AIを活用した人手不足の解消や、ペーパーレス化による品質管理の効率化、情報の見える化による業務フローの改善……。近年のニーズの多様化や厳しい競争に対応するため、製造現場においてもDX化の必要性が高まっています。しかし導入にあたってはIT人材の確保やコストなどの課題も多く、一部の大手企業を除きDX化がなかなか進んでいないのが実情です。

そんな国内の製造業界で、DX推進の鍵となる存在として重宝されているのがエプソンPCです。30年以上業務用PCを展開してきたメーカーならではの確かな品質と、現場目線のきめ細やかで柔軟な対応などが今のニーズにハマり、DX化に頭を悩ませる多くの企業の信頼を獲得、引き合いも年々増加しているといいます。

なかでも注目を集めているのが、課題別に最適化された“3つのパッケージモデル”。2025年7月30日から東京ビッグサイトで開催される『産業DX総合展2025』では、これらの実機展示を通じて、エプソンPCが製造業の業務課題にどう応えているのかを“体感”することができます。 本記事では、展示会の見どころとともに、エプソンPCの具体的な活用事例や、新製品「Copilot+ PC」の最新動向をご紹介します。

なぜ、製造現場でエプソンPCが選ばれているのか?

医療や小売などの特定の業種に強いエプソンPCですが、なかでも大きな割合を占めているのが製造業です。長年の実績に基づく高い品質基準と厳格な製造工程管理に加え、営業とエンジニアが一体となって顧客の「こういうPCがあると助かる」、「この使い方に合う機能がほしい」などの声に耳を傾けて真摯に課題を解決してきたことが、製造現場で選ばれる理由のひとつです。

そうした顧客からのフィードバックを吟味してニーズが高い仕様を厳選し、パッケージ化して提供しているのが「製造業向けパッケージモデル」です。全部で次の3種類が用意されており、用途に合わせて選ぶことでDX化をスムーズに進めることができます。

【ペーパーレス化を実現】タブレット運用パッケージ

製造現場では在庫管理や図面の確認、指示書の入力など、まだまだ紙ベースで行われている作業が数多くあります。それらをペーパーレス化することで効率化を進めるのに役立つのが「ペーパーレス化向けWindowsタブレット運用パッケージ」。

Windowsタブレット本体だけでなく、ハンドキャリーセットやタッチペンが標準添付されており多様な使い方が可能。また手袋を装着した状態でも操作可能なタッチパネルを採用しており、屋外や工場などさまざまな場所で活用できます。さらに、セキュリティが強固でサポート期間の長い特定用途の端末向けOS「Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC」を搭載しており、長期間安定して使い続けることも可能です。

持ち運びに適した10.1型の「Endeavor JT51【MPWT01】」と固定して使うのに向く11.6型「Endeavor JT70【MPWT11】」の2種類が用意されており、充電クレードルや自立スタンドなどのオプション品も充実。用途に合わせた柔軟な使い方を実現することができます。

【AIで検査を自動化】AI向けパッケージ

製品の傷や汚れの付着、異物の混入など、これまで目視で行ってきた外観検査を自動化するのに適しているのが「AIによる外観検査向けNVIDIA搭載パッケージ」。人間の目では見落としやすい小さな傷や欠陥もAIを活用して短時間かつ高精度に検出できるため、品質管理の効率化に役立ちます。多くの企業が注目するAI活用を高品質な民生用PCによりコストを抑えて導入できるため、近年引き合いが増えているパッケージです。

PC本体にはNVIDIA製の高性能グラフィックスボードやこだわりの冷却機構などを搭載しており、負荷の高い作業を安定して行うことが可能。また最長7年まで選択可能な定額保守サービスなども用意されています。ラインアップは容積約2.8LというコンパクトなデスクトップPC「Endeavor JG150【MPAI01】/SG150【MPAI02】」と場所を選ばず使えるノートPC「Endeavor NJ8000E【MPAI11】」の2タイプがあり、現場の環境や用途に応じて選択することが可能です。

【製造装置への組み込みに最適】「組み込みPC」

銘板プリントや梱包照合、ピッキングなど、品質やスピード、正確性が求められる製造工程の効率化に役立つのが「装置組み込み向け長期運用パッケージ」。使用されている部材の品質や保守サービスに定評があるエプソンPCならではのパッケージで、すでに多くの企業から信頼を集めてさまざまな現場に導入されています。

最長7年の長期保守サービスや最長6年の有寿命部品保守サービスなどの各種長期保証が用意されているうえ、サポート期間の長い特定用途の端末向けOS「Windows 11/10 IoT Enterprise LTSC」を搭載しており、長期にわたって安定して運用することが可能。

