Tintri OS 3.2では、ティントリならではの先進的な技術として、アプリケーション開発の効率化やデータ保護・復旧、さらには災害対策に向けた機能がふんだんに盛り込まれている。災害対策・事業継続などの重要性や関心が高まっている現在、Tintri OS 3.2ではどのような利便性をユーザーに提供するのであろうか。
データ保護のための、スペース効率の良いスナップショット
Tintri OSではスペース効率の良いスナップショットを作成することによって、パフォーマンスに影響を与えることなく、VM単位でデータを保護することができる。Tintri OSではVMごとのパフォーマンスを管理できることはすでに述べたが、「データ保護」においてもVM単位を実現する。そして、デフォルトのスナップショットスケジュールですべてのVMを自動的に保護する。また、スケジュールをカスタマイズして設定することで、データ保護に関する、ユーザーの要求に応じた具体的なニーズに対応することも可能だ。
こうした機能を持つTintri OSであるが、ティントリでは今回、バージョン3.2において「Tintri SyncVM」が利用できるようになった。
仮想環境を新しい本番データで更新しようとする場合、これまで一般的に行われていた方法では、データのコピー、スナップショット内でのターゲットVMの識別、新しいデータセットを使用するための既存のVMの再構成などといった複数のステップに渡る作業が必要であった。アプリケーションを開発するような環境では、本番環境への移行に多大な手間と時間がかかっている現状があった。
これに対し、Tintri SyncVMでは、VMの規模やサイズにかかわらず、数分で効率的にVM単位のコピーデータ管理を行うことができる。これにより、データ保護とともにアプリケーション開発の効率化を図ることが可能となる。
VMのデータ更新を即座に行い、開発・テスト工程を効率化
Tintri SyncVMでは、大きく分けて次の二つの機能を新たに実現している。
一つ目は、VM単位でVM間の効率的なスナップショットコピー管理が行えるクローニング(*6)の仕組みだ。具体的には、本番稼働しているVMのスナップショットから、vDisk単位で任意のVMにデータを即座に更新することができる【図3-1】。ユーザーインターフェース上で数回クリックするだけで復旧または同期が完了するため、アプリケーション開発およびテスト工程を効率化することができるようになる。この仕組みは開発のサイクルを高速化したい企業にとって大きなアドバンテージとなる。
vDisk単位での更新は、最新の本番データを使って開発や検証を行いたいといった場合に有効な手段となる。また、更新するといっても、重複排除機能を備えたTintri VMstoreでは、メタデータを変更するだけで実データのコピーを行っていないため、数テラバイトの規模のデータであってもほとんど時間がかからずにすむ【図3-2】。
二つ目の新機能は、「タイムトラベルVMリカバリー」機能だ。この機能によって、以前に取得したスナップショットのバージョン間を、あたかも“タイムトラベル”のように前後に移動して選択し、それぞれの状態にVMをリカバリーすることができる。リカバリー後も以前のスナップショットとパフォーマンス履歴は保持されるため、任意の時点に何度もリカバリーすることが可能となる【図3-3】。
実際には、これまでもスナップショットを利用してVMを複製することは可能であったが、新しいVMをつくるとIPアドレスなどの環境が変わってしまうため、設定を一部変更する作業が生じてしまうという手間が発生していた。しかし、Tintri SyncVMではそうした作業を解消し、同じVM環境で利用できるようになった。この点がまさしくティントリならではの先進機能であり、ユーザーとって大きなメリットもたらすであろう。
注釈〉
(*1)LUN(Logical Unit Number):複数のドライブを持つ装置に個別にアクセスできるようにするための論理的な識別番号。
(*2)ボリューム:ストレージ記憶領域ひとかたまりの単位。
(*3)QoS (Quality of Service):アプリケーションの要求するパフォーマンスを、いかに満足できるように提供(サービス)できるかの尺度、およびそれを実現する技術・機能。
(*4)IOPS(Input Output Per Second):記憶装置の性能指標の一つで、1秒間に読み込み・書き込みできる回数のこと。
(*5)レイテンシー:データを要求してから、そのデータが返ってくるまでにかかる遅延時間のこと。
(*6)クローニング:データや設定情報を含め、全く同じ情報を複製すること。
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