2024年2月、世界的調査会社のガートナーは、カスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)に関する市場分析レポート『マジック・クアドラント』を公表した。名だたる企業の中で、2008年に創業したTealiumが「リーダー」に位置付けられたことは、同社にとって重要なマイルストーンとなるだろう。なぜTealiumは、このような高い評価を受けたのか。今後、どのような挑戦をしていくのか。同社のグローバル・プロダクト・マーケティングの責任者であるMatt Parisi氏に、話を聞いた。
お答えいただいた方
──この度、ガートナーはカスタマー・データ・プラットフォーム(Customer Data Platform;CDP)に関する市場分析レポート『マジック・クアドラント』を公表しました。Tealiumはその中で「リーダー」に位置づけられています。この結果をみなさんはどのように受け止めましたか?
非常に喜ばしいことで、それはもう盛大にお祝いをしました。調査会社は数多くありますが、ガートナーのマジック・クアドラントは、非常に信頼性が高いとされる市場分析です。つまり、みんなを集めて、料理やお酒をふるまって、パーティーをして喜ぶべき評価をもらったということですね。
──顧客に関するデータを統合し、マーケティング戦略の策定や顧客体験の向上を支援する"CDP"が、『マジック・クアドラント』の対象になったのは初めてのことです。この事実は何を表していると思いますか?
CDPの市場が成熟してきたサインだと思います。ユーザーや企業に価値を与える、信頼に足る市場領域だという認識がなければ、専用のレポートが作成されることはないでしょう。
──『マジック・クアドラント』は17社のCDPを分析対象としていました。数あるCDPの中で、Tealiumの製品はどのような特徴を発揮しているとお考えですか?
大きくは3つあると考えています。
一つ目は、規制や機密性の高い業界──たとえば金融やヘルスケア分野──で多くの実績を積んできていることです。最も厳しいデータ環境において、法律で義務付けられた厳しい要件や顧客の高い期待に応える能力を発揮してきました。規制産業では、企業がどのようにデータを利用するかについて、高い要求があります。Tealiumは、データを強力に管理できるように構築されており、要求の厳しい業界で事業を展開してきたからこそ、高い基準の製品開発を目指してきています。
二つ目は、中立性と独立性を保っていること。ベスト・オブ・ブリードとも呼ばれますが、お客さまがさまざまなソリューション間で、より柔軟にデータを統合できることを意味します。既に投資した環境を無駄にする必要がありません。統合ツールを集めたマーケットプレイスには、1,300を超えるソリューションとすぐ繋げるコネクターなどが用意されています。広告テクノロジーからマーケティングテクノロジー、その他のあらゆるテクノロジーカテゴリーの製品・サービスと連携し、企業全体のデータサイロ化を防ぎつつ、全社的な顧客体験の演出を支援しています。
三つ目は、当社製品の「エンタープライズ・レディネス」です。大規模で複雑なビジネス環境に立ち向かう企業向けの製品やサービスが準備されているという点です。当社製品の信頼性、スケーラビリティ、セキュリティの確保などがお客様に高く評価されています。製品だけではなく、エンタープライズグレードのカスタマーサクセス部門と、クラウド・データ・ウェアハウスや代理店、システムインテグレータとの豊かなパートナーエコシステムが、お客様を支援しています。顧客データの専門家として豊富な知識とリソースを提供し、多くのプロジェクトを成功に導いてきました。
──TealiumのCDPが機密性の高い業界に選ばれているのはなぜでしょうか。
データセキュリティに関するさまざまな認定を取得していることはもちろん、データ管理のための保護措置が整備されています。実際にデータを使用するには設定された条件を適切に満たしていなければならない製品なのです。さらに、「同意管理」の機能が統合されていることも大きいと思います。「データを使っていいよ」とエンドユーザーが許可したものだけを、分析・活用に回しているのです。つまりTealiumのCDPは、コンプライアンスの面でも安心して使えるソリューションだということです。
──『マジック・クアドラント』においては、4社が市場の「リーダー」に位置づけられています。そのほとんどが、誰もがその名を知っているような大企業です。2008年に創業したばかりの若いTealiumがそこに並んだ事実については、どのように考察をしていますか?
