コロナ禍を経て、消費者の購買動向は大きく変わりました。事前にネットで調べることや買うことが増えたために、店内をあちこち歩き回る回遊率は減少しています。また、いくつかの店を巡って目に付いたものを買う「ついで買い」も少なくなりました。

こうした時代の中、小売り・アパレル業は、どうすれば「顧客に寄り添った、リアルとデジタルの融合」ができるのか、各社模索を続けています。

実際に商品の手触りを確かめ、試着ができる店舗の価値が減ることはありません。100年以上前から通信販売が盛んで、ECサイトがしのぎを削っているアメリカでも、最近「リアル店舗への回帰」が起きつつあります。ポイントは、リアル店舗と、アプリやWebサイトといったデジタルの両方において、どれだけ一貫した心地よい顧客体験を提供できるか、ということです。

リアルとデジタル、両方の顧客解像度を大きく高めるソリューションが、Tealiumの提供する顧客データプラットフォーム(CDP)です。小売・アパレル企業であるA社は、TealiumのCDPを段階的に活用しながら、売上・ロイヤルティを向上させていきました。これから、彼らの具体的な実践方法を紹介します。

CDP活用の第一歩として

A社がTealiumのCDPを導入した最初のきっかけは「広告費の最適化」でした。

TealiumのCDPは、顧客の行動や好みをリアルタイムで把握し、パーソナライズされたサービスを提供できます。あらゆる顧客接点を改善できる、懐の広いソリューションです。しかし、A社の導入当時は「CDP」という言葉も、その意義も、社内に浸透していなかったため、担当者は「広告費を減らすツール」として社内に周知したのでした。

結果としてA社は、広告効果はそのままに、年間広告費40億円のうち、5億円の削減に成功しています。はじめの一歩としては大きな成果です。彼らはどのようにツールを使ったのでしょうか。

TealiumのCDPは、リアル店舗やECサイト、アプリ、SNSなどにおけるユーザーの行動をひとつのIDで管理し、リアルタイムで記録することができます。

「買った商品のバナー広告がいつまでも表示される」という経験をした消費者は少なくありません。これは、購買と広告配信のデータが連動していないために起きてしまう現象です。消費者にとっては煩わしく、企業にとっては広告費の無駄打ちです。A社は、TealiumのCDPによって、「商品を購入したユーザー」や「何回も同じページを見たユーザー」には広告を表示しないと設定し、大幅なコスト削減に成功したのでした。

しかし、TealiumのCDP活用はこれだけにとどまりません。

デジタルでも対面のような接客が可能に

あなたが店舗で接客するとしたら、顧客のどんな点に注目したうえで声をかけるでしょうか? 常連さんかご新規か、店舗内でどの棚を見ているか、どんなジャンルに興味を持ちそうなファッションか、といったことを素早く見極めることが、気の利いた接客には不可欠です。

TealiumのCDPは、デジタルでも、気の利いた接客を可能とします。

A社は、CDPで取得した行動データと、従来の会員データとを組み合わせ、さまざまな仮説を立てていきました。たとえば、「XX区に住んでいる30代~40代の女性で、この商品をX回見た人は、きっとこういう嗜好だろう」という仮説です。

そして、仮説をもとに、CDPと各種マーケティングツールを連動させることによって、嗜好に合わせたキャンペーンページの表示や、適切なタイミングで「お困りですか?」のポップアップを出現させる、といった施策を実施しました。あたかも、店舗で接客するように、です。

また、「商品をカートに入れたけれど、その後、決済をせずに離脱してしまった人」を判別し、リマインドを兼ねたメールも自動送信するようにしました。

こうした施策によって、Webサイトの平均コンバージョン率は約22%となりました。さらにクリック率は約55%に上昇し、これはCDP導入前と比較して約26%の改善となりました。A社は1年でTealiumのCDPへの投資額を回収しています。

さらにTealiumのCDPは、単なる「広告費削減ツール」や「WEB接客ツール」では終わりません。

ガバナンス向上がもたらす全社的なデータ活用

TealiumのCDP利用が浸透してくると、顧客像がどんどん明確になっていきます。鮮度の高いデータや、活用しやすい"綺麗なデータ"が集まることによって、データガバナンスが強固になり、結果として顧客理解が進むのです。店舗だけ、Webだけ、といった従来の一面的な見方ではなく、一人の人間としての全体像を掴むことができるようになります。

この変化により、A社では、さまざまな部署でデータ活用施策が生まれるようになりました。どういうタイミングで、何をすれば、顧客はもっと心地よくなるのか。ROIを高めるためにはどうすべきか。皆が試行錯誤するようになったのです。

たとえば、過去の購買履歴や来店頻度をもとに「ロイヤルカスタマー」を設定することによって、店舗でもデジタルでも適切な接客をするようになりました。

さらに、商品企画とマーケティング、小売、EC、カスタマーサクセスの部門が協調するようになり、一貫性のある施策も可能となっています。

施策の実行速度が数十倍に

TealiumのCDPの特徴は、高いリアルタイム性にあります。

通常、店舗で商品を買ったデータや、メールマガジンのリンクから特設サイトを訪問したデータなど、顧客に関する情報はバラバラに格納されています。SQLを書いてデータを抽出し、それらを繋ぎ合わせ、完成したデータを元に施策をするには、非常に時間がかかります。

「匿名顧客のパーソナライゼーション」というコンセプトで進化してきたTealiumのCDPは、Cookie規制が進みユーザーの特定がしにくくなった現代においても、個人の振る舞いに対してすぐさまリアクションを返すことが可能です。施策を実行するまでにかかる時間やコスト下げてくれるのです。

A社では、これまで大がかりなキャンペーンを年間数本しか実行できませんでしたが、TealiumのCDPによってその数は数十倍にもなりました。

AIとの連携によりさらに高度な顧客コミュニケーションを

鮮度が高く、綺麗なデータが集まることは、人間だけでなくAIにとっても喜ばしいことです。AIの精度は学習データに大きく依存するため、最新の高品質な学習データを与えるほど、優れたAIを生み出すことができます。

現在、A社は先駆的な試みとして、ユーザーの行動データをリアルタイムに収集し、それをAIの学習環境にストリーミングする「リアルタイム機械学習」を実施しています。

トレンドがめまぐるしく変わる小売・アパレル業界にとって、データの鮮度は極めて重要です。接客用AIが1年前の流行を語っては、信用されることは難しいでしょう。

またAIは、人間の直感に反するような「隠れた法則」を見つけ出すことに役立ちます。「ロイヤルカスタマーになりやすい顧客層」が見つかれば、優先度を上げて接客していくべきだと分かります。A社は、TealiumのCDPによって「高精度のデータ収集」と「顧客体験の向上」を好循環させながら、AI時代の高度な顧客コミュニケーションを実現する段階に到達しつつあるのです。

A社の歩みは、小売・アパレル業界が直面するデジタル時代の課題に対しても、重要な道しるべとなるでしょう。消費者一人ひとりに合わせた、パーソナライズされた体験を提供することで、A社は広告費の削減、コンバージョン率の大幅な改善、顧客ロイヤルティの向上を実現していきました。こうしたTealiumのCDPの段階的な導入と活用を、ぜひ参考にして下さい。

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[PR]提供:Tealium Japan