創業から 70 年の歴史を持つ小柳建設株式会社。同社は、常に新しいことへ挑み続ける「チャレンジ精神」を武器に、土木、建築事業および世界に誇れる浚渫事業を主軸として、大きな成長を遂げています。
同社はそのチャレンジ精神をもって、これまでオンプレミスで運用していた IT 基盤のクラウド移行を計画。パートナーである株式会社ティーケーネットサービスとの連携のもと、Microsoft Azure をプラットフォームとした「IT 基盤整備」プロジェクトを実施しました。これにより、従来環境での運用と同等コストながら、セキュアかつ自然災害発生時にも止まることのない堅牢なシステム基盤を獲得しました。小柳建設株式会社では今後、拡張性の高い Azure 上のプラットフォームを活用することで、在宅勤務ができるビジネス環境の構築や、建設現場におけるモバイル ワークの実装といった取り組みを、高いスピード感をもって推し進めていきます。
プロファイル
1945 年の創業以降、建設事業を通じて、新潟県における地域社会の成長発展に貢献してきた小柳建設株式会社。その時代の最先端技術を取り入れるべく常に挑戦し続ける同社は、土木や建設事業に加え、自社開発の技術を用いた浚渫事業をもって、これからも地域社会への貢献と、グローバル規模でのビジネス展開を行っていきます。
導入の背景とねらい
サーバーの保守切れを機に、ハードウェアに依存したオンプレミス環境からの脱却を計画
1945 年 11 月に創業し、2015 年で 70 周年を迎えた小柳建設株式会社 (以下、小柳建設)。同社は総合建設業として、地域に根付いた事業活動を展開。そして 1986 年より開始した浚渫事業で、フィールドを日本全国に拡大する中で、飛躍的な成長を遂げてきた企業です。
小柳建設の強みは、常に新しいことへチャレンジし続ける精神にあります。小柳建設株式会社 代表取締役社長 小柳 卓蔵 氏は、同社の精神について次のように語ります。
「一般的に、安定した環境からの変化を恐れる企業は多いものです。特に日本においては、検討時間が長すぎてビジネス チャンスを逃してしまう傾向が往々にして見られます。しかし、『失敗は成功のもと』ということわざが表すように、成功を目指すにはまず前に向かって歩きだすことが重要だと当社は考えています。失敗を恐れて成長が止まるよりも、失敗を糧に大きく成長し、成功への道を着実に歩む。これが小柳流の『チャレンジ精神』を支える源であり、当社の社風にも深く根付いています。小柳建設の人材が持つ能力や挑戦意識の高さも含め、こうした基盤はまさに当社の宝といえます」(小柳 氏)。
また、先進的な取り組みにより獲得した最新技術を広く世の中へ普及しようという考え方も、同社ならではの特徴といえます。たとえば 1986 年に新開発した浚渫技術 (水底のヘドロを取り除く技術) についても、同社だけでその技術を占有するのではなく、パートナー企業を募った全世界への普及に努めています。
「浚渫事業が目指すのは、『世界の水を綺麗にしよう』という点にあります。この壮大な目標は、当社だけで成し得るものではありません。長年かけて浚渫技術と機械の能力を高めてきた結果、ようやく今、普及活動が行えるフェーズまでたどり着いています」(小柳 氏)。
こうした同社のチャレンジ精神は、コア ビジネス分野だけでなく、IT 活用の側面にも現れています。その最たる例が、社内の IT 基盤を刷新する中長期的プロジェクト「IT 基盤整備」です。
小柳建設株式会社 総務部 部長 穂苅 洋介 氏は、2016 年に控えた基幹システムが稼働するオンプレミス サーバーの保守切れを機に、同プロジェクトの前身となる取り組みが開始したと語ります。
「かねてからハードウェアに依存したオンプレミス環境から脱却したいという思いがありました。ハードウェアの調達や保守にかかるコスト、そこに要する運用工数、物理スペースの切迫といった点ももちろん課題でしたが、なにより懸念されたのが事業継続性です。自然災害の発生時、私たち建設会社は真っ先に動き出さねばなりません。これまで、社内では 7 つのサーバーで、コミュニケーション基盤や基幹システムといった社内システムのすべてを運用していました。保守切れの対象はその一部サーバーでしたが、これを機に現環境を一新できないかと考えたのです」(穂苅 氏)。
自然災害の発生時には、住民の安全を確保すべく、まず倒壊物や土砂を撤去する必要があります。穂苅 氏が語るとおり、小柳建設は事業の特性上、そういった事態発生の際に真っ先に始動せねばならない企業だといえます。小柳建設が社屋を構える新潟県三条市は、水害リスクがないとは言い切れない地域であり、サーバー水没などによる「肝心な時に事業が継続できない」という事態だけは避ける必要がありました。
これらの背景から、小柳建設では 2015 年夏より、データセンターやパブリック クラウドの利用を前提とした社内 IT 基盤の移行を検討開始しました。
システム概要と導入の経緯、構築
高い信頼性と、中長期的な IT 基盤の拡張を見据えたコスト メリットを決め手とし、Azure の採用を決定
IT 基盤を移行するうえで小柳建設が重視したのは、プラットフォームの信頼性と、そこに要するコストの 2 点でした。当初、小柳建設は IT 基盤の移行のみを要件とし、複数ベンダーへの相談を重ねていきました。その過程で 2015 年 11 月、株式会社ティーケーネットサービス (以下、ティーケーネットサービス) から受けた提案を機に、IT 基盤の移行に加えて、既存システムのその他の課題を改善する中長期的な計画を構想したといいます。
