未来の住まいを描くミサワホーム、IoTへの挑戦 -前編

IoTやロボットが内包する可能性について紹介する当連載。第7回となる今回は、先進技術を積極的に採用した企業の取り組みを紹介したい。 今回取材したのは、住宅の設計・製造・販売・施工を行っているミサワホームだ。

顧客ごとに最適なデザインを重視した注文一戸建て住宅で高い評価を受けているミサワホーム。同社独自の「木質パネル接着工法」は、驚異的な耐久性や耐震性などで評価が高く、南極昭和基地にも採用されている。

同社はこうした施工技術もさることながら、企業におけるクラウド利用が一般的ではなかった2012年からグループ規模で情報系システムをGoogleのG Suiteに集約、また基幹系システムのインフラもAWSへと移行するなど、IT活用においても先進的な数々の取り組みを進めていることで知られている。

「最先端の技術を取り入れる」という思いを貫く

ミサワホームにおいて長年にわたりIT活用をリードして来ているのが、情報システム部長 兼 BR働き方改革推進室 担当室長の宮本眞一氏である。

同氏は言う。「今では主要業務システムの多くがAWS上で稼働しています。クラウドは組織や人材の流動性、さらには新たなビジネス展開に対する柔軟性が高く、変化の激しい社会動向に対応するためにも欠かせないと実感しています。2012年のパブリッククラウド導入にあたっては、まだ実績が乏しく世間でも賛否両論ありましたが、自分がユーザー部門であれば使いたいはずだと、ユーザー目線で決断し、採用しました」

全社を挙げてIoTにチャレンジ

「最先端の技術を取り入れていく」というスタンスを持って先進的なIT活用を進めるミサワホーム。同社がITのもたらす付加価値を最大限に創出しようと目下注力する分野が「IoT」だ。

同社は2017～2019年の3カ年の新中期経営計画の中でもIoTについて言及しており、従来のHEMS(Home Energy Management System ホーム エネルギー マネジメント システム)による省エネ機能に加え、｢安全｣｢安心｣｢快適｣の4つの機能を搭載したライフサービス「LinkGates(リンクゲイツ)」や、KDDIと共同開発した被災度判定計「GAINET(ガイネット)」といった形で"家のIoT"の商品化も既に始まっている。

• HEMS

• GAINET(ガイネット)

「いまや販売する住宅の二棟に一棟にソーラーパネルが設置されている状況です。さらに、今後、余剰電力の買取ルールが変わり自家消費ニーズが増加すると、よりきめ細かいエネルギー管理が必要となるでしょう。 そうしたHEMSの延長線上にIoTはあって、社内でも話題が活発化しております。情報システム部門としてもIoTのインフラの受け皿としてパブリッククラウドが使えるのではないかと、まずは一歩踏み出しているところです」と宮本氏はコメントする。

ミサワホームのIoT活用は、各ユーザー部門がアイデアを出し合いながら、ミサワホーム総合研究所と連携して企画や研究を進めている。そうしたユーザー目線を重視するとともに、セキュリティなど抑えるべきポイントについては情報システム部門が関わっている。 そしてこうした取り組みは、宮本氏が触れたように、同社の製品・サービスだけでなく、社内にも及んでいる。

社内におけるIoTへのチャレンジの一例が、本連載の第1回で紹介した"IoTブロック"「MESH」を用いた会議室の予約管理システムだ。

このシステムは、G Suiteのスケジュール機能と連携して、会議室の利用状況と予約状況を入口前に設置されたiPadで表示するとともに、予定時刻を過ぎても会議室が使われていなければ自動的に予約を解消したり、会議の終了予定時刻が迫ると出席者に音声で知らせたりするなどの機能を有する。

• 同システムには、サテライトオフィスが提供する「MESHビジネスパック」が利用されている

「この"IoT会議室予約管理システム"の意義は、社員に見てもらう、日々、IoTを体験してもらうことで、『自分達がIoTを活用するうえでの何かアイデア』が得られるであろうという点にあります」と宮本氏は語る。

この言葉の持つ意味とその背景については、次回詳しく紹介していきたい。

[PR]提供：サテライトオフィス