また、場所を選ばず設置できるコンパクトな筐体や、装置内部に組み込んだときの利便性を考慮したオプションの外付け電源スイッチ、設置の自由度を上げる縦置き&横置き&壁掛け対応が可能であるということなども特徴です。ラインアップは容量約0.74Lの超小型筐体を採用し組み込みや狭い場所への設置に向く「Endeavor JS60【MPLT01】」と、インタフェースが充実しカスタマイズ性が高い「Endeavor JS210【MPLT02】」があり、製造現場の環境に合わせて選ぶことができます。

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製造業における新たな価値としてのCopilot+ PC「Endeavor NL3000E」

近年の製造業のDX化を支える技術のひとつとして注目されているのがAIです。これまでのPCはCPUやGPU、クラウドを使用してAIの処理を行ってきましたが、最近のPCはより効率的な処理のためにNPU(Neural Processing Unit)と呼ばれるAI専用エンジンを搭載するようになってきています。そうしたNPUを搭載するPCをAI PCと呼びますが、なかでも厳しいハードウェア要件をクリアし高度なAI処理を高速に行えるPCを「Copilot+ PC」と言います。

エプソンダイレクトが7月リリース予定の「Endeavor NL3000E」もそんなCopilot+ PCに準拠した製品です。16型の大画面液晶ディスプレイを搭載したA4ノートPCで、毎秒40兆以上のAI処理性能を持つ「インテル® Core™ Ultraプロセッサー(シリーズ2)」を採用しているのが特徴。NPUを搭載したことで、製造業でのPCの活用範囲も大きく広がることが期待されます。

たとえば、AIによる解析技術を用いた品質検査の自動化。カメラで撮影した製品の画像をリアルタイム解析し、傷や欠陥を高速に検出することができるようになります。また、工場内のセンサーから収集されるデータを活用して、設備の異常や故障などの兆候を早期に検知することも可能。いずれもNPUでオンデバイス処理するためクラウドに依存せずにすみ、情報漏洩などのリスクを避けながら安全に運用できます。

このほか、作業者が部品や工程を選択すると、AIがそれに関連する手順や注意点を即座に表示することも可能。Windowsに標準搭載されたAIアシスタントサービス「Copilot」は音声認識や自然言語に対応しているため、手袋をしている場合や、作業で手が塞がっている場合などでも人間に話しかけるようにして操作することができます。

NPUを搭載していることでAI処理時のCPUやGPUの負荷を減らすことができ、電力消費を抑えられるのも魅力的なポイント。電源駆動が難しい現場業務でもバッテリー駆動で長時間使用することが可能です。視認性の高い16型の大画面ディスプレイを搭載しながら、薄型軽量設計のため、現場での持ち運びにも適しています。

なお、製造現場でのCopilot+ PC活用について、エプソンPCの共創パートナーである日本マイクロソフト株式会社は次のようなコメントを寄せています。

  • 日本マイクロソフト株式会社 デバイスパートナーセールス事業本部 シニアパートナーディベロップメントマネージャー 小林 涼介氏

Copilot+ PC「Endeavor NL3000E」に対してどのような期待を寄せていますか?

「Endeavor NL3000E」は、Copilot+ PCの革新性を最大限に活かした新世代モバイルPCです。最大の特長は、NPUによる省電力AI処理により、長時間のバッテリー駆動とCO2排出量削減を実現している点。言語モデルも標準でPC内に搭載しており、NPUとの組み合わせにより、クラウド接続しない環境においてもAI機能をローカルで高速かつ安全に活用でき、現場作業や出張先でも高い生産性を維持できます。また、16型の大画面液晶は高い視認性を誇り、CAD図面や工程表などの表示にも最適です。薄型・軽量設計により、製造現場や工場内での持ち運びにも優れています。Copilot+ PCならではのAI支援機能と史上最高レベルのWindowsセキュリティにより、現場での実用性・信頼性に加え、環境性までも兼ね揃えたNL3000Eは、製造業のDXを加速する理想的なパートナーになることを期待しています。

Copilot+ PC「Endeavor NL3000E」は、実際の現場でどのように役立つと考えていますか?

