2025年7月30日~8月1日、東京ビッグサイトにて「産業DX総合展 2025 夏 東京」が開催。会場では、製造業や小売、飲食店、建設、不動産、物流などの多様な産業分野の業務効率化やDX化を実現するサービス・ソリューションが出展されており、多くの来場者で賑わっていました。
ここでは出展企業のうち、専用機から民生用PCへの“ダウンサイジング”という選択肢を提示し、国内製造業向けに製品や共創パートナーとの取り組みなど、新たな可能性を提案していたエプソンダイレクトのブースをレポートします。専用機から民生PCへ - 製造現場のコスト課題に応えるエプソンダイレクトの提案
DXを推進するうえで国内製造業が直面している課題の一つに「設備投資」があります。製造ラインの制御や品質管理などに使われる専用機は信頼性や耐環境性能に優れ長期運用に適していますが、その分コストもかさみがち。そこで近年、中小企業の製造現場を中心としてより低コストな民生用PCのニーズが高まってきています。
そんななかエプソンPCは、長い実績に裏打ちされた技術力と高い品質に加え、国内企業ならではの手厚いサポートで支持を集めており、さまざまな製造現場に導入されています。今回の展示会では、その主要ラインナップが展示されており、来場者の注目を引いていました。
その一つ、「Endeavor MR8400」は、ミニタワー型ながらミドルタワークラスの拡張性を誇るデスクトップPCです。本体前面から簡単にストレージを出し入れできるフロントアクセスや、シリアルポートを最大4基増設できる専用スロットなど、製造現場でニーズの高い機能を搭載しているのが大きな特徴。会場では、サイドパネルを外した状態でその実機が設置されており、ケース内の構造を直接見て確かめることが可能でした。
その隣には、20年以上サイズが変わらない筐体を採用し長期安定運用に向くデスクトップPC「Endeavor AT998」も。オフィス業務から組み込み用途まで幅広く利用されている人気モデルで、シリアルやパラレル、PS/2、VGAなどのレガシーなインタフェースもしっかり搭載。「フルハイトのボードが2枚装着可能です。エプソンPCは、105℃の高熱にも対応する日本製コンデンサーなどの高品質なパーツが採用されており、製造現場のような過酷な環境下でも動作が安定しているのが特徴です。 このほか、利用シーンごとに適した仕様を厳選してパッケージ化した「製造業向けパッケージモデル」も3種類紹介されていました。1. ペーパーレス化向けWindowsタブレット運用パッケージ
一つが、Windowsタブレット本体にハンドキャリーやタッチペンを標準添付した「ペーパーレス化向けWindowsタブレット運用パッケージ」。手袋を装着した状態でも操作可能なタッチパネルを採用しており、オプションの充電クレードルやVESA対応自立スタンドなど、さまざまな場面で活用することが可能です。
2. AIによる外観検査向けNVIDIA搭載パッケージ
もう一つが、NVIDIA製の高性能グラフィックスボードやこだわりの冷却機構などを搭載した「AIによる外観検査向けNVIDIA搭載パッケージ」。コンパクトデスクトップPCとノートPCの2モデルをラインアップ。グラフィックスボードも対象となる定額保守サービスもご用意しており、長期運用でも心強いです。
3. 装置組み込み向け長期運用パッケージ
3つ目が、高い拡張性を備えたコンパクトPCと、サポート期間の長い特定用途端末向けOSのWindows 11/10 IoT Enterprise LTSC、長期保守サービスなどを組み合わせた「装置組み込み向け長期運用パッケージ」。外付けの電源スイッチや壁掛けに対応するなど、装置内部や狭い場所に設置した際の使いやすさが考慮されているのも特徴です。
エプソンダイレクトに今回の「産業DX総合展 2025 夏 東京」に出展した理由を伺ったところ、「PCメーカーとしての実績は長いのですが(組み込みなど特定用途で使われることが多く)認知度はそれほど高くないのが実情です。この展示会は、私たちのPCがどのように使われているのかを知っていただく絶好のチャンス。これを機により多くのお客様に知っていただけたら」と期待を寄せていました。共創パートナーと提案するエプソンダイレクトのDXソリューション
エプソンダイレクトによると、「なんらかの課題に取り組む際、パソコン単独ではなかなか解決に結びつかないこともあります。しかし、共創することによって互いの強みを引き出しながら相乗効果を得たり、弱みを補完してよりいいものを生み出したりすることが可能。そこで、今回は共創パートナー様との共同出展という形をとっています」とのこと。
