1963 年に設立された大鵬薬品工業株式会社(以下、大鵬薬品)は、新薬開発に積極的に取り組み、経口抗がん剤のパイオニア企業としても知られる大塚グループ傘下の製薬会社です。同社は医療用医薬品とコンシューマーヘルスケアの 2 つの主要事業分野を持ち、グローバルに事業を展開しています。まず医療用医薬品分野では、「がん」「免疫・アレルギー」「泌尿器」の 3 つの領域に注力して研究開発を行っている点が特徴です。一方のコンシューマーヘルスケア分野では、栄養ドリンク、胃腸薬、トローチ、ウイルス除去・抗菌スプレーなど、日頃の暮らしでもなじみのある、生活者に寄り添う製品を製造・販売しています。
 
同社では対面を中心とする会議のスタイルから、Web 会議中心のスタイルへと変革を進めていました。ただ、会議室で使用していたシステムの音声品質や、会議前後の準備・後片付けに課題があり、新たな Web 会議システムとして Microsoft Teams を導入。さらには、本社移転を機に Microsoft Teams Rooms に対応したロジクール 会議室ソリューションも採用し、よりスムーズな会議運営を促進しています。

本社移転を機に、Web 会議システムの課題解決に乗り出す

大鵬薬品は全国に支店・出張所や研究所、工場など数多くの拠点を有しているため、Web 会議はもともと多く実施していたのですが、近年グローバル化が進展したことで、開催数がますます増えてきていたといいます。ただ、その Web 会議においては課題があったと、情報システム部 IT 企画推進課 課長の髙橋 亮 氏は述べています。

  • 大鵬薬品工業株式会社 情報システム部 IT 企画推進課 課長 髙橋 亮 氏

    大鵬薬品工業株式会社 情報システム部 IT 企画推進課 課長 髙橋 亮 氏

「Web 会議の音声が聞こえづらいという話が以前から出ていました。当社では 2021 年 9月に本社移転を予定していたため、そのタイミングを契機として、スムーズにコミュニケーションできる新しい Web 会議ソリューションの検討を 2019 年頃から始めていたのです」(髙橋 氏)。

音質面だけでなく、会議室で利用する Web 会議用のマイク、スピーカー、プロジェクターといった機器は、会議前に毎回保管場所のキャビネットから取り出して設置し、会議終了後は一つひとつ片付けなければなりませんでした。こうした実務面での非効率が発生していたことも課題だったと、同課の坂井 秀行 氏は話します。

  • 大鵬薬品工業株式会社 情報システム部 IT 企画推進課 坂井 秀行 氏

    大鵬薬品工業株式会社 情報システム部 IT 企画推進課 坂井 秀行 氏

「準備と片付けに時間がかかってしまい、次の会議室の利用者を待たせてしまうことがよくありました。また、設置の際にケーブルの接触不良があったり、片付けが煩雑で収納場所の間違いや紛失があったりと、トラブルが頻繁に発生している状況でした」(坂井 氏)。

同社ではそれまでメールでのコミュニケーションがほとんどだったため、新たな Web 会議ソリューションを検討するにあたり、より円滑な社内・グループ内コミュニケーションを実現する手段としてチャットツールの導入も考えていたといいます。その基準で検討を行った結果、Web 会議だけでなくチャットも含めたさまざまな機能を統合する Microsoft Teams を選定しました。

この検討の時期は、新型コロナウイルスの感染症拡大が本格化する直前の 2019 年から2020 年初めにかけてでした。そして導入も 2020 年 2 月に行われています。つまり同社としては、コロナ禍での急場しのぎのリモート対応としてではなく、緊急事態宣言が出される前の段階ですでに Microsoft Teams を利用し始めており、導入も着実かつスムーズに進んだといいます。

Microsoft Teams との親和性と機器の性能を高く評価

Microsoft Teams の導入と並行し、大鵬薬品では会議室におけるシステムの課題解決にも取り組んでいました。「やはり、会議のたびに機器を出してきて設置し、終わったら片付けるというフローを毎回繰り返すのは大変なので、常設の機器でスムーズに会議を運営できることを目指しました」(坂井 氏)。

そうしたソリューションを検討していたところ、2019 年秋にニュースリリースを見て存在を知ったのが、カメラ・マイク・スピーカー・ミニ PC とタッチディスプレイ式コントローラーを備える会議室向けビデオ会議システムに、Microsoft Teams Rooms を組み合わせた、ロジクール 会議室ソリューション Microsoft Teams Rooms 用でした。

「検討を進める中、Microsoft Teams との連携という点で他社にはないソリューションであることがわかりました。その後、デモルームで使用感を体験し、デモ機の実機検証も行ったうえで、ロジクール製品のマイク・スピーカーの音質の良さとカメラの映像品質の高さに着目。コスト面でも他社製の機器構成に比べて安価であることを評価し、自社での検証用としてロジクール Tap タッチコントローラーを含むロジクール 会議室ソリューション Microsoft Teams Rooms 用 1 式を先行購入しました」(坂井 氏)。

