リモートアクセスプラットフォーム「moconavi(モコナビ)」を提供するレコモット(recomot)が Microsoft Azure 活用を本格化させています。リリース間もない Azure Communication Services を採用し、moconavi と Microsoft Teams のシームレスな連携を実現。また、新サービスとなる LGWAN 向けコミュニケーションサービスの基盤や金融機関向けサービスの基盤にも Azure を採用し、エンタープライズ顧客のニーズに高い信頼性で応えています。2005 年の創業から成長を続ける同社は、なぜマイクロソフトのサービスを積極的に採用するのか。ポイントは、技術だけでなく、レコモットのモダンな環境や文化を支えるサポート体制にあります。

「今いる場所が、オフィスになる」をコンセプトに「moconavi」を提供

「時間と場所を超えた働き方を提唱し、社会の生産性に貢献する」をミッションに 2005 年に設立し、人を中心としたワークスタイル変革を推進するためのさまざまなコミュニケーションサービスを提供するレコモット(recomot)。社名には、あらゆるコミュニケーションをつなげていくという意味の造語「Relational Communication」を、モバイルテクノロジー(Mobile Technology)で実現するという狙いが込められています。

レコモットの主力サービス「moconavi(モコナビ)」は「今いる場所が、オフィスになる」をコンセプトに 2007 年にリリースされたリモートアクセスサービスです。スマートフォンをはじめとしたスマートデバイスやクラウドサービスが急激に普及するなかで、moconavi は「モバイルコミュニケーションナビゲーター」としてアプリケーション管理の市場でトップシェアを獲得します。

創業者で代表取締役社長 CEOの東郷 剛 氏は、レコモットのビジネスについて、こう話します。

  • 株式会社レコモット 代表取締役社長 CEO 東郷 剛 氏

    株式会社レコモット 代表取締役社長 CEO 東郷 剛 氏

「フィーチャーフォンのアプリを使ったリモートアクセスやビジネスチャットをいち早く提供し、人を中心とした時間と場所を超えた働き方の実現を支援してきました。コロナ禍でリモートワークやテレワークが普及し、働き方が大きく変わった今は、スマホから PC まで含めてセキュアにリモートアクセスするプラットフォームを一貫して開発・提供しています」(東郷 氏)。

moconavi は、社内の電話との連携、社内メールシステムとの連携、社内ファイルサーバーとの接続、ビジネスチャット、クラウド電話帳、個人携帯への 050 番号の付加、セキュアブラウザ、デバイス制御など、テレワークやリモートワークで必要になるさまざまな機能を提供するプラットフォームです。堅牢なセキュリティ、クラウドサービスや社内システムとの連携、VPN を必要としない直感的な操作感、最短 3 営業日での短期導入といった特徴を持ち、現在 1300 社以上の企業に採用されています。

テレワークに必要な業務をフルパッケージで提供する moconavi のほかにも、初期費用ゼロ円でリモートデスクトップ環境を実現する「moconavi RDS」や、個人携帯に 050 のビジネス番号を追加し 1 台でビジネスとプライベートを使い分けられる「moconavi 050」、moconavi のフル機能版からコミュニケーションに特化した機能をピックアップして手軽に導入可能にした「moconavi Lite Edition」、総合行政ネットワーク(LGWAN)でビジネスチャットや電話連携などが利用できる「moconavi LGWANクラウドコミュニケーションサービス」なども展開しています。

こうしたレコモットの各種サービスを支えるクラウド基盤となっているのが Microsoft Azure(以下、Azure)です。

  • レコモットのリモートアクセスサービス「moconavi(モコナビ)」

    レコモットのリモートアクセスサービス「moconavi(モコナビ)」

Azure の採用を求める顧客の声を受け、Azure の全面採用を決定

レコモットでは、創業間もない頃からパブリッククラウドを活用したサービス展開を行ってきました。複数のパブリッククラウドを複数のリージョンで利用することで、サービスの可用性を高め、安定して顧客にサービスを提供できるようにする狙いがあったといいます。

「基本的には複数のパブリッククラウドベンターや複数のリージョンを使い分けるマルチクラウドを前提に、システムを構築しています。パブリッククラウドは大きく進化していて、IaaS や PaaS の機能、品質で優劣を付けることは難しくなっています。そこで重要になるのが、われわれが実現したい機能やサービスが利用しやすいかたちで提供されているかどうかです。顧客ニーズにマッチしていたり、顧客ニーズを満たすための機能が提供され始めたら、まずは触ってみて、適切なサービスを適切なタイミングで利用することを心がけています」(東郷 氏)。

Azure は当初 IaaS を中心にサービスを利用し、東西リージョンを活用して DR 構成を組むといった活用を行ってきました。また、リレーショナルデータベース(RDB)やドキュメントデータベース、キャッシュなどを中心とした PaaS のマネージドサービスの充実が進むと、他のパブリッククラウドからの移行も積極的に行ってきました。

