Google Cloudの「Customer Award 2020 Retail 部門」を受賞した、セブン‐イレブン・ジャパンのビッグデータ活用基盤「セブンセントラル」。グローバルに評価された日本のDXは、どのようにして生まれたのだろうか。セブン‐イレブン・ジャパンの西村 出氏、グーグル・クラウド・ジャパンの石積 尚幸氏、クラウドエースの吉積 礼敏氏、杉山 裕亮氏による座談会の模様をお届けする。

  • 座談会メンバーの集合写真

    (左から)
    クラウドエース株式会社 取締役会長 吉積 礼敏氏
    株式会社セブン-イレブン・ジャパン 執行役員 システム本部長 西村 出氏
    グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 パートナー事業本部 上級執行役員 石積 尚幸氏
    クラウドエース株式会社 マーケティング部 部長 杉山 裕亮氏

「ガバナンスとスピード」を両立するビッグデータ活用基盤

クラウドエース 杉山氏:
全店舗のPOSデータをリアルタイムに収集・分析・可視化するビッグデータ活用基盤「セブンセントラル」は、第一回Google Cloud Customer Award 2020 のリテール部門を受賞しました。この受賞について石積様はどのように感じられましたか?

  • 杉山氏の座談会中の写真

    クラウドエース 杉山 裕亮氏

グーグル・クラウド・ジャパン 石積氏:
日本企業はどうしても「DXが遅れている」というイメージを持たれがちですから、セブン‐イレブン・ジャパン様のグローバルでの受賞は非常に嬉しいですし、日本の企業を勇気付ける事例になったと思っています。

クラウドエース 杉山氏:
私も日本企業のDXが、この受賞に刺激を受けてさらに進むことを期待しています。それではさっそく、西村様に具体的な話をお伺いしていきましょう。セブンセントラルの大きな特徴の1つは「APIマネジメント」にあると思いますが、この点について詳しく教えてください。

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
私たちはこれまでにさまざまなデータ基盤を構築してきましたが、サービスが拡大していくうちに多数のAPIができてしまい、スパゲティ化してしまいました。データを使いたいときに、なかなか必要なデータを取り出せないという事態に陥っていたのです。
そこでGoogle CloudのAPI管理プラットフォームである「Apigee」を活用し、Apigeeを介してセブンセントラルのデータをすぐに取り出せる仕組みを構築しました。インターフェースを共通化できるうえに、誰がどのAPIを使ってどのデータにアクセスしているのかといった統合監視も実現し、ガバナンスの強化とスピードの両立を実現しました。

クラウドエース 吉積氏:
Apigeeの国内導入事例はまだあまりないなかで、かなり先進的な取り組みだと思います。導入を決めたのはどういった理由からでしょうか。

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
今回のコンセプトである「ガバナンスとスピードの両立」に合致していたことが大きかったです。セブンセントラルはあくまでもシンプルで強力な基盤であり、ロジックはサービス側に任せています。データをしっかり渡していくために必要なセキュアかつ可用性を担保した最先端の統合API管理ツール──。そうした性能を兼ね備えていたのがApigeeだったのです。

  • 西村氏の座談会中の写真

    セブン-イレブン・ジャパン 西村 出氏

プロジェクトを通じて見えた、システム開発に必要な"関係性"

クラウドエース 杉山氏:
セブンセントラルの構築はかなり大規模なプロジェクトで難易度も高かったと思いますが、成功要因はどこにあったと思いますか?

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
社内外の多くの関係者でチームワークを高められたことが、半年間という短期間での構築に繋がったと思います。プロジェクトの開始早々に、コロナ禍によって対面での会議が難しくなってしまいましたが、プロジェクト管理ツールやコミュニケーションツールをうまく活用することで、リモートでもそれぞれの強みを発揮させながら進めることができました。

クラウドエース 吉積氏:
プロジェクト始動時はコロナ禍による混乱があったものの、オンラインで完結できたのは、とりわけチームビルディングがうまくいったように感じます。我々クラウドエースは「正直を仕事にする」をミッションとして掲げており、今回もメンバーの”正直力”がプロジェクト成功に貢献できたのではないでしょうか。

  • 吉積氏の座談会中の写真

    クラウドエース 吉積 礼敏氏

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
そうですね。これまではベンダーさんごとによる開発で完結するケースが多く、システムがブラックボックス化してしまうことを懸念していました。しかし、クラウドエースさんはGoogleの最高の技術をオープンにしてくれて、一緒に問題解決をしてくれました。そういったスタンスがマルチベンダーからなるプロジェクトメンバーの安心感に繋がったのだと思います。

クラウドエース 杉山氏:
ありがとうございます。今回のプロジェクトを通じて、既存ベンダーとの関係性や開発手法に変化はありましたか?