その言葉通り、ブースには共創パートナーである日本マイクロソフト、MAZIN、テンポス情報館、アルプス システム インテグレーションのコーナーが設けられ、各社のソリューションとエプソンPCを組み合わせた用途の提案などが行われていました。そのうち、日本マイクロソフトのコーナーでは「Copilot+ PC」によるAIの活用が提案されていました。Copilot+ PCとは40TOPS以上のNPUや16GB以上のメモリなどの基準を満たした高性能なPCのことで、ローカル環境で高速に生成AIを実行できるのが特徴。同コーナーでは発売されたばかりのエプソンPC「Endeavor NL3000E」が展示され、その処理能力の高さや、生成AI処理時の消費電力の少なさなどに注目が集まっていました。
日本マイクロソフトによると「生成AIをローカル環境で実行できることにご興味を持っていらっしゃる方が多く、大きな手応えを感じました」とのこと。「AIは今後もますます発展していく技術ですので、マイクロソフトとしてもお客様と一緒に用途や活用法を考えながら展開していきたいと考えています」と話しました。
生産技術のAI化に取り組む次世代FA(ファクトリーオートメーション)メーカー・MAZINのコーナーでは、同社のAI技術と人材、エプソンPCを組み合わせた製造DX支援サービスが提案されていました。これは、MAZINの生産技術者が支援先企業の現場に常駐し、その企業が自社で継続的にDXを推進できる体制を構築できるように支援していくというサービス。
MAZINの担当者は「システムを導入したら遠隔でサポートするだけというサービスも少なくないため、技術者が常駐することに驚かれるお客様もいらっしゃいます。常駐期間は現場の環境や課題によっても異なり、3ヵ月から最長3年までさまざま。常駐する技術者はMAZINのAIチームがバックアップしており、現場での細かい調整にも柔軟に対応できる仕組みになっています」と語ってくれました。
POSレジなどの飲食店向けの省人化システムを提供しているテンポス情報館のコーナーでは、「UNIPOS Cloud Ticket」の展示とデモが行われていました。同製品はエプソンのタッチパネル液晶一体型PCをベースにしたPOSシステムで、券売機やセルフレジ、テーブルオーダー、モバイルオーダーなどの機能まで備えたオールインワンモデル。
テンポス情報館によると「コンパクトな筐体で、専用台などがなくてもどこにでも設置して使用できるところにメリットを感じていただけるのではないかと思います。こうしたPOSレジだけでなく、飲食店様のさまざまなニーズにお応えしておりますので、運営されるうえでお困りのことがあればなんでもご相談ください」とのことです。
アルプス システム インテグレーションのコーナーでは、リモート接客・受付システム「InterPlay Elastic Framework」の展示とデモが行われていました。同システムはオンラインで複数のInterPlay端末を管理することで、一人で多拠点の接客を遠隔で行えるのが特徴。また顔出しせずに接客対応可能なため、カスタマーハラスメントなどの課題に対応することもできます。
さらに将来的な法改正によって、販売可否や年齢確認が必要な医薬品や酒、タバコの販売に遠隔で対応が可能になるなど、セルフレジとしての活用も検討されています。InterPlay端末はエプソンのタッチパネル液晶一体型PCがベースになっています。担当者は「このシステムは“人手不足”や“省人化”などの課題を解決するために開発したもの。多くの来場者から反響をいただき、改めて人手不足がさまざまな業界で課題となっていることを実感しました。今回のエプソンダイレクト様との共創出展により、当社だけでは捉えきれなかった潜在的な顧客を見つけられれば」と期待を寄せていました。
最後に、エプソンダイレクト 事業推進部・CS品質管理部 取締役 平田朋賢氏に今後の展開を伺うと「今回展示した製品のさらなる発展と、AIを活用したお客様の課題解決に注力していきたいですね」と力強くコメント。
「当社も製造現場をもつメーカーですので、その製造工程でAIを使って得た知見をお客様に提案していけたら」と語り、「海外ではヨーロッパのように標準化によって効率よくものづくりを行なっているところもありますが、日本ではどんどん逆方向に進んでいます。結果、DX化なども立ち遅れてしまっている。それをコンピューティングの力で少しでも効率化の方向に持っていき、パートナー企業様と共創しながら日本の“ものづくり”をもう一度活性化したい。個人的にはそんな理念を持って今回の展示会に臨みました」とコメントしてくれました。
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