ティーケーネットサービスの提案には、移行先の基盤に Azure を採用。さらにそこへ、Office 365 によるコミュニケーション基盤の構築、建設現場を含む各システムの統合管理、リモート アクセス環境の整備といった、小柳建設にとって「今後取り組みが必要となる IT 課題」についても、中長期的なロードマップとして盛り込まれていました。
小柳建設株式会社 総務部 ITシステム課 課長 和田 博司 氏は、同提案により、当初の IT 基盤の移行計画から、「IT 基盤整備」というプロジェクトへ変更したと説明します。
「セキュリティおよびメンテナンスの観点から、建設、浚渫の現場に設置する PC やサーバーの台数はできるだけ最小化する必要があります。Office 365 でデータ共有が行えれば、現在現場に設置しているシステムの台数を最小限に抑えられます。また、モバイル デバイスから業務システムへリモート アクセスできる点も大きなメリットでした。ティーケーネットサービスの提案は、こうした当社が抱える課題や要望の改善と並行した IT 基盤のクラウド移行が、現在のオンプレミス運用とほぼ同額のコストで行える内容でした。これに挑戦しないという選択はないと考え、『IT 基盤整備』と称し、プロジェクト化することにしたのです」(和田 氏)。
「まずデータセンターを利用する場合、同じ新潟県内では、広域災害が発生した場合に安全性が担保できません。県外のデータセンターを使う選択肢もありますが、小柳建設様はチャレンジ精神が強く、意思決定がとにかく早いため、そのスピードに IT が対応するにはクラウドがベストだと考えました。その中でも Azure は、東西に分かれた国内データセンターで冗長化されており、BCP 対策とセキュリティの両面で、安心してご提案できると考えました」(武田 氏)。
「Azure が持つ豊富な PaaS と機能も有効でした。たとえば OMS (Operations Management Suite) が備える Azure Site Recovery を利用することで、オンプレミスに残す必要があるシステムであっても DR (ディザスター リカバリー) が行えます。また、Log Analytics による統合管理性の高さも強みでした。また、Azure の場合、Microsoft Enterprise Agreement と呼ばれるボリューム ライセンス契約と紐づけることで、低コストでの導入が可能です。単なる社内システムの置き場という視点でなく、中長期的な IT 基盤の整備も含めた視点での、コストの最適化が期待できたのです」(石垣 氏)。
こうして小柳建設では、Azure への IT 基盤の移行および、Office 365 の導入を決定。「IT 基盤整備 2016」として、2016 年度よりプロジェクトを開始しました。
導入ソフトウェアとサービス
- Microsoft Azure
- Microsoft Office 365
- Microsoft Operations Management Suite (OMS)
- Azure backup
- Azure Site Recovery
- Azure Log Analytics
- Power BI
導入メリット
Azure Site Recovery をはじめとした Azure の機能を活用することで、わずか 2 か月でシステム構築とデータ移行を完了できた
三重化された信頼性の高い IT 基盤をこれまでとほぼ同等の運用コストで構築でき、事業継続性を高めることができた
Log Analytics や Power BI を活用することで、システム管理の精度向上と、簡単かつ効率的な運用が実現できた
在宅勤務やモバイル ワークなどを実現するために必要な、高い拡張性をもった IT 基盤が獲得できた
導入の効果
従来環境と同コストながら、高い信頼性と拡張性を持ったプラットフォームを獲得
小柳建設とティーケーネットサービスは、プロジェクトの第 1 フェーズとして、2016 年 4 月下旬より Azure 上でのシステム構築を開始。この作業は、わずか 2 か月で完了したといいます。
構築とデータ移行作業を担当した、株式会社ティーケーネットサービス アドバンスドソリューション部 主任 柳 卓也 氏は、Azure が持つ高い利便性と各種機能が、短期構築に大きく貢献したと説明します。
「Azure はスクラップ アンド ビルドに有効な機能を多く備えています。たとえば、VHD ファイルのアップロードとダウンロードに対応していることで、オンプレミスのサーバー環境をスムーズに Azure 上で構築することができます。また、DR 機能 である Azure Site Recovery を活用することで、差分レプリケーションを高速化することができ、データ移行の短縮化も実現できます」(柳 氏)。
小柳建設は、2016 年 7 月には IT 基盤の Azure への移行を完了し、その後、8 月末までの並行稼働期間を経て、9 月から本格運用をスタートしました。穂苅 氏は、同プロジェクトにおける Azure 採用のメリットについて、まず、業務への影響を及ぼさずに移行が完了できた点を挙げます。
