ビジネスにおけるデータ活用の重要性は、今さら指摘するまでもないだろう。一方で、多くの企業ではデータを扱えるのが一部のスペシャリストに限られており、それがデータ活用のスピードを妨げる原因にもなっていた。そんな現状に革新をもたらしたのが生成AIの登場だ。生成AIとダッシュボードの組み合わせにより、いよいよ「データ活用の民主化」時代が到来しようとしている。
2月18日~20日にかけて開催された「TECH+ EXPO 2025 Winter for データ活用 データを知恵へと昇華させるために」では、BIツールを提供するマイクロストラテジー・ジャパン シニアカスタマーサクセスマネージャーを務める坂本 数彦氏が登壇。データ活用の最新潮流と、データ民主化における課題、そして同社の技術がその課題をどのように解決し得るのかについて語った。
多くの企業でデータの民主化が進まない理由とは
Strategy(旧 MicroStrategy)は、1989年に米国にて設立されたAI+BI専業の独立系ソフトウェアベンダー。古くはモバイルアプリから、最新の生成AIまで高い技術力で対応している。「Intelligence Everywhere」というビジョンを掲げ、すべての人がデータ活用できる世界の実現を目指す企業である。
同社から本イベントに登壇した坂本氏は、2009年に入社後、プロフェッショナルサービス部門のマネージャー職を経て2024年より新設されたカスタマーサクセス部門に異動。既存顧客に対して同社製品の活用を支援している。
そんな坂本氏は、データ活用の潮流についてどう見ているのか。
「データ活用が求められている背景には3つの理由があります。まず、データが競争力を左右する時代だということ。勘や経験に頼ったビジネスの進め方では、客観的な事実に基づいた判断ができず、変化の激しい時代において他社に先んじることはできません。2つ目に業務効率と生産性の向上です。データ活用により、付加価値のより高い業務にシフトし、売上向上につながる活動に注力できるのです。最後に企業ブランドの強化です。データ活用を進めることで、先進的な企業というイメージを醸成でき、優秀な人材確保においても有益なのです」(坂本氏)
多くの企業はダッシュボードなどのBIツールを導入、操作マニュアルやトレーニングツールを用意するなど、データ活用環境の充実を図っている。目指すのは一部の社員だけでなく、現場のメンバーも含めた誰もがデータを扱えるようになること、すなわち『データの民主化』だ。
それにもかかわらず、「思ったようにデータの民主化が広がらない状況に陥っている企業が多い」と坂本氏は指摘する。その原因は「データ分析は難しそう」というイメージからくるハードルの高さだ。
「ダッシュボードには表やグラフが複数あり、データを絞り込んだり、ソートしたりといった機能がたくさん用意されています。それをどう見ていったらいいのか、ダッシュボードを見てどんなアクションを取ればいいのか、あるいはどうやって分析のための画面を作ればいいのか、エンドユーザーにはわからないのです。すると、どんなに凝ったダッシュボードを作成しても、最終的には使われなくなってしまいます」(坂本氏)
もちろん、BIツールに慣れることで、いずれ使いこなせるようにはなるだろう。しかし、現場のメンバーの業務はデータ分析だけではない。タスクに追われる日々では、なかなかツールの習熟度は上がらないのだ。
生成AIがダッシュボード活用に革新をもたらす
こうした課題にどう対応すればいいのか。その答えとなるのが、生成AIだと坂本氏は言う。
「データ分析画面の見方やアクションについては、生成AIでダッシュボードの解説やアクション案を提示する方法が役立ちます。また、分析画面をどう作るのかについても、生成AIを活用して分析用のダッシュボードを自動で作成する方法が役に立つでしょう。生成AIによって、データ分析がより簡単になり、データの民主化につながると私たちは考えています」(坂本氏)
生成AIを活用したダッシュボード。それこそ同社が提供する「Strategy AI」である。
生成AIはユーザーにとっても非常に関心の高い分野だ。そのため、「生成AIを活用する」という取り組みそのものがユーザーの興味を喚起し、使ってもらうきっかけになるという。実際、Strategyの顧客企業でも、IT部門が主導してStrategy提供の生成AI機能を使ってみたいユーザーを募集したところ、業務ユーザーから過去にないほど多数の応募が殺到したとのことだ。
では、Strategy AIでは何ができるのか。大きな機能は3つ。データの解釈や深堀りをAIがサポートする分析アシスト機能と、どこでもAIに対して質問することで誰もが簡単にデータ分析できる機能、AIに作業指示を出すとダッシュボードを自動作成する機能である。
3時間の分析が30分に短縮、Strategy AIで実現するデータの民主化
こうした機能がもたらす効果には、以下のようなものがあるという。
たとえば、営業部内で利用するダッシュボード。画面には主要KPIである売上の推移や、商品カテゴリー別の売上、都道府県別の利益情報などが表示されているが、このままではデータを読み解けない現場メンバーがいるかもしれない。そこでStrategy AIでは、これらの情報をAIが分析、売上のサマリーやデータの特徴などを解説してくれる。どのような解説をAIにさせるかについては、ダッシュボード作成時に指示しておけるため、誰でも求めるデータ分析が簡単に行えるのである。
続いては、クレジットカードを運営している企業における売上分析。ダッシュボードには500店舗の売上情報が記載されているが、それを見てどんなアクションをとるべきなのかわからないメンバーもいるだろう。そこでAIの出番だ。AIのサマリーには「注力すべき特約店」という記述が出てくる。これは、売上の前年比が悪く、かつ売上が大きい特約店のこと。売上を向上させるには、こうした店舗にテコ入れすべきであるとAIが分析してアドバイスをくれる。
さらに、ダッシュボードの自動作成についてもAIが活躍する。Strategyが提供するダッシュボード画面であれば、ユーザーは数値項目と分析軸をドラッグ・アンド・ドロップするだけで、ダッシュボードを簡単に作成できる。ただ、実施したい分析に対して、どんなダッシュボードを作ればいいかわからないケースもあるだろう。
仮に、「利益の減少に商品の割引が影響しているのでは」という分析を行うとしよう。既存のダッシュボードでは割引に着目した項目がないため、新しくダッシュボードを作成することになる。このとき、どんな項目や分析軸を採用し、どのようなグラフで見せればよいのか。
Strategy AIでは、「Autoダッシュボード」から、分析候補を選択することで、必要な項目が網羅されたダッシュボードが自動作成できる。もし、分析候補に求める内容がない場合は、自然言語で指示することも可能だ。この柔軟性は生成AIならではと言える。
こうしたStrategy AIの活用により、とある小売企業では今までに3時間かかっていた複雑な分析作業用のダッシュボードを30分で作成できるようになったという。結果、既存業務で忙しい業務ユーザーでも自分自身で分析できるようになり、その効果がチーム全体にも波及、データの民主化が現場レベルでどんどん進んでいったのだ。
生成AIの進化は著しく、できることはどんどん増えている。Strategyでは、そうした進化をすばやく取り入れ、常に最先端のサービスを提供している。現在のStrategy AIにしても、GPT-4がリリースされてわずか半年後に実装、3ヶ月ごとに改善版をリリースしつづけているという。
データ活用の重要性はよく理解していても、現場がそれに追いつけていないという課題を抱える企業は少なくない。Strategy AIは、そうした課題を解消し、データの民主化を実現する最適な手段と言えるだろう。
[PR]提供:マイクロストラテジー・ジャパン