NTTデータグループの柏原です。アジャイルで開発しているデジタルCAFISと呼ばれる弊社の中でも先進的な取り組みをしているプロジェクトの中でSRE兼システムアーキテクトとして活動しています。 今回、Apptio社の主催する「Japan TBM Summit 23」で発表者として登壇したので、レポートさせて頂きたいと思います。

「Japan TBM Summit 23」カンファレンス概要

Japan TBM Summitは本年で3回目となるイベントです。過去2年間は新型コロナウィルスの影響もあり、オンラインで開催されましたが、今回Japan TBM Summit 23は、赤坂で初のオフライン開催(開催日は8/31)となりました。
Apptio社が採用した企業から登壇したエグゼクティブを中心に“Why : なぜTBM/Apptioが必要とされるのか”、“How : どのようにTBM/Apptioを導入しているか”、“What : TBM/Apptioからどのような成果が出ているか”の3つの視点に分けたセッションに加え、活用事例のセッションとして弊社の”Cloud:クラウド投資からどのように価値を生みだすか”のセッションが行われました。参加者もマネージャ、役員クラスの方が多数参加するプレミアムなイベントでした。

  • イベント登壇写真①

発表内容

今回、”Cloud:クラウド投資からどのように価値を生みだすか”の視点からのセッションにおいて、公演の前半でApptio社の片倉さまがFinOpsについての概要とApptio Cloudabilityについてのデモを、後半でNTTデータのFinOpsのPoCの事例をお話ししました。前半のApptio社の片倉さまの発表はFinOpsの具体的な要素についての話をご説明いただいたのち、Cloudabilityの実際の画面を見せながら、具体的にどのような情報がどのように見えるのかが説明されました。

私は、「NTTデータにおけるFinOpsによるクラウド投資管理事例」というタイトルで、弊社におけるクラウド重点技術領域である「CloudOps Transformation」についてお話し、Apptio社のCloudabilityを活用したFinOpsの実践の経験をケーススタディとして発表しました。

  • イベント登壇写真②

昨今のVUCAとよばれる不確実なビジネス環境において、変化に追従していくためには、アジリティ・信頼性・コストのバランスをとっていく必要があります。NTTデータでは、クラウドの課題にとどまらず開発体制やプロセス全てをひっくるめたアジリティの高いビジネス成長を目指すための「CloudOps」を推進しています。
「CloudOps」というのは、価値創出のための継続的なクラウド運用のより発展したプラクティスです。
DevOpsのツールや文化などが、システム特性として、クラウドのノウハウやプラクティスなどはそれぞれ成熟していますがこれらを単独ではなくさらに融合、発展したCloudOpsとしてビジネスアジリティを高めていく、「CloudOpsにTransformする」という世界をNTTデータは目指しています。CloudOpsを構成する1要素がFinOpsという位置付けになります。

  • CloudOpsを説明する様子

FinOpsの具体的な活用事例では、NTTデータ内製の決済ネットワークシステム「CAFIS」のデジタルトランスフォーメーションのためのデジタル特区「デジタルCAFIS」という組織にFinOpsを導入した事例をご紹介しました。

デジタルCAFISでは複数のプロダクトチームがクラウドを直接利用してサービスを提供する形でしたが、この時に利用したクラウドリソースの利用料は利用した組織でまとめて一括で支払われている状況でした。
この状況下において、各プロダクトチームは支払いに関わらないのでどのくらい使ったかを意識するモチベーションがなく、チームはリソースが適正量かどうかによらず大きいリソースを選ぶようになっており支払う料金はどんどん増えていました。さらに、全体での料金がスケールに伴い増えていることはわかっても、どのチームが何にどのくらい利用しておりどのくらい余分に余らせているのか/適正に利用できているのかは分からないという課題がありました。
デジタルCAFISでのクラウド投資に関する課題を、FinOpsを導入によって解決を図り、当初の目論見通り上記の課題を解決できるようになりました。
デジタルCAFIS全体でFinOpsツールであるCloudabilityを導入することで、どのチームがどのくらい利用しているか横串でわかるようになり、妥当性のあるクラウド投資計画を立てられるようになりました。また、チーム単位で支払いをするようにしてKPIを持つことでクラウド利用を最適化するモチベーションを持てるようになり、利用量の最適化をチームで取り組めるようになりました。

  • FinOps導入事例を説明する様子

PoCとして1度単発での改善活動を実施して終わりではなく、クラウド投資最適化のサイクルをチーム活動のみならず組織の活動のサイクルの中に組み込めたこと、Fin「Ops」として実施できた点が大きな成果でした。
Cloudabilityがもたらす情報が分析・改善活動の重要な情報源となったり、KPIをプロダクトチーム単位で持つことがコスト改善の活動をするためのモチベーションとなったり、チーム自体にアジャイル・改善の文化が備わっていたりしたことがデジタルCAFISの組織でFinOpsのPoCが成功した要素だったのではないかという考察で発表を締めさせていただきました。

Apptio Awardsの受賞について

本イベント内で、先進的な取組をされている企業に対してApptio社から授与されるApptio Awardsの発表がありました。弊社も FinOpsをベースとしたクラウドコスト管理の高度化を目指し、取り組む企業に対して送られるApptio Award:Cloud FinOps Excellenceをいただきました。今後ともFinOpsの取り組みをより浸透させていけるように活動していきたいと思います。

  • Apptio Awards発表の様子

おわりに

今回、社外の方が集まる大々的な場で発表させて頂いたのははじめてでとても緊張しましたが、弊社の取り組みを社外に発信する貴重な体験ができました。今回の発表がみなさまのFinOps導入の検討に繋がればと思います。
私の発表内容も含むイベントコンテンツ自体が2023/9/19-2023/10/20の期間限定ですがオンデマンド配信される予定なので、ご興味があればぜひそちらもご確認してみてください。当該期間中にイベントサイトからアクセス可能とのことです。

なお、弊社では、FinOps導入のためのコンサルティングサービスからツールの導入、効果測定までエンドツーエンドでサービスを提供していますので、興味がある方はぜひこちらまでお問い合わせください。

関連リンク

Japan TBM Summit 23
https://www.event-info.com/tbm23/

Apptio Award 2022
https://www.apptio.com/ja/company/news/press-releases/announced-apptio-japan-awards-2022-recognize-itfm/

AApptio Award 2023
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000055626.html

CAFIS
https://solution.cafis.jp/

NTTデータのクラウドサービス
https://dc.jp.nttdata.com/cloud/index.html

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