「Azure へ移行するデータは膨大な量がありました。そのため、データ移行の作業では、最低でも数時間から丸 1 日は業務がストップすると覚悟していました。ところが、Azure Site Recovery を活用した差分レプリケーションにより、わずか 1 時間ほどの停止時間でデータ移行が完了したのです。業務への影響は非常に軽微であり、大きく評価すべき点でしょう。Azure の優位性と、ティーケーネットサービスが持つ高いエンジニアリング力を実感しました」(穂苅 氏)。
IT 基盤整備 2016 以前の小柳建設のシステム構成 (左) と、第 1 フェーズ終了段階でのシステム構成 (右)。国内東西に分かれた Azure のデータセンターで冗長化することで、高い信頼性を実現している。また、Azure OMS を用いたバックアップにより、各種データの整合性とアプリケーションの可用性も確保している |
本格運用を開始した新たな IT 基盤は、多くのメリットを小柳建設にもたらしています。通常、オンプレミス環境で現在と同じ三重化構成を実現する場合、そこには相当な費用が必要となります。小柳建設では、従来のオンプレミス環境とほぼ同等のコストで、この "止まらないシステム" を実現しました。
さらに、システムの運用管理においても、従来環境と比べ大幅な効率化が図れたと、和田 氏は笑顔で語ります。
「これまでの環境では、各サーバーの一括管理ができませんでした。Azure であれば Log Analytics により、全サーバーの常時監視が可能です。また、事前に閾値を設定しておくことで、ログの収集結果からアラート メールを自動送付することもできます。これらは緊急時の迅速な対応につながり、自然災害以外でのシステム トラブルのリスク減少にも貢献しています。加えて、Power BI を併用することで、データのリアルタイムな可視化が可能です。従来と比較し高レベルなシステム管理が、簡単かつ効率的に行えるようになりました」(和田 氏)。
そしてもうひとつ、小柳建設が今後、同プロジェクトを第 2 フェーズ以降へ進めていくうえで必要十分なプラットフォームが整備できた点も、大きなメリットといえるでしょう。
同プロジェクトの支援を引き続き担当する武田 氏は、第 2 フェーズ以降を進めていくうえでのマイクロソフト製品の有効性について、次のように語ります。
「マイクロソフトの製品や技術は、企業の IT 活用においてきわめて有用であると同時に、パートナーへの密な支援にも定評があります。こうしたパートナー支援の密接さは、お客様へより細かく説明ができたり、疑問や問題点を迅速に解決できたりと、当社とお客様の関係を築くうえでも非常に重要です。今後もマイクロソフトの優れた製品や技術、そして当社が持つ知見をフル活用して、小柳建設様の理想実現へ向けた支援を続けていきたいと思います」(武田 氏)。
今後の展望
Azure をプラットフォームに、在宅勤務やモバイル ワーク環境の構築を構想
IT 基盤整備 2016 にて、中長期的な IT 基盤の拡張を支えるプラットフォームを獲得した小柳建設。同社は現在、次期フェーズとして、在宅勤務の環境整備へ取り組んでいます。
「IT 基盤に Azure を採用したことで、当社の事業継続レベルは大幅に高まったと感じています。今後、理想的な職場環境が築けるような IT 基盤整備を Azure 上で進めていく予定です。実際に、現在リモート アクセスの在宅勤務への活用を試験的にスタートしています。社員はそれぞれに個別の事情を抱えていますから、時として在宅勤務の方が効率的に業務をこなせる場合もあるでしょう。IT 基盤の整備と就業規則の見直しを進め、来年には本格運用したいと考えています」(小柳 氏)。
さらに、次年度の「IT 基盤整備 2017」では、建設、浚渫現場におけるモビリティとセキュリティの向上、基幹データの見える化などをテーマとした取り組みも予定しています。そこでは、スマートフォンやタブレットなど各種モバイル デバイスの導入や、モバイルとクラウドの包括的な運用を実現する Enterprise Mobility + Security (EMS) の導入、Power BI のさらなる活用が視野に入れられています。
今後もスピード感をもって IT 基盤の整備を進めていく小柳建設。ロードマップに基づき進められる IT 活用や、同社のチャレンジ精神をもって、小柳建設のコア ビジネスは今後、よりいっそうの飛躍を遂げていくことでしょう。
ユーザー コメント
「IT 基盤に Azure を採用したことで、当社の事業継続レベルは大幅に高まったと感じています。今後、理想的な職場環境が築けるような IT 基盤整備を Azure 上で進めていく予定です。実際に、現在リモート アクセスの在宅勤務への活用を試験的にスタートしています。社員はそれぞれに個別の事情を抱えていますから、時として在宅勤務の方が効率的に業務をこなせる場合もあるでしょう。IT 基盤の整備と就業規則の見直しを進め、来年には本格運用したいと考えています」
小柳建設株式会社
代表取締役社長
小柳 卓蔵 氏
パートナー企業
- 株式会社ティーケーネットサービス
(マイナビニュース広告企画:提供 日本マイクロソフト)
マイクロソフト法人導入事例サイトはこちら
[PR]提供: