デジタル化が進む現代、企業は競争力を高めるための「データ活用」が求められるようになった。しかし、いざデータ活用に踏み出そうとしたときに、データの分散やサイロ化が判明し、実はデータ活用のスタートラインにも立てていなかった――と気づく企業は少なくない。A社の事例を通じて、データ活用に必要な「メタデータ管理」について学んでいこう。

多くの企業がデータ活用へ歩き出せない原因

事業の実績や業務プロセス、顧客の行動といったデータを把握し、活用できれば、素早い意思決定や、業務の効率化、効果的なマーケティング施策などが可能となる。こうした理由から、競争力を高めるための「データ活用」に踏み切ろうとする企業も少なくない。

しかし、多くの企業で、データは複数のシステムに分散し、サイロ化してしまっている。データの所在も数字の定義も不鮮明なまま可視化を進めた結果、BIツールが有効に働かない、現場に浸透しない、といった事態もあちこちで起きている。

30年以上の歴史を持つ中堅企業A社も、そんな一社だ。長年、オンプレミスで複数のシステムとデータベースを運用してきたA社。各システムが異なるテーブル情報を持つため、どのデータがどこにあるのかを把握すること自体が、データ活用に至るまでの大きな課題として立ち塞がった。

A社の情報システム担当者、佐藤氏(仮名)は、いざBIツールを導入しようとして、あまりにも定義の異なるデータが混在していることに頭を抱えてしまったという。

「たとえば『ユーザー』という言葉の意味が、『メールアドレス登録者』だったり、『製品購入者』だったり、部署によって異なっていました。こうした意味を把握しないまま、無理矢理『全社のユーザー数』を集計すれば、おかしな結果になってしまいます。

しかし、これまでつぎはぎで構築したり、異なるSIerに任せてきたために、自社システムの全体像を、誰も把握できなくなってしまったのです。画面に出てくる数字の元を誰も答えられない、ということすらありました。だからといって、ゼロからデータベース構造を調査・分析するようなコストはとてもかけられません。いったいどうすればいいのか……」

データ活用の一歩目から、暗闇に迷い込んでしまったA社。彼らが想像もしていなかった解決策を提示してくれたのが、メタデータ管理SaaS「Mashu」だった。

  • (イラスト)データの「3つのバラバラ」に悩む様子

新たな発想でデータ管理の課題を解決する「Mashu」

Mashuは、複数のシステムやデータベースから「メタデータ」を自動で収集し、一元管理できるサービスだ。あるデータの構造、特性、関連性についての情報をメタデータと呼ぶ。顧客データベースでいえば、下記のような情報だ。

・データベース名:Customer
・カラム名:Name,Adress,Company…
・論理名:氏名,住所,会社名…

データの取扱説明書または仕様書になるもの、といえばわかりやすいだろうか。Mashuは、このメタデータを集めて、自社データの「索引」を作ってくれるのだ。

長い歴史を持つA社では、社内システムが散在している上、次々と新しいサービス・技術が登場しており、すべてのシステムを統合・管理することは、非現実的といえる状態だった。しかし、Mashuを使えば、データ自体の所在はいつでも確認することができ、今のように行方不明になることはなくなる。あとは重要部分だけ、実データを統合していけばよいのだ。

利用しているシステムがオンプレミスでもクラウドでも、Mashuは自動的にそれらからメタデータを取得し、リスト化する機能を持つ。いったんリスト化すれば、検索してすぐに必要なデータにたどり着ける。

さらに、Mashuのリストには、データに関する補足情報を追記したり、タグ付けしたりすることも可能だ。そのデータの和名や業務での扱い方、機密情報かどうか、といった情報を付与していける。自社のセキュリティポリシー上、どの情報が「個人情報」で、どの情報が「機密情報」なのか、タグ付けしておけば、より適切な管理に取り組めるだろう。

