比古氏はこの課題について、次のように説明します。

「生産性を高めるうえで、いつでもどこでも業務が行える環境を整備することは有力なアプローチです。こうしたモバイル ワークに適合したセキュリティ レベルを担保するには、まず属人化しているOSのバージョン管理を標準化せねばなりません。また、資産管理が不透明となっていた点も課題でした。たとえば、外販部門のユーザーが利用するPCには、これまでワークフローによる申請を経てBIOSパスワードを設定してきました。これはセキュリティの向上と資産管理を兼ねたものでしたが、実態として、外販部門の従業員すべてがこの申請を徹底していたのかが不明瞭だったのです。仮に徹底されていたとして、定期的にこの申請を課すことはユーザーへの負担にもなるため、クライアント管理の方式を見直す必要がありました」(千家氏)。

ソフトバンク・テクノロジー株式会社 業務推進本部 情報システム・セキュリティ部 部長代行 兼 業務推進本部 情報システム・セキュリティ部 システムグループ マネージャー 兼 業務推進本部 情報システム・セキュリティ部 インフラ・セキュリティグループ マネージャー 千家 敬比古氏

千家氏が語る課題に対して、Windows10への移行は大きな効果を生むことが期待されました。たとえば、Windows10が備えるディスク暗号化機能「BitLocker」を活用することにより、これまで外販部門で適用していたBIOSパスワード以上の強固なセキュリティ対策が実装可能です。また、ファイル単位で企業のリソースを保護する「Windows Information Protection(WIP)」など、Windows10はセキュリティに関する標準機能を豊富に備えており、クライアントOSをWindows10へ移行するだけで、ユーザーが利用するPCのセキュリティレベルを高いレベルで統一化できます。

システム概要と導入の経緯、構築
Windows10への移行を機にOSバージョンの標準化を進めることで、管理側の負荷削減も期待できた

Windows10では3種類のサービシング モデルのもとで更新プログラムの配付が行われます。コンシューマー向けの「CB(Current Branch)」では常に最新のアップグレードが適用され、企業向けの「CBB(Current Branch for Business)」ではアップグレードの検証テストを行うための猶予期間が設けられています。また、ミッションクリティカルな環境で Windows10を利用することを想定し、新機能は提供せずにセキュリティやバグの修正のみを行う「LTSB(Long Term Servicing Branch)」も存在します。

WaaSという形式で提供されるWindows10は、継続的に最新機能が提供されるというメリットがあります。しかし反面、企業向けのCBBでは、「2世代先のアップグレードのリリースから60日以内をサポート範囲とする」ことがサポートポリシーに明記されているため、バージョンとビルドの管理はこれまで以上に配慮する必要があります。これはソフトバンク・テクノロジーに限らず、Windows10への移行を検討する多くの企業が配慮すべき事項といえるでしょう。それゆえに、Windows10へ早期移行することは、同社ソリューションの価値を高めるという観点でも大きな意義があったのです。この点について、ソフトバンク・テクノロジー 営業統括 ソリューション企画本部 ソリューション企画統括部Cloud&IoTソリューション部 部長代行 山崎 優氏は次のように説明します。

「Windows10への移行において、お客様側で懸念されることが多いのが『バージョン管理』と『機能重複』です。標準機能の豊富さは、既存サードパーティ製品からの置き換えによるコスト削減や、運用のシンプル化といったメリットを生み出します。一方、機能重複を防止するために、移行においては綿密に移行計画を組み立てて検証作業を進めることが求められます。こうした知見やノウハウを当社が率先し蓄積することは、今後企業の Windows10移行を支援する中で大きな優位性になると考えました」(山崎氏)。

バージョン管理や機能重複へ配慮せねばならないことを背景に、Windows10への移行を躊躇する企業は現状で少なからず存在します。確かに移行前に検討、計画すべき事項は数多くあるものの、Windows10への移行を機にOSバージョンの標準化を進めることは、結果として管理側にもメリットを生み出します。 ソフトバンク・テクノロジー株式会社 業務推進本部 情報システム・セキュリティ部 インフラ・セキュリティグループ 萬屋 政佳氏は、同社におけるWindows 10への移行で見込んだ管理側のメリットについて、次のように説明します。