「お客様からの要望に応じてサービスを選択しているうちに Azure の採用が増えてきたという経緯があります。特に金融系のお客様は、お客様のシステムがマイクロソフト系のシステムやサービスを利用していることも多く、われわれがバックグラウンドで利用するシステムにも Azure を求める声が強くありました。また近年では、リモートワークで Microsoft Teams(以下、Teams)を中心に Microsoft 365 を利用するお客様が増えたことで、フロント系のシステム開発のインフラとしても Azure を選択するケースが増えました。そんななか、マイクロソフトとのパートナーシップのもと、Azure を全面的に活用していくことを決めたのです」(東郷 氏)。

レコモットとマイクロソフトとのパートナーシップは、Azure の採用だけにとどまらず、ビジネス協業にも及んでいます。moconavi のパートナー支援を担当する、セールス&マーケティング部 パートナーセールスチームの遠藤 洋輔 氏はこう話します。

  • 株式会社レコモット セールス&マーケティング部 パートナーセールスチーム 遠藤 洋輔 氏

    株式会社レコモット セールス&マーケティング部 パートナーセールスチーム 遠藤 洋輔 氏

「moconavi はお客様環境の既存システムや SaaS サービスと連携することが 1 つの特徴です。Microsoft 365 や Azure Active Directory(Azure AD)、Microsoft Dynamics 365 といったマイクロソフト製品はもちろん、さまざまなベンダーが提供するグループウェアやコミュニケーションツール、CRM や ERP などの業務システム、認証やセキュリティ、ワークフロー製品などと連携します。マイクロソフトとのビジネス協業により、お客様により高い価値を提供できるようになりました」(遠藤 氏)。

Azure Communication Services を採用、Teams とのシームレスな連携が可能に

moconavi を Microsoft 365 と連携させることで、moconavi ユーザーは moconavi アプリから社内のメールやファイル、電話、Web 会議をシームレスに利用できます。パートナーのなかには、マイクロソフトのサービスとレコモットのサービスの両方を取り扱っているケースも多く、協業によって、moconavi と連携したソリューションを提供しやすくなったり、相乗効果を生み出しやすくなったと遠藤 氏は話します。

また、技術面でも連携性が高まっています。それを象徴する直近の取り組みの 1 つが moconavi のコミュニケーション機能と Teams の連携強化です。moconavi は、2019 年から Teams のチャットクライアントとして連携してきましたが、2021 年には Web 会議や通話機能にも対応しました。フィーチャーフォンや Android/iOS、UWP アプリの開発をリードする取締役 兼 デベロップメント部 部長の吉田 周平 氏は、こう解説します。

  • 株式会社レコモット 取締役 兼 デベロップメント部 部長 吉田 周平 氏

    株式会社レコモット 取締役 兼 デベロップメント部 部長 吉田 周平 氏

「moconavi アプリで、Teams のビジネスチャットを利用しているときに、moconavi の電話帳を使って連絡先を検索し、その番号に対して発信して Teams の Web 会議や通話を行うといったことが実現できます。moconavi ユーザーは、用途に応じてさまざまなアプリを切り替えるといったことなくシームレスにコミュニケーションができます」(吉田 氏)。

この取り組みでキーになっている技術の 1 つが Azure Communication Services です。

「Azure Communication Services を利用すると、moconavi のさまざまな機能と Teams の機能とを API を使って連携させることができます。ビジネスチャットや Web 会議、通話などを提供する PaaS はいくつかありますが、Teams の Web API を使って連携できるサービスは Azure Communication Services しかありません。2020 年に発表されたときから注目していて、リリースに合わせて moconavi に組み込み、いち早く提供しました」(吉田 氏)。

moconavi の通話機能で Teams を利用したいというニーズは以前からありました。エンタープライズ顧客の多くは Teams を利用しており、「Teams と直接つなげたい」という声が数多く集まっていたのです。そのため、どのように実現していくかを常に検討していたといいます。そんななか、Azure Communication Services が発表されたことで、Teams の API が利用でき、将来的にはアカウント管理まで統合できるというアナウンスを聞いたことですぐに採用を決めたといいます。

「ずっと探していたものがようやく出てきて、素晴らしいと思いました。API がない場合は自分たちで作ることにも取り組んでいるのですが、近年は、作るよりも早く API が出てきます。Teams の機能も、Microsoft Graph API などを使って実装していますが、いつの間にか新機能が搭載されているなど、助かっています。Azure サービスの進化も早くなっていて、今後の発展についても大きな期待があります」(吉田 氏)。

  • システム概要図

    システム概要図

GitHub を活用し、CI/CD や DevOps の取り組みも本格化させる計画

東郷 氏は、ビジネス視点からの Azure の魅力は、エンタープライズ市場での知名度や信頼度の高さ、パートナーを支援体制の豊富な実績、Microsoft 365 を中心とした SaaS /PaaS 系サービスの API の充実にあるといいます。

「マイクロソフトの担当者と毎月定例会を開き、開発プロジェクトの進捗の確認、最新の機能やツールの情報提供、共同プロモーションの相談などをさせてもらっています。専用窓口のエンジニアについてもらっていて、技術的なサポートも受けています。スタートアップやベンチャーに対しても無償クレジット枠を設けるなど、並々ならぬ熱意を感じます。こうした点は、他のクラウドプロバイダーにはないマイクロソフトの大きな魅力です」(東郷 氏)。