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
今までは、ご多分に漏れずウォーターフォール型でカチッと要件を決めて開発を進めていましたが、当社のDNAでもある“変化対応”をクイックに実現できる予見を広く構えたアジャイル開発ができるようになりました。Google Cloud自体も扱えるデータ量やトランザクション能力が桁違いですので、ダイナミックな変更に対応しています。
アジャイル開発で重要なのは、開発するうえでのリスクはシェアするというスタンスだと思っています。ベンダー依存度を高めずに、我々自身もアーキテクチャ構成から踏み入っていき、保守・運用や軽微な開発も自社で手掛けていく。そんな関係性が、”変化”に対応したシステム開発には必要だと感じました。

社内でDXの象徴となったセブンセントラル

クラウドエース 杉山氏:
セブン‐イレブン・ジャパンでは、どのような確信を持ったうえで「クラウド技術によるデータ活用基盤の構築を進める」という経営判断ができたのでしょうか?

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
当社はもともと、その時代の最新の技術を使ったデータ活用に取り組んできました。たとえば、セブンセントラル構築前も全店舗のPOSデータを翌朝には確認できていました。経営からビジネス部門まで「データの価値」を理解していたことが大きかったと思います。

クラウドエース 吉積氏:
翌朝には全店舗のデータが見えていたこと自体がすごいことですよね。

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
そこまで積みあげてきたからこそ、データドリブン経営をしていくためには、さらなる即時性が重要であり自社でコントロールできるデータ基盤が必要だという考えに及んだのだと思います。そしてクラウドエースさんに、大規模分散型のトランザクション処理をする「Cloud Spanner」やETLサービスの「Cloud Dataflow」を組み合わせるといった技術的な提案をしていただけたことで、世界最速のパフォーマンスを実現できました。いまでは北海道から沖縄まで全21,000店舗の最新データをたった1分で確認できます。

クラウドエース 吉積氏:
我々としても驚くべき成果です(笑)。

クラウドエース 杉山氏:
セブンセントラルは2020年9月より稼働を開始されました。この2年でどのような変化がありましたか?

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
セブンセントラルはやはり社内において象徴的な事例になっていると感じます。新たなアーキテクチャのあり方や開発スピードについて、意識ががらりと変わりましたし、DXの大きな流れの原点となっています。

グーグル・クラウド・ジャパン 石積氏:
エンジニアとしては、短納期で高性能なものを開発して会社に貢献できたという事実は何よりも自信に繋がるでしょうね。そういった視点でも社内へのPR効果は絶大だったのではないでしょうか。

  • 石積氏の座談会中の写真

    グーグル・クラウド・ジャパン 石積 尚幸氏

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
夢のような性能を実現したおかげで、社内でも大きく期待を寄せられています(笑)。しかしロジックまで埋め込んでしまうと、いくら Google Cloudといえど複雑化してしまいますから「セブンセントラルはあくまでもリアルデータ基盤」だと、システムの役割に応じて線引きしていくことが重要ですね。

クラウドエース 杉山氏:
プロジェクトを達成したことから得た教訓や、副産物などはありますか?

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
セブンセントラルはこれまで大きな障害が一度も発生していません。このことから「クラウドは堅牢性が劣るのでは?」という懸念が社内で払拭されました。クリティカルなシステムをつくる際も、クラウドを活用するという判断ができるようになってきたのです。また、今回のプロジェクトをきっかけに開発期間やコストを合理化できました。メンテナンスがリーズナブルで安心感のある Google Cloud のメリットを享受して、ロジックやアプリ開発にシフトしていけるようになったのは大きな進歩だと感じています。

  • 力説する西村氏と話を聞く吉積氏

    座談会の様子

トレンドを推測し、21,000店舗の品揃えを最適化していく

クラウドエース 杉山氏:
今後の展開はどのようにお考えでしょうか?

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
ひとつの店舗ごとに、どのような品揃えが求められているのか、社内外のデータを利活用してITで推論できるようにしていきたいですね。POSの動きがリアルタイムで取れるようになったので、お客様の属性や地域データなどと組み合わせることで、見えてくるものがあると思っています。

クラウドエース 吉積氏:
地域ごとのトレンドの時差や違いがわかると面白そうですね。

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
いまはSNS上の反響データや機械学習を活用すれば「ここでトレンドになったら半年後に拡大波及する」といった因果関係も読み取れるかもしれません。こうした新しい取り組みにチャレンジできるのもインフラの制約から脱却できたからこそです。

グーグル・クラウド・ジャパン 石積氏:
大規模なデータマネジメントやAPI連携、機械学習などによって、お客様一人ひとりのエクスペリエンスを向上させるのは、Googleの得意としていることです。今後もセブン-イレブン・ジャパンさんのビジネスにぜひ貢献していきたいと思います。

クラウドエース 杉山氏:
最後に、西村様から読者に向けたメッセージをお願いします。

セブン-イレブン・ジャパン 西村氏:
セブンセントラルが第一回のGoogle Cloud Customer Award に選ばれたことは、とても誇りに思っています。日本の一企業の取り組みが、グローバルで評価されることもあるのだと励みになりました。日本企業のDXは遅れているなどと聞くと悔しいので、「日本のDXは凄い」と言われるように皆様と切磋琢磨していければと思います。

  • 「OPENDX Summer」が投影されたサイネージ前に並ぶ4名

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