リーダーに位置づけられているような大規模なプラットフォームにとっては、CDPもシステムの一機能にすぎません。彼らのマーケティングクラウドの中で使わなければ、真価を発揮することはできないのです。その点、我々は独立した存在ですから、市場の最も優れたツール──たとえば、GoogleやMeta、LINE──とも柔軟に連携し、最大限の効果を発揮する事ができます。
こうしたベスト・オブ・ブリードの戦略をとっている事に加えて、TealiumのCDPはデータの「リアルタイム性」を重視しています。「一定期間データを貯めて、それを分析して、新たな洞察を得ていく」といった従来型のデータ活用の発想にとどまらず、「今、この瞬間に起きた出来事を察知して、すぐさま行動に移すこと」を大事に考えているわけです。
ですからTealiumのCDPは、ECサイトのカート離脱者に対して、記憶が新鮮なうちにメッセージを送ったり、最新の顧客ステータス(熱量の変化や態度変容など)を把握しながらカスタマーサービスで対応できたりと、幅広いチャネルで活用することが可能なのです。
──大きな差別化の要素は「リアルタイム性」にあるということですが、BtoB企業にとっては、TealiumのCDPはどのような存在でしょうか?
BtoBにおいても、当然、即応性が求められる分野については選ばれています。なにより私たちの製品は「個々の人のプロファイルや行動」についてフォーカスした柔軟なCDPです。同じ企業においても、マーケティング担当者に対するアプローチと、購買や調達部門、法務部門の担当者に対するアプローチは異なるべきでしょう? そこで今年は、「同じ組織の別部門に対して、より適切なコミュニケーションをとる」ための機能を新たにリリースする予定です。
──今後、Tealiumがさらに成長していくためには、どのようなチャレンジが必要だとお考えですか?
この市場はとてつもないスピードで変化しています。近年の最も大きな破壊的変化は、AIの登場です。しかし、AIはなんでも実現してくれるように思えますが、賢くふるまってくれるかどうかは「学習データ」次第です。正確で、同意取得済みで、常に新鮮なデータを学習基盤に提供できるかどうかが、AIの性能を大きく左右するのです。
こうした観点に立つと、TealiumのCDPは、AIに高品質なデータを提供する上でも非常に有益であることが分かります。一つのデータに対してコンテクスト情報が付与されていればいるほど、正確な学習と、それに基づく良いアクションが可能になります。TealiumのCDPが取得しているデータは、まさにブランド特有のコンテクスト情報に満ちた顧客情報なのです。
また、学習データの供給だけでなく、AIから得た結果を実行に移す際も、私たちの製品は威力を発揮すると考えられます。賢いAIによるレコメンデーションや顧客セグメンテーションを元にして、マーケティングチャネルを再統合し、施策に反映させていく。TealiumのCDPだからこそできることが数多くあります。
このように、AIをより力強く駆動させるCDPとして、私たちは挑戦を続けていきます。
それはテクノロジーの進化だけではありません。法規制対応も、最も重要すべき事柄の一つです。事業を展開する地域のコンプライアンスに則る必要があります。アメリカなど50の州ごとに法律が違いますから、対応は大変です。しかし、ツール側でできることは果たさねばなりません。さらに、Googleがサードパーティークッキーの廃止を段階的に進めていることを踏まえて、Web上のトラッキング方法も変えていく必要があります。
──最後に、読者に向けたメッセージをお願いします。
今後、消費者がブランドに対して抱く「二つの期待」がますます高まっていくと思います。それはすなわち、「私のことはもちろん知ってるでしょ?」という期待と、「私の情報を勝手に使ってないでしょうね?」という当然の期待です。
前者については、たとえばECサイトのヘビーユーザーなのに、リアル店舗の店員がそれを知らなかったら、失望がより大きくなるということです。
後者については、ブランドに対して今、どんな情報を渡しているのか把握できないような環境は、大きな不信を招くということです。顧客自身が、自身の情報をコントロールできるようにせねばなりません。
これらの期待に対して、どのような顧客体験を提供すべきでしょうか。TealiumのCDPは、同意管理の徹底はもちろん、顧客の最新のふるまいを把握することのできるシステムです。ぜひ、個別化されたアプローチを戦略的に実行していくことで、市場での存在感を高めていってください。
カスタマー・データ・プラットフォーム領域のマジック・クアドラント
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