企業活動で発生するデータを活用したビジネス価値の創出、業務効率化による生産性向上や負荷削減といった多様なニーズを実現していくうえで、重要になるのが社内に散在する情報の一元管理である。ビジネス環境が大きく変わり、新しい働き方が浸透するなか、中堅中小企業においてもIT投資の再検討が進んでいる。そこで注目度が高まっているのが「ERP」だ。20年以上にわたってERPソリューションを提供してきた株式会社パシフィックビジネスコンサルティング(以下、PBC)の営業本部長 大西満氏に、中堅中小企業におけるERP選定のポイントを伺った。

ERPを導入するビジネス上のアドバンテージ

ERPは「Enterprise Resources Planning」の略で、日本語では「企業資源計画」と訳される。文字通り、企業における人やお金の動き、情報といったリソース(資源)を管理し、効率的な企業経営に役立てようという考え方だが、そこから発展し、会計・財務や販売・仕入・在庫・生産管理など多種多様な基幹業務を統合するシステムをERPと呼ぶようになった。

「従来は業務ごとに個別のシステムを導入することが多く、それぞれのデータを別々に管理していました。そうなると情報が各システムで分断され、会社として業務全体の流れを一気通貫で把握することが難しかったのです」と、大西氏がこれまでの状況を説明する。

データが社内に散在していれば、それを統合して活用するのは至難の業だ。そもそもシステムが異なっていると、それぞれのデータを加工・集計するのに時間と手間を要し、効率性が落ちる一方で業務負荷は高まってしまう。とりわけ中小企業では、1つの業務が特定の担当者に任されているケースが多く、その担当者が退職してしまった際ほかの社員がどうすればいいかわからないという属人的状況にもつながる。

「ERPを導入すれば、基幹業務のすべてを1つのシステムで統合できるので、情報の分断がなくなり、経営データを可視化して企業活動全体をクリアに見通せるようになります。また、システムの統合により生産性向上が期待できますし、システムごとの属人的要素をなくせるため人手不足対策にも効果があります。加えて、情報の流れを一元的に捉えられるので、内部統制の観点でも有用です」と大西氏はメリットを語る。

  • (写真)株式会社パシフィックビジネスコンサルティング 営業本部長 大西 満 氏

    株式会社パシフィックビジネスコンサルティング 営業本部長
    大西 満 氏

クラウド型ならオンプレ型より手軽に、低コストで導入可能

ERPには、自社でサーバーなどを設置し導入するオンプレミス型と、クラウドサービスとして提供されるクラウド型がある。かつてはオンプレミス型が当たり前だったが、クラウドの普及に伴い、昨今はクラウド型ERPを導入する企業が増えてきた。

クラウド型は自社に環境を構築する必要がないため、設備の購入・設置スペースに関わる初期費用や運用管理コスト、そして人手が不要で、手軽かつ安価に導入できる。サイバーセキュリティについても、サービス提供事業者が徹底した対策を実施してくれるため安心だ。オンプレミス型の場合は情報セキュリティ対策も自社で行わなければならず、そこには人手もコストも必要になることは言うまでもない。

ただ現状では、「市場全体の導入状況を見ても、オンプレミス型とクラウド型はまだ半々程度というイメージですが、当社としてはクラウド型での導入を提案しております」と大西氏。とくに中小規模の企業では、ERPならオンプレミス型、もしくは各業務で個別システムを使い続ける会社が多いとのことだ。

「クラウド型ERPはライセンス費用などの料金のみですぐに利用できるため、オンプレミス型に比べて導入コストを2割程度減らせます。とはいえコストはゼロではないので移行にためらうお客様はいらっしゃいますし、業務ごとに個別システムを導入している場合は、大きなトラブルがなければ保守契約期間中は使いつづけたいと考えるお客様もいらっしゃいます」(大西氏)

なかには、現在もMicrosoft Excelや紙を用いた人力作業で対応している企業もあることだろう。その状況でも業務自体は回せるものの、そこには担当者の属人的な業務負荷と生産性・効率性の低さ、そしてヒューマンエラーの可能性が常につきまとうため、できることなら改善したいところだ。

そうした業務体制の変革を検討するにあたり、クラウド型ERPなら自社のリソースを費やさず効率的かつ安価に、そして安全に利用でき、データ活用はもちろんDXの実現にも近づくなど、そのメリットは計り知れない。これからERPを導入する場合、まずはクラウド型から検討を始めるのがおすすめといえる。

