• 共和メディカル株式会社 統括本部のメンバー

ビジネスや生活にITが浸透し、人々の生き方・働き方が多様化したことで、企業活動の軸となる人事労務の領域でもデジタル化を含めた業務改革が進んでいます。人事労務の仕事を最前線で支えるキーマンに、人事労務の可能性を広げる経験や考え・ビジョンを語ってもらう本連載。第2回となる本稿では、共和メディカル株式会社 取締役 統括本部 部長 西村 翼 氏に話を伺い、“攻め”の業務を内包した「新しい人事労務のあり方」について語っていただきました。

「小さな本部」への変革を目指してバックオフィス業務を見直し

  • 共和メディカル株式会社 統括本部 部長 西村 翼 氏

──はじめに、共和メディカル様が展開している事業の内容と企業理念についてお聞かせください。

もともとはジェネリック薬品メーカーとしてスタートし、現在はジェネリック薬品の卸売業をはじめ、調剤薬局を大阪・和歌山を中心に11店舗展開しており、さらに「医食同源」をスローガンに掲げたヘルシーフード事業も推進しています。また、グループ内のキョーワメディカルケア株式会社では、訪問看護や訪問リハビリも行っており、『地域医療に密着し、健康を通して社会に奉仕』というビジョンのもと、さまざまな事業を展開しています。

──多様な事業を展開されている共和メディカルグループですが、そのバックオフィス業務全般を担っているのが、西村さんが部長を務められる統括本部と伺っています。統括本部の業務範囲と掲げているミッションについてお話しいただけないでしょうか。

共和メディカルの統括本部は、いわゆる管理部門になりますが、人事労務、経理、財務といったバックオフィス業務だけでなく、事業開発や広報といった領域にまで幅広く携わっています。私が部長として統括本部に入った際には、バックオフィス業務を効率化して少人数で回す「小さな本部」への変革がトップダウンのミッションとして課せられており、そして同じタイミングでベテランの人事担当者と経理担当者が同時に退職するタイミングでした。このため、短期間で現状の業務を把握し、人数削減も見据えた業務環境の再構築に着手することになりました。

共和メディカルでは、全社的な目標として『お客様立場主義』を掲げており、たとえば薬局部門であれば利用者が、営業部門ならば病院やクリニックの先生、調剤薬局の方などが「お客様」になります。統括本部の場合は、グループ会社を含めた社内の従業員すべてが「お客様」であり、「社内の人たちすべてをどう支えていくか」という思いが根底にあります。今回の業務改善の取り組みも、この理念をもとに進めていきました。

  • 同社を象徴するカラーである緑を基調とした、開放的なオフィス

  • 風通しの良い職場環境

──そうした業務改善の一環として、バックオフィスSaaS『マネーフォワード クラウド』を導入されていると伺っています。

先ほど話したように、私が着任したタイミングでベテランの人事・経理担当者が退職してしまったこともあり、これまでの業務をそのまま引き継ぐのは非常に難しい状況でした。業務ごとにシステム化は行われているものの、各システムが連動しておらず、ベテランの経験とスキルに頼った業務、いわゆる属人化が進み、ヒューマンエラーが起きやすい業務環境になっていました。そこで、システムを入れ替えて業務の仕組みを再構築する必要があると判断しました。

システムの選定にあたっては、導入・運用のしやすさやコスト面を考慮してクラウドサービスを中心に調査を進めました。いくつか候補をピックアップしたのですが、当時の業務は仕訳の数が多く、それに合わせてスムーズに運用できるサービスとしてはマネーフォワードが一番でした。また導入支援サービスが充実していたことも採用を決めた要因の1つです。

──システム導入にあたっては、現状の業務の見直しと再構築も行ったと聞いています。

マネーフォワード クラウドは、自社の業務に合わせてフルスクラッチで作り上げるものではなく、標準的な人事労務の機能を備えた汎用的なソリューションです。そこで導入を機に、「システムに業務を合わせる」ことを目指して業務改善に着手しました。これまでの業務を棚卸しして「何となく分けていた部門」や「何となく作っていた勘定科目」などを整理しました。

そしてマネーフォワード クラウドの社内啓蒙を行いながら「クラウド経費」「クラウド給与」「クラウド会計」と導入を進め、マネーフォワードとAPI連携可能な勤怠管理システムも導入し、業務とシステムを再構築したことで、効率化を実現しています。

──業務の最適化とシステムの再構築を併行して進められたことによる成果についてお聞かせください。

人的リソースの大幅な削減に成功しています。たとえば給与計算では、勤怠の締め処理から給与計算まで、ベテラン社員でも最低3日はかけていましたが、マネーフォワード クラウドの導入で、イレギュラー処理を除けば2時間程度で終わるようになりました。現在は私1人で担当しているので、効率化できて非常に助かっています。

また、以前のオンプレミス環境で運用していたシステムでは、アップデートなどのメンテナンス作業に時間と手間がかかっていましたが、クラウドサービスに移行したことで、自動的に実行されるようになり、運用面での負荷も軽減されています。その結果、統括本部の業務は私を含めて3.5人(1人は兼務)で回せるようになり、「小さな本部」を実現できています。

さらに業務改善により空いた時間を使って、統括本部の業務範囲を拡大していくといった取り組みを進めることができているのも大きな成果です。教育や広報といった領域の強化を図っているほか、統括本部内に事業開発課を設置し、新事業の開発にも着手しています。これにより、統括本部にバックオフィス(間接部門)だけでなく、利益を生み出す事業部門(直接部門)としての機能を持たせることに成功しています。