製造現場では、迅速な判断と正確な情報共有が求められます。「Endeavor NL3000E」は、Copilot+ PCのAI機能を活用することで、現場作業の効率化と品質向上に貢献します。例えば、リコール機能(プレビュー版)により、過去の作業記録や図面を瞬時に検索・表示でき、作業者の記憶を補完可能です。また、ライブキャプション機能(リアルタイム翻訳)を活用することで、インターネット接続がない状況においても多言語でのコミュニケーション支援が可能となります。そして、長時間バッテリー駆動と高視認性の16型液晶に加え、ハードウェアレベルから高められたセキュリティにより、屋外や工場内でも安定した作業環境を継続的に確保することができます。モバイル性とAI支援を兼ね備えたNL3000Eは、製造業における生産性を高める強力なツールになると考えています。

製造現場でのCopilot+ PC活用について、今後の可能性について教えてください。

現在、製造業ではAIの導入が急速に進んでおり、Copilot+ PCをはじめとするエッジAIデバイスが、今後多くの役割を担うことが期待されています。現場では、画像解析による品質検査、センサー情報のリアルタイム分析、作業記録の要約など、NPUによるオンデバイスAI処理が活躍できる可能性を持ったシナリオが数多く存在し、さまざまなアプリケーションが今後対応してくることが想定されます。また、オンデバイスAIが活用されることで、セキュリティと応答速度が両立され、将来的にはクラウドとのハイブリッド活用を含めユーザーのAI活用における選択肢を広げることができます。市場では、現場の作業者が自然言語で指示を出すと、NPUを搭載したエッジAIデバイスがそれを理解し、対応するようなエージェント型の利用を期待する声が大きくなっていると思われます。また今後、Copilot+ PCにおけるAI活用として、多言語対応やPC上における作業履歴の可視化も進み、グローバルな製造拠点でも活用が広がるでしょう。Copilot+ PCが製造業のスマート化と人材の生産性向上を支える基盤として、今後より一層活用されることを期待しています。

Endeavor NL3000Eについて詳しくはこちら

「産業DX総合展2025」出展に向け、日本マイクロソフト、MAZIN、テンポス情報館、アルプス システム インテグレーション…、各分野のエキスパートと共創

製造現場での業務効率を向上させる3種類の「製造業向けパッケージモデル」と、製造業に新たな価値を提供するCopilot+ PC「Endeavor NL3000E」。いずれも、7月30日から開催される「産業DX総合展2025」で展示され、直接製品を見て確かめることができます。

同展は、エプソンPCと共創パートナーによる共同出展となっており、会場では「新たな顧客価値の創出」をテーマに、展示やセミナーを通してそれぞれの企業との取り組みが紹介される予定。エプソンPCは製造業以外にも小売・流通と共創を拡げており、ブースではそれらの企業との展示も見どころになっています。

エプソンダイレクトによると、今回の出展の経緯について「製造業や小売・飲食業など、業種ごとのDX化に向けた課題に対し、エプソンPCを活用した具体的なソリューションを提案することを目的としています」とのこと。コンパクトPCによる機器制御・POSレジ・受付端末の活用シーンや、タブレットPCによる周辺機器連携など、現場での実用性を重視した構成で展示予定だといいます。「そのビジネスにずっと寄り添う。エプソンPC」というコンセプトを掲げているとあって、「単なる製品紹介にとどまらず、共創パートナーとの連携により、業種別の課題解決に向けた『モノ+コト』の提案を行います」と語りました。

そんなエプソンダイレクトと共創を発表したのが、製造×AIに特化した生産設備向けのAIシステムの研究開発と国内外への販売活動を行う株式会社MAZIN、飲食店の経営課題を解決するITソリューションベンダー・株式会社テンポス情報館、製造業の現場で培った「ものづくり」の思想を原点に、「デジタルソリューション」「セキュリティソリューション」「ファームウェアソリューション」「AI・IoTソリューション」を展開するアルプス システム インテグレーション株式会社の3社。各業界でも絶大な信頼を得るエキスパートたちです。ここでは、なぜエプソンダイレクトと協賛を行うのか、出展に対する想いをご紹介します。

株式会社MAZIN: 製造現場の“属人化”をAIで解消

製造業の現場は、現在さまざまな課題を抱えています。たとえば、紙ベースの図面・記録管理による検索性の低さや改ざん・紛失のリスク。多様な端末環境が混在することによりデータの連携が断絶し、情報共有や品質管理に支障が出ているのも問題です。また、設備異常の早期検知が困難で、突発的な故障への対応や保全対応が後手になることも。DX推進を担う専門人材の不足や、特定の技術が特定の個人に依存しすぎて属人化し、業務の停滞や情報の非共有化につながっているのも大きな課題と言えます。

そうした課題を解決するため、MAZINはFA(ファクトリーオートメーション)とAIの融合による製造現場の先進的なDXを推進しています。信頼性の高いエプソンPCの「Windows IoT OS 搭載端末」と、私たちの「AI解析技術」、弊社のDX人材による「現場常駐支援体制」という三位一体を構築することにより、端末の長期安定運用や紙からの脱却、データの一元化、リアルタイムでの設備異常・劣化兆候の検知、稼働予測の“見える化”、持続可能なDX推進などを実現します。それがエプソンPCとの共創によって“新たに生まれる価値”ですね。