「WSUS(Windows Server Update Services)単体でもバージョン管理は可能ですが、パッチファイルがユーザー PC へ一気に適用された場合、ネットワーク負荷の増大でユーザーの業務効率を下げる可能性があります。これは生産性向上と逆行し、また IT 部門のユーザー サポート工数を増加させる原因にもなります。そこで当社では、SCCM(Microsoft System Center Configuration Manager)を用いたビルドとバージョンの制御を構想しました。SCCMではグループ ポリシーやパッチ処理の制御を柔軟に設定できます。その作業の多くは自動化できるため、最小限の負荷で運用が可能です。クライアントPC側にエージェントを入れれば最新のインベントリ情報も収集できるため、資産管理の透明化も期待できました」(萬屋氏)。

ソフトバンク・テクノロジー株式会社 営業統括 ソリューション企画本部 ソリューション企画統括部 Cloud & IoTソリューション部 部長代行 山崎 優氏

ソフトバンク・テクノロジー株式会社 業務推進本部 情報システム・セキュリティ部 インフラ・セキュリティグループ 萬屋 政佳氏

以上の背景から、ソフトバンク・テクノロジーではWindows10の提供が開始された2015年7月より、移行へ向けたアプリケーション互換性の検証を開始。Windows10が備える優れた互換性により、約2か月という短期間で検証作業は完了しています。 橘氏は、この検証では業務上で必要となる主要アプリケーションについて問題ないレベルで動作することが確認できたと、Windows 10の互換性を評価します。

「動作検証は基本的にIE11をベースに進めましたが、ほぼすべてのシステムが無事に動作しました。同時並行でMicrosoft Edgeでの動作検証も行ったところ、いくつか動作が不安定なシステムが存在しましたが、結果として、現在はユーザーを混乱させることなく、EdgeとIEを共存させた環境を構築しています」(橘氏)。

互換性検証の後、同社は2016年1月より、Windows10への移行を開始しました。まず外販部門など一部ユーザーのPCをアップグレードし、同年4月以降で新規調達するデバイスについてはすべて、Windows10搭載のPCを導入。2017年3月現在、社内にあるクライアントPCのおよそ1/3が、Windows10で動作しています。

導入の効果
Windows10 Enterpriseへの移行により、モバイルワークに適応できるセキュリティ水準を獲得

提供開始から半年にも満たない時期からWindows10への移行を進めることで、自社の生産性とソリューション価値の向上を目指したソフトバンク・テクノロジー。現段階ではまだ Windows7/8.1/10の3世代が混在している状況にありますが、それでもすでに、Windows 10の導入効果が生まれているといいます。 この効果について橘氏は、次のように説明します。

「Credential Guardといった機能を活用することで、モバイルワーク時代に備えるべきセキュリティが実装できていくと考えています。追加投資を行うことなく、OSの標準機能のみでこれが果たせる選択肢があることは、大きなメリットです。また、SCCMを活用することで Windows10のバージョンが標準化でき、インベントリ情報の収集をもって資産管理も透明化できました。まだ検証段階ではありますが、Windows10の標準機能を利用することで、今後購入を検討するサードパーティ製品の費用も削減可能だと思います。こうしたコストを未然に抑えることが可能である点も、Windows10の大きな魅力だと感じます」(橘氏)。

バージョンとビルドの管理イメージ図。バージョンアップの適用はIT部門で先行して適用し、その後ユーザー環境へ適用する。Windows Updateの適用先をSCCMに変更することで、ネットワーク帯域をひっ迫せずにパッチの適用が可能。また、SCCMの管理機能と連携させることで、WSUS単体では行えないビルドの適用制御も実現している

Windows10はセキュリティ以外にも、PDF出力といったユーザーの利便性を高める機能を豊富に備えています。これらは、橘氏が触れたコストメリットだけでなく、シャドーITの抑制といった面でも有効だと千家氏は続けます。

「ユーザーは業務の生産性を高めるためにさまざまなツールを活用します。仮にユーザーが必要とするツールを会社が支給していない、または支給するツールの利便性が悪い場合、ユーザーは(たとえ禁止していたとしても)フリーのソフトウェアを利用してしまいます。生産性を高めたいという前向きな動機ではあるものの、近年のフリーウェアは収益目的で他のアプリケーションを抱き合わせでインストールするものが多く、企業としてはシャドーITのリスクを高めることとなります。Windows10が備える豊富な標準機能は、こうしたリスクを排除する意味でも有効でしょう。当社ではWindows10のPDF出力機能を実際に利用していますが、こうした機能が今後ビルドで順次追加されていくことには大きく期待しています」(千家氏)。