“攻め”の業務も内包することが、事業部の社員に寄り添う「新しい人事労務のあり方」の1つ

──人事労務担当者は、一般的に「事務的な作業をする人」というイメージがありますが、事業部門の業務にまで携わる統括本部の西村さんは、こうしたイメージに対してどのように感じておられますか。

そうですね。共和メディカルは創業から一貫して「ご縁を大事にする」会社で、言い換えれば「人」を財産として活動を続けてきました。その意味では、人事労務は企業の根幹を成す仕事といえます。先に述べた『お客様立場主義』でいえば、人事労務を担う統括本部のお客様は「社員」であり、社員のモチベーションを上げたり、社員のための新しい仕組みを作ったりすることが重要なミッションとなります。

たとえば営業部門には「休まないのが当たり前」という文化が根強く残っていたりしますが、“社員のため”を理念に掲げるのならば、どのようにすれば休めるのかを人事労務側で考えていくことが大切です。働いた結果の計算だけでなく、社員の悩みに対して会社の仕組みを変えていくところまで考えるのが人事労務の仕事だと考えています。実際、共和メディカルの営業部では、今期から社員に裁量を渡した変形労働時間制を導入し、社員の立場からの「働き方改革」を推進しています。

──バックオフィス業務全般を担う共和メディカルの統括本部が、事業部門の領域にまで業務範囲を拡大していくことの意義についてどのようにお考えでしょうか。西村さんが思い描く「新しい人事労務のあり方」と合わせてお話しいただけないでしょうか。

管理部門(統括本部)が一方的にコスト削減や業務効率化をお願いしても、「日々の仕事で手一杯で、新しいことをする暇はない」と事業部門から反発されるケースは少なくありません。統括本部自身が、自分たちの業務を少人数でしっかりとこなし、さらに新規事業の開発などの業務にまで携わっているところを見せることで、社員の意識が変化してくるのではないかと期待しています。さらに統括本部が新規事業の開発を担うことで、事業部門の業務負荷を軽減するという効果もあります。

管理部門がバックオフィス以外の“攻め”の業務も内包することで、社員に寄り添う人事労務の仕事が行えるようになる。これが私たちの考える「新しい人事労務のあり方」です。マネーフォワード クラウドの導入においても、単なる業務改善で終わらせるのではなく、人事労務の枠を超えたチャレンジにつなげていく。こうした姿勢がマネーフォワードに評価され、「Forward Award 2021」(※)エンプロイーサクセス賞の受賞につながったのではないかと考えています。

アウトソースを利用することで時間を確保し、「攻め」の業務に注力できる環境の構築を目指す

──今回の取り組みを踏まえて、共和メディカルグループおよび人事労務を担う統括本部が見据える今後の展望についてお話しください。

共和メディカルグループとしては、『地域医療に密着し、健康を通して社会に奉仕』するというビジョンを軸に、ブレることなく地域貢献を目指していきます。統括本部としては、今回マネーフォワード クラウドのサービスを導入して構築した仕組みが完成形だとは思っておらず、今後も継続して業務環境の整備を行っていきたいと考えています。

また、業務の幅をさらに広げるために、アウトソースの利用も検討しています。経理や給与計算などのルーティーンを外部のアウトソースに任せることで、統括本部の人的リソースを新しいチャレンジに振り分けていきたいと考えています。選定時にはそこまで意識していなかったのですが、ユーザーが多いマネーフォワード クラウドを導入していることで、アウトソースを利用しやすいというメリットがあることを感じています。

──最後に「新しい人事労務のあり方」を模索している企業・組織の担当者や、これから人事労務に携わりたいと考えている人にメッセージをお願いします。

人事労務の仕事はルーティーンになりがちで、同じ作業の繰り返しが多いのは事実です。もちろん正確性が要求される重要な業務ではありますが、それだけでは面白みを感じられずモチベーションが低下してしまいます。

そこで業務の見直しやシステムの再構築などで効率化を図り、空いた時間で”攻め”の業務に携わってみてはいかがでしょうか。当社では、前期からコンサルティング事業部を設立し、営業先等の悩みを解決するための事業を展開しています。給与計算、経費精算などバックオフィスに悩みを抱える企業も多いことから、自分たちが取り組んできた業務改善の経験がコンサルティングに活かせるのではないかと期待しています。

また、繰り返しになりますが、社員をお客様として、社員のための新しい仕組み、すなわち人事制度自体の変革にまで携わっていくことも重要と考えています。実際、営業部門に変形労働時間制を導入したところ、産休から戻ってきた女性社員が営業部に配置転換して活躍したり、新卒の女性社員2人が営業部への配属を望んだりと、これまで営業部門では少なかった女性の活躍が目立つようになってきました。これも人事労務の立場から実現した業務改善の成果といえます。社員のため、会社のための取り組みを強く意識することで、人事労務の仕事にやりがいを感じられるのではないでしょうか。

(※)Forward Awardについて
「Forward Award」は、マネーフォワードが主催する、ビジネスシーンにおいて、困難や課題に挑戦し、事業や社会を前進させた方々を表彰するアワード。「困難な経営へのチャレンジ」「未知なるプロジェクトへの挑戦」「日頃の業務の課題解決」など、様々な局面において、果敢に挑戦した方々が称賛され、誇りと自信をもって新たな目標に向かってチャレンジすること、そして、より多くの人々がその挑戦に感化され、日本全体が挑戦することに前向きな気持ちになることを目的としている。

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会社概要

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