2月22日(水)に開催されたオンラインセミナー「ビジネスフォーラム事務局 × TECH+ EXPO2023 for Leader DX FRONTLINE」で、インターネットイニシアティブの岡田晋介氏は、自社が行うIoT事業や導入事例を挙げ、企業がIoTを導入する際の大切なポイントなどを解説した。また、「IIJ産業セキュアリモートマネジメント」をはじめとした自社サービスについても紹介。

インターネットイニシアティブの事業について

インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は1992年12月3日に、国内初の商用インターネット接続事業者として創業し、2022年12月に30周年を迎えた。創業以来、すべてのものがインターネットにつながり、あらゆるものがインターネット上に構築される未来を描き、革新的で信頼性の高いネットワークサービスを提供してきた。

現在の事業領域は、「ネットワーク事業」「クラウド事業」「セキュリティ事業」「モバイル事業」「インテグレーション事業」の5つがコアとなっている。IoT事業に関しては、上記の5つの事業を現場に届けるという活動を進めてきた。具体的には産業(製造業)、農業(地域課題)、ホーム・見守り、エネルギーに特化したサービスを展開。現場に赴き、現場の課題をヒアリングしてサービス開発をしていくことを方針として活動してきた。

一方でテクノロジーについては、クラウドサービスにおいてIoTのプラットフォームを構築し、分野ごとに応じたSaaSやPaaSの提供を行っている。

IIJがみるIoT市場観測と事例から見る傾向とは

一般的な観測として岡田氏は「IoT市場は継続して拡大しており、浸透によって市場は成熟期に入ろうとしている」と説明。一方で「経営レベルの推進に向けたビジョンやユースケースの明確化に課題が見てとれる」と捉えていると語った。技術的な部分に関しては、「いかに活用できるかが要である」と結論づけている。

IIJからみえるIoT市場として岡田氏は「クライアントにIoTが浸透していることを実感している」とし、「新型コロナウイルスの影響で一時的に新規投資が停滞するようなこともあったものの、緊急事態宣言があけて、回復傾向となった。そしてリモート化が一般的になったことも後押しとなり成約数も順調に推移している」と語った。

その他、半導体不足による影響で製品調達が遅れたことによってクライアントサービスをクローズせざるを得ないケースもあった。しかし全体的には本格導入が進んでおり、実践的なケースが増えてきた。これまでは1か所での検証が主であったが、多拠点への展開が進んできており、具体的には産業分野では自社ビジネスに加えて、外販分野での活用も目覚ましいという。

施設における建具監視とリモート制御による取り組みでは、従来はデータを集めて監視していたが、リモートから制御する活用方法に移行した。岡田氏によると「自社でデータを集め、自社の業務効率化」ではなく、「付加価値を作って外販し、使用後の業務も自動化する」という取り組みが進んできているという。農業分野では「地域課題が重要視されており、具体的な成果は長期的に見なければならないが、ユースケースとして広がりを見せている」とした。

エネルギー分野については「ロシアによるウクライナ侵攻の影響で資源高騰が起きており、国内電気代も高騰していることを踏まえ、電力を削減するべく、電力の管理や監視の相談が増えてきている」と岡田氏は分析した。

「データ活用自体は進んでいるものの、データを価値にかえるIoTを手段としてDX化をしていく活動についてはこれから検討を行うところが多い」としつつ、各案件の傾向として業務効率化・コスト削減を掲げるところが多くなっているようだ。岡田氏は「これまでデータにできなかったものをデータにする時点で価値が創造されており、設備の見える化や点検業務の効率化に寄与できているケースが増えた」と語る。

IoTを進めるにあたってまずは「データ化、加えてデータをネットワークに接続することで遠隔化ができる」とし、「IoT化するうえで最も基本的なポイント」であり「この前段をしっかり押さえているクライアントがIoT化を円滑に進めてきている印象だ」と岡田氏は分析する。

ユースケースからみるIoT導入のポイントとして、「データを使って新しいことを」と考えるケースが多いが、「データ化することによって実地調査の時間が短縮できる点に着目すると、よりユースケースの具体化につながる」とした。「基本的な点において効果を創造し、効果を測定できるような状態にすることで取り組みの土台が形成される」と語った。

さらに導入から数年で本番運用段階に至っている工場IoT事例を挙げ「仮に機械が故障したとしても、故障から調査を行うのではなく、通常時よりデータを収集しているので、それらのデータから分析がスタートできる。つまり時間の短縮につながっている。そして、データをとる仕組みもメンテナンスが必要だが、通常時より行うことでその時間も不要となった」と岡田氏は語り、大きな効果につながっていることを説明した。

技術に関して岡田氏によると「モバイルネットワークの活用、OT/ITネットワークの分離、閉域ネットワークの導入によって、安全なネットワークを構築することで、データの確かさを担保している。内製化にあたって大切な学習しやすいオープンベースでベンダロックインを回避する仕組みになっている。このようにすることで、運用した後の成果につながる」と語る。プロダクトの選定にも、複数のサービスを横断して束ねられるような仕掛けを導入している。

IIJのサービスについて詳しくみる

導入の先に見えてきたデータビジネスの実現性

クライアント案件でのデータ活用の支援だけでなく、IIJではデータ活用にも取り組んでいる。

農業IoTの取り組みとして発育指数に基づいた水管理の自動化技術の実証実験では、水管理の負担軽減とともに、収穫量・品質に影響する育成不良の軽減もすすめている。

近日成果報告を予定している見守りの取り組みでは、データ活用に基づいたフレイル検知の実証を行っている。見守りのフェーズ段階前にある状態を検知することを目的としており、電力使用実績を使用することで生活状態を分析、傾向を見出す。実証をさらに重ねて、推進していく考えだという。

クライアント事例ではデータ販売の実用化に至っているケースがあるとして、村田製作所のトラフィックカウンタシステムを紹介した。

トラフィックカウンタシステムは道路交通量を計測する仕組みで、インドネシアをはじめ東南アジアにおいて政府・民間向けデータビジネスとして商用展開。IIJはクラウドサービス提供などITシステムの構築とシステム運用を支援している。データ越境の課題についても、現地でのデータビジネスに従って、適法ですすめるためにサポートが可能だという。

東南アジアでのビジネス展開を検討するクライアントも多いため、東南アジアでの実績があるデータの販売まで含めたスキームを整えており、日本企業への販売を計画中だ。

サービス・ソリューションの紹介

岡田氏は「一方的なサービス提供ではなく、一緒にサービスを作ることが重要」だと話し、「現場に赴き、ネットワークセキュリティやクラウドサービスの技術を集結させ、ソリューションの拡充を図りたい」として、IoTを使ったDXを推進していきたいと考えを語った。

産業分野においてはおおよそのクライアントが「IIJ産業セキュアリモートマネジメント」を導入している。

昨年12月にリリースした「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」はマルチクラウドを「簡単・セキュア・低コスト」にデータ連携を実現するPaaSサービスだ。IoTデータもエンタープライズのシステムと繋ぐ必要があるため、安全な接続において有効的であると語った。その他、「IIJ LoRaWAN®️ソリューション」、「エッジデータセンターソリューション“DX edge”」も提供している。

IoT化におけるポイントを踏まえ、コスト削減だけでなくリスクヘッジそして外観的な観点からもIoT化は一考すべきであろう。とはいえ、具体的な事例や予算など不明な点が障壁となり、検討に至らない場合もある。ぜひIIJに相談してみてはいかがだろうか。

IIJのサービスについて詳しくみる

[PR]提供:インターネットイニシアティブ