このようなパッケージ化された環境を現場に導入した場合、まず現場オペレータが直感的に操作しやすくなるとともに、トラブルにも迅速に対応できるようになると考えています。特に「AIによる外観検査向けNVIDIA搭載パッケージ」は、従来目視で行っていた外観検査をAIで行うことで異常箇所を高精度かつ短時間で捉えられるようになります。これによって、保全技術者の負担軽減や、人材不足の現場でも“誰でも一定水準で回せるライン”の構築につながると同時に、現場の効率性や安定性、高度化も推進されると見込んでいます。

今後は、エプソンPCと共創で生産ラインの自律制御やデータを活用したトレーサビリティの強化といった"新たなコト"の創出にも期待しています。

株式会社MAZIN |次世代製造技術の研究開発

株式会社テンポス情報館:飲食現場の“安定稼働”を支える ─ 飲食店の声から生まれたマルチPOSシステム

飲食店の場合、現場環境が過酷で緊急を要する場面が多いという課題があります。端末への害虫の侵入による故障などの被害も相当数あり、そうした環境下でも安定稼働するPOSレジシステムが求められていました。

そこで、エプソンPCとの共創により、飲食店の現場に特化したPOSシステム「UNIPOS」を開発。弊社がPOSソフトウェアと導入支援を、エプソンPCがハードウェア面での保守を担うことで、お客様へのワンストップでの運用支援が可能に。障害対応の迅速化や、導入・入れ替え時の不安の軽減につながるうえ、価格も専用機より比較的安価で、お客様にとっても魅力の大きなシステムとなりました。

加えて、エプソンPCは、飲食店など過酷な現場環境にも耐えうる耐久性を持ち、静音性にも優れています。前述の害虫の侵入による故障も、エプソンPCの端末とレシートプリンターで被害が抑えられたという実績があります。こうした信頼性の高いハードとの組み合わせによって、弊社のPOSシステムは現場起点の運用安定性が大きく向上しました。

「UNIPOS」はエプソンPCのタッチパネル液晶一体型PCを基盤としており、レジ機能だけでなく、券売機やセルフレジ、テーブルオーダー、モバイルオーダーシステムまで備えたオールインワン商品です。開発の際にニーズに合わせて搭載する機能のカスタマイズが可能で汎用性が高く、さまざまな環境に対応可能なところも魅力的ですね。

POS選ぶなら“飲食店専用”!

エプソンの技が光る「UNIPOS」とは?

アルプス システム インテグレーション株式会社:国産PCで、リモート接客の“当たり前”を支える

当社が抱えていた課題は主に海外メーカーの機器を取り扱っていることによる影響でした。特に円安や輸送コストの高騰が続くなか、購入費用が年々増加し、そのコストは必然的に販売価格に転嫁せざるを得なくなります。また、購入から納品までのリードタイムが長く短納期での対応が難しくなっている点や、保守においても海外メーカーでは十分な保証を受けることができないケースもあり当社の懸念事項となっていました。

こうした課題に対して、今回の共創により安定供給と迅速な納品が可能になることで、市場での競争力が向上し、顧客からの信頼と安心感を得られると考えています。また、リテール業界特有の課題やニーズは多岐にわたりますが、エプソンPCのハードウェアシステムと当社のInterPlayを組み合わせて提案することで、これまで解決が難しかった問題に対する具体的なソリューションを提供できると考えています。具体的には、高品質かつ効率的な製品やサービスを提供できるようになります。

変幻自在の接客・受付システム InterPlay Elastic Framework

【7月30日(水)~8月1日(金)】産業DX化のための「産業DX総合展」が開催

製造業DX化を実現するエプソンPCの製品・ソリューションや共創パートナーとの取り組みが紹介される「産業DX総合展 2025 夏 東京」は、2025年7月30日(水)〜8月1日(金)の10:00〜17:00に、東京ビッグサイト東7・8ホールにて開催されます。

同展は製造業、建設、建築、不動産、小売、飲食店など産業のDX化を実現するサービス・ソリューションが一堂に集う総合展。最新の製品やサービスを比較検討でき、豪華講師陣によるセミナーで各業界の最新トレンドが学べます。リアル展示会と並行してオンラインでセミナーを視聴したり、製品資料をダウンロードしたりすることも可能です。

製造現場の業務効率化、品質向上、AI活用に向けたヒントが得られる「産業DX総合展2025」。エプソンPCと共創パートナーの最新ソリューションをぜひ現地でご体感ください。

「産業DX総合展 2025 夏 東京」

会期:2025年7月30日(水)〜8月1日(金)10:00〜17:00
会場:東京ビッグサイト(東7・8ホール)
参加費:無料(事前登録制)

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