中堅中小企業がERP導入に失敗してしまうケース

とはいえ、中堅中小企業、とりわけ中小企業では、ERP導入に失敗してしまうケースもある。実際に大西氏がある会社でERP導入を進めたとき、1つの業務のみをERPに移行し、ほかの業務はもともと導入していた個別システムを使い続けることを要望されたという。ERPは一部の機能のみを使うと業務を超えた情報の一元管理ができず、せっかくのメリットを享受できない。それだけでなく、ほかの既存システムと併存させようとすると、合計で見ればむしろコストが高くなってしまう。

「それではできることが限られ、費用対効果も感じられないので、そのお客様は残念ながらERP導入を断念しました」と大西氏は振り返る。

また、次のような失敗ケースもあったという。自社のやり方に合わせるため、ERPの標準機能にカスタマイズを加え、開発費用が大幅に膨らんでしまったというものだ。

「世間では最近、『Fit to Standard』ということが言われるようになりました。これは業務のやり方に合わせてシステムを開発したり、機能をカスタマイズしたりするのではなく、システムの標準機能に合わせて業務を変えていこうという発想です。すでに大手や中堅企業では、この考え方でシステムを導入するケースが多くなっています。ですが中小企業の場合、業務のやり方が属人化しており、システムの機能に合わせるのが難しいケースもあります」(大西氏)

ERPを導入するなら、ERPでカバーされる業務はすべてERPに移行するのが効果的であり、かつ業務のやり方もERPの標準機能に合わせることでそのメリットはより深まる。しかし現実には、システムを実際に利用する現場の意見を尊重しすぎ、導入が進まない事態に発展することもあり得る。そこで、ERPを導入しつつ、どうしてもこだわりたい部分だけはカスタマイズしたいというニーズもあることだろう。

「その場合は大幅なカスタマイズではなく、『市民開発』をおすすめしています」と大西氏。

市民開発とは、必要な機能を社員みずから開発することだ。かつては開発といえばプログラミングの知識やスキルが必須だったが、いまはそれらをほぼ必要としないローコード開発、さらにはまったくいらないノーコード開発という手法が登場している。

「ノーコード開発なら、求める機能を自分たちで簡単に作り、システムに追加できるので、自社ならではのこだわりをシステムに反映することが可能です」と大西氏が利点を紹介する。

PBCでマイクロソフトのERPを導入することで得られるメリットとは

では、ここまで見てきた失敗を避け、経営と現場業務に良い効果をもたらすERP導入を実現するにはどうすればいいのだろう。

PBCは販売代理店として、マイクロソフトのERP「Microsoft Dynamics 365 Business Central」(以下、Dynamics 365 Business Central)の導入とデータ活用を支援している。Dynamics 365 Business Centralは世界中の企業に使われているERPで、クラウド版も提供されている。マイクロソフト製品ということで信頼感・安心感が高いうえ、Excel、Microsoft Word、Microsoft Teamsといったマイクロソフト製品とスムーズに連携でき、操作性がExcelに近い点もメリットだ。

「企業活動の基幹業務はもちろんカバーしているので、まずは『Fit to Standard』の考え方で活用していくことで、ERP導入の多彩なメリットが得られます」と大西氏。

マイクロソフトの生成AIであるMicrosoft Copilotの活用も進められており、近い将来に多様な業務でAIによる効率化やデータ活用を実現できるようになる。さらに、自社独自の業務のやり方を反映したい場合はノーコード開発による機能追加も可能になっている。

PBCはすでに四半世紀近く、500拠点以上にDynamics 365 Business Centralを提供している。その豊富な経験で確立された手法と高い技術力・サポート力を背景に、導入・運用を支援してきた実績がある。検討段階からしっかりコミュニケーションを取り、課題の洗い出しとニーズに応じた提案を行ったうえで伴走する点もPBCの強みで、顧客企業にとっては大きな安心材料だ。日本企業の海外拠点におけるシステム立ち上げにも実績が多く、海外展開している企業にはさらに心強いだろう。

「マイクロソフトやほかの事業者とのパートナーシップをより深めながら、中堅中小企業のお客様へのDynamics 365 Business Central導入と運用サポートに一層力を入れていきます。今後AIの活用が進んでいくなか、クラウド版のDynamics 365 Business Centralはデータ活用に適したERPで、お客様のビジネス課題解決と価値創出につながると確信しています」と、大西氏は最後に力強く語った。

  • (写真)大西氏
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