2020 年秋から PoC をスタート。実際に会議室に設置し、情報システム部及び本社移転プロジェクトの主管部門である総務部のメンバーで試用・評価を重ねました。翌 2021 年 3 月にはその 1 式を社長室に移設し、役員会議でも利用してもらうなどして、スムーズな導入に向けた準備を進めたといいます。

こうした段階を経て、2021 年 9 月の本社移転に合わせ、本社内の 21 部屋にロジクール 会議室ソリューション Microsoft Teams Rooms 用として、各部屋のサイズに応じた会議用カメラと Tap タッチコントローラーが常設されました。Microsoft Teams については、本社だけでなく各拠点も含めて Web 会議で本格活用されるようになっており、社内のコミュニケーション及び情報共有基盤としてなくてはならないツールになっていました。そこに Microsoft Teams Rooms を使えるロジクール 会議室ソリューションが導入されたことで、会議室ではもちろん、オフィスにおいても自分のパソコンからスムーズに Web 会議を利用できる環境が整いました。

Microsoft Teams Rooms の採用を決定した際の決め手について、坂井 氏は次のように説明します。「主に 3 つあります。1 つは、すでにコミュニケーションツールとして Microsoft Teams を使っていたため、親和性に注目したこと。2 つ目は、社外との Web 会議で他のツールの利用が余儀なくされた時にも問題なく利用できること。そして 3 つ目が、音声品質及び会議室での前準備・後片付けというこれまで抱えていた課題を解決できる点です」(坂井 氏)。

  • Microsoft Teams 以外の Web 会議への参加も可能

    Microsoft Teams 以外の Web 会議への参加も可能

Microsoft Teams の利便性が活きるソリューションで会議室にまつわる課題をクリア

移転後の本社の新しい会議室で活用が始まった、Microsoft Teams Rooms とロジクール 会議室ソリューション。会議室自体の設計が変わると室内のさまざまな設備・機材の使い心地も変わってしまうというのはよくある話ですが、大鵬薬品では Microsoft Teams 自体は以前から使っていたため、「会議室が新しくなっても変化をそれほど感じず、スムーズに利用できた点はとても良かったと思っています」と坂井 氏は評価します。髙橋 氏も「たとえば会議予約は従来の Microsoft Teams と同じプロセスですから、改めて操作方法を学ぶことなく手軽に予約できるのは大きなメリットです」と語ります。実際に、使い方がわからないという問い合わせはほとんどないとのことです。

この導入によって、同社が抱えていた会議前後の機材準備・片付けの手間がなくなり、作業の効率化と時間の有効活用が実現されたほか、ロジクールの高品質なマイク・スピーカーによって音声も聞き取りやすくなり、会議に集中できるようになったという声が聞かれているそうです。自分のパソコンや部署の共有パソコンを会議室に持ち込むことなく社外との面談や資料共有ができるようになり、利便性と快適性が上がったと評価する声も多く出ています。そのほか、会議参加者全員が写るようズームしてくれるため表情がよく分かり、オフィスとリモートワークのハイブリッド会議でとくにメリットを感じているとの声もありました。

「新しい機器ですので、まずはどんどん使ってもらうことが重要です。そして、本社導入の効果が周知されたら他の拠点にも展開し、いっそうの業務効率化に寄与したいと考えています。生産性向上への具体的効果は今後検証していきますが、コストに関しては準備・片付けの時間削減により 2〜3 年で回収可能な投資であると考えています」と、髙橋 氏はコスト面での効果についても手応えを感じています。

  • 会議室に設置されたデバイスによってワンタッチで Teams ビデオ会議を開始することができる

    会議室に設置されたデバイスによってワンタッチで Teams ビデオ会議を開始することができる

IT部門主導による業務効率化に向けたDX推進に意欲

今回のロジクール 会議室ソリューション Microsoft Teams Rooms 用の導入は、髙橋 氏、坂井 氏が所属する情報システム部、すなわちIT部門が主導して実現したものです。最後に髙橋 氏が、大鵬薬品における今後のIT・デジタル活用に向けて、次のような展望を語ってくれました。

「製薬会社としては、新しい薬を一日も早く、安定的にお届けしていくことが最大の使命です。それを実現するには社内外のコミュニケーションが不可欠。会社全体の DX については経営企画部が推進していますが、情報システム部としても今回のようなソリューションはもちろん、AI や VR をはじめ新しい技術もシーズベースで試し、業務に役立つものがあれば積極的に活用を提案して DX を実現していきたいと日々考えています。今回はハイブリッドワークで効果を感じたという声も聞いているので、これからも新しいテクノロジーを活用し、働き方の変革に取り組んでいきたいですね」(髙橋 氏)。

同社のこれからの DX を、引き続きマイクロソフトが力強くサポートしていきます。

[PR]提供:日本マイクロソフト