「Mashu」の存在を初めて知った佐藤氏は、驚きを隠せなかったという。

「実データを統合するのではなく、『メタデータで索引を作る』という発想は、想像もしていなかった解決策で、初めて聞いたときは驚きました。効果的なデータ活用をしていくためには、大元となるデータの『品質』を保つデータマネジメントやデータガバナンスが欠かせません。Mashuはそれを簡単に実現してくれるサービスだと思います。Excelで全社のデータをリスト化し、メンテナンスしていくことなど、とうてい長続きしませんから」

既存システムの理解から、「データの民主化」は生まれる

SaaSで提供されているため、Mashuの導入は極めてスムーズだった。通常、大規模で高額なシステムを導入するには稟議に時間がかかるA社だが、Mashuは無償利用枠もあるうえ価格も安価なため、すぐにスモールスタートで進めることができた。

また、同期したいデータソースの接続情報を入力するだけで、ごく簡単にスタートができたこともポイントだ。データ活用に長けた専門人材がいないA社でも現行システムの整備ができたことに、佐藤氏は深く安堵した。

はじめは情報システム部だけで使い始めたA社だが、いまでは全社での活用に広げているという。ユーザーや利用範囲が増えても、Mashuを提供するROBON社から設定や活用に関するサポートを手厚く受けることができたため、展開も実にスムーズだった。

現在、A社では、Mashuの導入により思わぬ効果が現れているという。

「大袈裟かもしれませんが、『データの民主化』が起きつつように感じます。たとえば、会社の顧客像を明確にしようとMashuを使ってデータ調査をしたところ、複数の事業部が販売システムを持っていたことや、実は重要なデータを管理していたことなどが判明しました。それに伴って、部署間の理解が進み、コミュニケーションが生まれているんです。『なんでこのデータを持ってるの?』『それなら、これが見えてくるんじゃない?』といった会話です。情報システム部だけで進めていては、こうした空気は生まれなかったでしょう。結果として、会社全体で、データ活用に向けた前向きな文化が醸成できつつあります」と、佐藤氏は大きく喜んでいる。

業務・部署・組織によってデータベースが分断されてしまっていても、Mashuはその間を縫うように機能してくれる。それは、個人の机にしまい込まれていた名刺をデータベース化し、全社的な資産に変えた名刺管理ソリューションに似ているかもしれない。同様に、システム化されている情報ならば、Mashuによって誰でも、いつでも見つけ出すことができる。

既存のシステム・データベースの構造をMashuによって把握したA社は、データ活用のフェイズに移っている。現場の数字と経営の数字が食い違うことなく、正しい数字の下、BIツールのダッシュボードに分かりやすいグラフが表示される。あるいは、生成AIがレポーティングしてくれるようになった。経営判断の迅速化や、製品開発企画、マーケティング施策の立案といった、「本当にやりたいこと」が叶うようになったのだ。

  • (イラスト)データの「3つのバラバラ」がMashuによって解消され、よろこぶ様子

データ活用に向けて、Mashuがもたらす価値

A社の事例から明らかなように、Mashuの導入は、既存システムの理解に基づいた、企業全体でのデータ活用を可能にする強力な基盤を提供する。とくに、下記の価値が強調できるだろう。

・データの民主化の実現
Mashuの導入を通じて、A社では「データの民主化」が醸成されつつあるという。従来は部門ごとに閉じていたデータが、全社的にアクセス可能になり、各部門が必要な情報を「発見」できるようになったのだ。これにより、組織全体でのコラボレーションが促進され、データドリブンな行動が加速している。

・データガバナンスの強化
データの全体像を把握することで、Mashuはデータガバナンスの強化にも貢献する。データの存在をそもそも知らなければ、適切なアクセス管理やセキュリティ対策を講じることは不可能だ。A社はデータ管理における透明性を高め、コンプライアンスリスクを低減することができた。日々増え続ける、膨大なデータのメンテナンスも、Mashuのカタログ機能があれば安心だ。

"正しいデータ活用"をしたいと願ったとき、Mashuはその一歩目を確かに照らしてくれる、強力なツールだ。「新システムに移行しようにも、既存システムの全体像が把握できない」「データ活用ができていない」という悩みを持つならば、導入の検討をお勧めする。

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