また、実際にWindows10を搭載したPCを業務利用する山崎氏は、同OSの利便性の高さについて次のように評価します。

「お客様からは『新たなOSへ切り替えることでユーザーに混乱が生じるのではないか』という懸念の声をよく耳にします。私はこれまで Windows7のPCを利用してきましたが、Windows10ではむしろ使い勝手が向上していますので、お客様にも安心して移行いただきたいと考えています。これまでセキュリティパッチの蓄積でPCのストレージ容量が切迫したり、そのためにアップデート自体が実施できなかったり、といったことがありましたが、SCCMを経由したパッチ、ビルドの適用へ変更したことで、こうしたストレスを生む作業もなくなっています」(山崎氏)。

山崎氏が実際に Windows10のPCで業務する様子。Windows10により、外出先であっても高いセキュリティ水準のもとで、社内システムへのアクセスや作業が可能。外販部門の従業員は、Surface Pro4を含む3機種から業務に合ったPCを選択できる

今後の展望
ビッグデータ活用のアプローチで、1人ひとりの業務にまで踏み込んだ生産性向上を進める

ソフトバンク・テクノロジーでは近い将来、社内にある全PCをWindows10へ移行することを計画しています。社内で稼動する Windows10の比率が高まるにつれ、先に触れた導入効果はいっそう高まっていくこととなります。 山崎氏は今後、Windows10への移行を進めるのと並行し、ビッグデータの要素もそこへ取り入れることで、1人ひとりの業務にまで踏み込んで生産性向上を支援していきたいと意気込みます。

「Windows10、SCCM、Office 365、EMSなど、多くのマイクロソフト テクノロジをもってクラウドトランスフォーメーションを推進してきました。今後はこれらのICTで収集、蓄積した情報をビッグ データとして活用することで、取り組みのさらなる発展を計画しています。たとえばSCCM上から取得できるログや、企業が持つログを収集、集約することで、社員1人ひとりの業務に存在する行動傾向が分析できます。そこでは業務上の課題も見える化できるため、生産性向上に向けた有力な情報として活用できるでしょう。こうした取り組みについても、まずは当社内で十分に知見を蓄積した後、お客様へよりよい環境を提供していくため、サービスとして拡充、提案していきたいですね」(山崎氏)。

さらに、橘氏は、在宅やテレワークといった多様な働き方ができる業務環境の整備が必要だと語ります。

「企業間の競争は年々激しくなっています。事業を継続するうえで、いかにして優秀な人材に働き続けてもらうかが、多くの企業にとって課題化しています。一方でライフステージにはさまざまな節目があり、必ずしもすべての人材が出社を前提に働き続けられるわけではありません。近い将来で、テレワークや在宅勤務といった就業形態を採用する必要が出てくるでしょう。いつどこにいても『出社勤務と同様に不便なく業務できる環境』が構築できれば、自ずとテレワークや在宅勤務は企業風土として根付いていくはずです。ICT環境の整備は、既に十分な水準にまで到達していると考えています。今後はこの環境が積極的に活用されるよう、先進的な技術と知見を提供し続け、お客様のワークスタイル変革や企業文化の醸成に貢献できればと考えています」(橘氏)。

ソフトバンク・テクノロジーが実践する生産性向上の取り組みは、多くの企業にとっても有用なものといえます。ビッグデータの活用など、同取り組みは今後いっそうの発展が計画されています。そこで得た技術や知見をもって、同社が提供するソリューション価値も、さらに向上していくことでしょう。

ユーザーコメント
「Credential Guardといった機能を活用することで、モバイルワーク時代に備えるべきセキュリティが実装できていくと考えています。追加投資を行うことなく、OSの標準機能のみでこれが果たせる選択肢があることは、大きなメリットです。また、SCCMを活用することでWindows10のバージョンが標準化でき、インベントリ情報の収集をもって資産管理も透明化できました。まだ検証段階ではありますが、Windows10の標準機能を利用することで、今後購入を検討するサードパーティ製品の費用も削減可能だと思います。こうしたコストを未然に抑えることが可能である点も、Windows10の大きな魅力だと感じます」

ソフトバンク・テクノロジー株式会社
業務推進本部
副本部長
兼 CISO 兼 CIO代行
橘 勝也氏

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