「G Suite for Education」から「Google Workspace for Education」になって何が変わる?
Googleがビジネス向けに提供してきたグループウェア「G Suite」は、2020年10月に「Google Workspace」とリブランドされた。それに伴い教育機関向けの「G Suite for Education」も、2021年2月に「Google Workspace for Education」とリブランドされ、機能強化やライセンスの細分化が行われている。
サービス名称は変わっているものの、基本機能であるGoogleドキュメントなどの各アプリやGmail、カレンダーといった機能自体は、ほとんど変化はない。1ユーザーとしての目線で考えるのならば、名称が変わったという程度の認識で問題はないが、具体的な機能を解説本等で調べる際は、旧名称で表記されている場合もあるため、その点はご注意いただきたい。
エディションは、基本機能のみの無料版とすべてを網羅した有料版とが基本
今回のリブランドにより、一見エディションが4種類に分かれたような印象を持つかもしれないが、実際は以前と同様、基本は無料版と有料版の2種類で展開されており、双方の間に中間エディションともいうべき、新しいエディションが追加されている。どのエディションが従来の何にあたるのか、増えたエディションはどのような特徴があるのかは把握しておきたい。
まず、従来の無料版「G Suite for Education」にあたるものは「Google Workspace for Education Fundamentals」と名称を変更している。これは基本的に機能面での変化はなく、料金も無料で利用できるといった点も変更はない。単純に名称が変わったものとして捉えていいだろう。
従来の有料版「G Suite Enterprise for Education」に相当するのは、最上位エディションである「Google Workspace for Education Plus」だ。従来と同様、高度なセキュリティ機能と管理機能を備えており、リブランドに合わせて強化された機能も全て利用できる、いわば全部入りエディションともいえる。
この2つのエディションは、リブランド発表時から即座に利用できたもので、既存ユーザーは自動的に従来版から移行されるため、とくに意識せず新名称のサービスを利用していることになる。
■Google Workspace for Education Fundamentals
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■Google Workspace for Education Plus
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中間エディションは2021年4月より利用開始可能に
次に、リブランドにより追加された2種類の追加エディションに触れてみたい。2021年4月から利用可能になったエディションは、無料版では機能面で不足があるけれど、従来の有料版では過剰すぎると感じるユーザーにとって選びやすいものになっている。
「Google Workspace for Education Standard」は無料版「Google Workspace for Education Fundamentals」の上位版にあたるもので、セキュリティ機能や管理機能、分析機能等が強化されている。学校のコミュニティを保護することを意識して選ぶエディションだ。
そして、特徴的なエディションとして新登場しているのが「Teaching and Learning Upgrade」だ。こちらのエディションは、教員向けの機能が追加されており、ビデオ通信機能や学習管理機能が強化されている。たとえばMeetを利用したライブ配信や録画機能、オンラインでの出欠確認機能などが利用できる。
ほか3種のエディションが組織単位で導入するのに対して、このエディションだけは1人単位で必要に応じた導入が可能だ。たとえば組織単位で「Google Workspace for Education Fundamentals」や「Google Workspace for Education Standard」を使っている環境で、必要な教員の分だけ「Teaching and Learning Upgrade」を追加導入できる。
■Teaching and Learning Upgrade
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■Google Workspace for Education Standard
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■Google Workspaceで提供される各エディションの比較
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ストレージポリシーの変更は多くの学校で問題なし
もうひとつの変化として、ストレージポリシーに変更があったことも押さえておきたい。以前は無制限だったストレージ容量に、全体で100TBまでという制限がついたのだ。
無制限だったものに制限がついたとなると不安になるものだが、多くの学校では問題なく利用できるだろう。一般的な使い方をしている限り、ライセンス数が1万人規模でもなければあまり気にする必要はない。ただし、在校生だけでなく卒業生も使い続けられる、保護者にもアカウントを発行している、などの使い方をしている場合には見直しが必要になる可能性もある。
この容量制限の適用には時間的な余裕が設けられており、現状の使い方で問題が出そうな場合は個別相談の機会も用意されている。この機会に、実際にどれだけの容量を利用しているのかなど確認したり、アカウントを整理するのもいいだろう。
複雑な料金は専門家に相談がおすすめ
エディションが4つに細分化されたことにより、これまでより選択は少々難しくなるかもしれない。現状では公立小中学校をはじめとした、日本の多くの学校では無料版を導入しているようだ。しかし私立校など、一部積極的に機能活用に取り組む学校では以前から有料版が利用されてきた。使い込んでいくうちに、セキュリティや管理面での機能不足が目につくようになるからだ。
あまりコストはかけずに機能はできるだけ充実させようと考えたとき、「Teaching and Learning Upgrade」がカギになるようにみえる。たとえば、児童生徒には無料版の「Google Workspace for Education Fundamentals」を利用させ、教員だけ「Teaching and Learning Upgrade」を追加する、という選択はアリだろう。しかし全体管理を考えて基本エディションを「Google Workspace for Education Standard」にする場合、教員数によっては全体を「Google Workspace for Education Plus」にしてしまった方が得になる可能性もある。
有料エディションである「Google Workspace for Education Standard」と「Google Workspace for Education Plus」は、児童生徒4人に対して1人分の教員ライセンスが無償で追加される。つまり児童生徒100人に対して25人分が無償提供されるわけだ。多くの場合、教員アカウントは全員分が無償になるのではないだろうか。
また、「Google Workspace for Education Plus」は機能に対して料金が抑えられているため、「Google Workspace for Education Standard」に「Teaching and Learning Upgrade」を追加した場合との料金と比較すると思ったほど差が生じない。
実際にどのような機能が存在し、自校でどう活用できそうなのか。その利用方法を実現するためにはどのようにエディションを選択すべきなのか。詳細な相談は専門家を頼るのがおすすめだ。とくに有料版については経験を持つベンダーが少なく、日本ではわずか3社しか販売を手がけていない。そのうちの1社が、株式会社サテライトオフィスだ。ぜひ新しい「Google Workspace for Education」について、詳細を知りたい場合は、サテライトオフィスを頼ってみてほしい。
監修:原口 豊(はらぐち・ゆたか)
大手証券会社システム部に在籍後、1998年、サテライトオフィス(旧ベイテックシステムズ)を設立。2008年、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始。Google Workspace(旧称:G Suite)の導入やアドオンの提供で、これまで実績4万社以上。「サテライトオフィス」ブランドでクラウドサービスの普及に尽力している。
サテライトオフィス
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さまざまなビジネスモデルに最適なソリューションパッケージを開発し、ユーザー目線に立った戦略の企画・提案を行っています。業界No.1の導入実績を持つGoogle Workspace(旧称:G Suite)やMicrosoft 365、LINE WORKS、Workplace by Facebook などクラウドコンピューティングに関わるビジネスの可能性を追求しています。
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