また、Azure のインフラサービスとしての信頼性の高さや新サービス投入の早さも大きな魅力だと、プロダクト管理部 SREチーム リーダーの王 彪 氏は話します。

  • 株式会社レコモット プロダクト管理部 SREチーム リーダー 王 彪 氏

    株式会社レコモット プロダクト管理部 SREチーム リーダー 王 彪 氏

「仮想マシンサービスの Azure VM や、ロードバランサ、Azure Application Gateway といった基本サービスはもちろん、MySQL や PostgreSQL 向け Azure Database、Azure Cosmos DB といった PaaS もよく利用しています。PaaS については、ほかのクラウドベンダーのサービスに比べて安定して動作し、大きな障害が少ないという印象を持っています。マルチクラウド環境の効果を高めるために、新しい PaaS が出てきたらまず試すことを心がけています。Azure Cosmos DB もそうでしたが、Azure は新しいサービスを積極的に投入しているという印象です。多種多様な PaaS が揃っている状態で Azure を利用できることは、インフラ担当としても大きな魅力です」(王 氏)。

さらに吉田 氏は、GitHub などの開発系ツールの充実やアジァイル、DevOps を推進しやすい環境を提供していることも魅力だといいます。

「UWP アプリ開発や Teams プラグイン開発などでは、SDK の提供や各種開発ツールなどの提供が充実していると感じています。いまはローカルでソースコード管理を行っていますが、今回の Azure Communication Services の実装などをきっかけに、今後は、ビルドの自動化や CI/CD、DevOps などに取り組んでいこうとしています。Azure Static Web Apps などの Azure Functions による統合サーバーレス API によるアプリ開発の強化などにも興味を持っているところです」(吉田 氏)。

あわせて、会社組織としてマイクロソフトの資格取得にも力を入れているといいます。

「Azure を中心としたマイクロソフトの認定資格を営業、マーケティングなどすべての職種で取得することを奨励しています。自分に関係のある資格を取ってもらうことで活用の幅が広がり、エンジニアにとってもより働きやすい職場になると考えています。資格取得のための費用は会社が負担します」(東郷 氏)。

「誰もが Your Style を制約なく実現できる社会」に向けてマイクロソフト製品を活用

レコモットにおける Azure の存在が大きくなるなかで、Azure の導入効果もさまざまなかたちで表れてきているといいます。まずは、Azure を活用した新サービスの提供と共同でのマーケティングやセールスの展開です。遠藤 氏はこう話します。

「6 月に提供を開始した moconavi LGWAN クラウドコミュニケーションサービスには、全面的に Azure のインフラを採用しています。基本的に新しいサービスのインフラ基盤は Azure で行う体制になっています。また、Azure Communication Services を活用した Teams 連携もすでに 8000ID ほどの利用が始まりつつあり、今後さらに拡大していく予定です。Microsoft Dynamics 365 と連携する電話帳など、moconavi サービスとマイクロソフトの各種サービスとの連携も強化していきます。金融機関のなかにもクラウド基盤として Azure を採用したいと仰ってくださる方も多く、マイクロソフトと共同してソリューションを提供していきたいと考えています」(遠藤 氏)。

  • システム概要図

    システム概要図

また、マイクロソフトとの協業を強化するなかで、クラウドネイティブに代表されるモダンな環境や組織文化の育成にも力を入れていくといいます。

「弊社のバリューの 1 つに、Fun to Try(変化を愉しみ、まずやってみる!)があります。2007 年にサービスを提供してから技術的な負債も蓄積してきています。これらをクラウドネイティブのようなモダンな環境に変えていくためには、楽しみながらチャレンジしていく姿勢が重要です。また、HRT(Humidity、Respect、Trust)の原則を重視しながら、心理的な安全性を担保していくことも重要です。資格取得を含め、Azure をさらに活用していく方針です」(吉田 氏)。

「SRE チームとしては、構築、運用保守などの手作業が残っている部分について、Azure DevOps や Azure Monitor などのサービスを活用しながら、自動化をより一層進めていく方針です。Azure はインフラ系技術についてもサポートが手厚く、気軽に相談できる環境です。これからもタッグを組みながら、新しい技術をどんどん試していきたいと思っています」(王 氏)。

さらに、Azure を採用することによる顧客メリットも明らかになってきています。

「moconavi の特徴の 1 つに端末にデータを残さないセキュアな環境を提供することが挙げられます。一般にテレワークなどのセキュリティを高めようとすると、制約が多くなり、利便性が低下してしまうのですが、moconavi では、こうした制約をユーザーに意識させることなく取り払うことができます。Microsoft 365 や Azure ExpressRoute などと連携することはこうした取り組みをスムーズに実施し、よりセキュリティ強度を高めることができます。レコモットは『つなげる×テクノロジー』によって、新たな時間と機会を生み出し、あなたらしい価値を創造する支援を行います」(東郷 氏)。

レコモットが掲げるビジョンは「誰もがYour Styleを制約なく実現できる社会」です。その実現に向けて、今後もマイクロフトはサポートを続けます。

[PR]提供:日本マイクロソフト