10年前に米国で誕生し、ウォルマート、Hulu、京セラなど国内外の多くの企業が採用するBIツール「ThoughtSpot(ソートスポット)」。Googleのキーワード検索のような操作性とAIによる自動分析で、現場がより簡単にデータ分析できる世界観を実現している。ThoughtSpotは、いかにして企業のDXを加速するのか。ThoughtSpot シニア ソリューション エンジニア 赤栗雅史氏が、6月23-24日に開催されたTECH+ EXPO 2022 Summer for データ活用「データから導く次の一手」でデモンストレーションや事例を交えながら解説した。

  • ThoughtSpot合同会社シニア ソリューション エンジニア 赤栗雅史氏

なぜ現場や経営層によるダッシュボード利用が進まないのか

従来のBIツールをはじめとするデータ分析ツールは、BIチームや情シス部門がレポートやダッシュボードを作成し、現場が閲覧するという利用方法が一般的だった。しかし、これだけDXやデータ活用の重要性が叫ばれるなか、現場や経営層によるダッシュボードの利用はほとんど進んでいないのが現状だ。

赤栗氏によると、その背景には、「市場やビジネスが変化していくなか、同じレポートを見続けていても新たな疑問や質問に答えることはできない。現場で何か気づいた点や調べたい点があった場合も、権限がなかったりツールの操作が難しく自分ではできなかったりなどの理由により、スピーディーな判断に利用できない。ダッシュボードの作成には時間とコストがかかりすぎている」といった課題があるという。

こうした課題を解消するのが、ThoughtSpotである。キーワード検索によって、自分が見たいデータベースやデータを誰でも簡単に確認できるようになるだけでなく、検索結果を各種グラフとして表示させることも可能なため、現場でレポートの作成まで行うこともできる。このように経営企画や営業、店舗従業員など現場部門のメリットも大きいが、BIチームの工数削減も期待できる。

「ThoughtSpotは、ダッシュボードの作成も可能だがそれだけでなく、現場のビジネスユーザー自身が検索やAIによるインサイトを活用して気づきを得たり、データドリブンなビジネスを展開していけることが特徴」(赤栗氏)

検索とAIでデータを簡単に深堀りしていける

続いて赤栗氏は、デモンストレーションを行った。以下の画面は、ThoughtSpotで作成したダッシュボードの例となる。折れ線グラフのほか、地図やヒートマップなど各種表現方法はひととおり用意されている。

たとえば、下記のように特定の地域で売上が大きく変動した年月の要因を詳しく分析したい場合、「売上 中部 商品カテゴリー」と検索窓に入力すると、商品別の売上高がグラフ形式または表形式で表示される。

さらに「2020年度 月単位」と入力すると、商品カテゴリーごとに当該期間中の売上データの月別推移が出力される。

ThoughtSpotにはドリルダウンの機能もあり、さまざまな軸から深堀りしていくことも可能となっている。下記は、地図からドリルダウンしてより詳細な項目を見ていきたいときの画面例となる。

AI分析機能もThoughtSpotの大きな特徴の1つだ。「SpotIQ」というAIエンジンがユーザーの利用履歴から学習し、インサイトを導出する。

今回のデモンストレーションの例では、売上が増大した要因について、店舗や商品単位での分析結果がレポートとして表示された。これが適切なインサイトだった場合は「いいね」を押してフィードバックすることにより、システム全体がさらに賢くなっていく形だ。

スピーディーな導入が可能

多くの企業が分析基盤をクラウドへ移行するなか、クラウドデータウェアハウスに大量のデータを保存して扱うことができるようになってきている。この流れを受けてThoughtSpotは、クラウド間連携により効率的にデータ分析基盤を構築できるようにしている。また、SaaSでの提供となっており、サーバーの用意やインストール、バージョンアップは不要だ。SnowflakeやGoogle BigQueryなどのクラウドデータウェアハウスと組み合わせて利用する形となり、クラウドデータウェアハウスにデータが入っていれば、特別な実装を追加することなくそのままThoughtSpotが使えるため、スピーディーに導入することが可能となる。こうしたThoughtSpotの仕組みについて赤栗氏は、「大量のデータを扱うことに長けており、現場がサクサクとデータウェアハウスにアクセスして分析するという世界を実現できる」と話す。

各業界で活用されるThoughtSpot

そして赤栗氏は、ThoughtSpotの活用事例について紹介した。

約2年前にThoughtSpotを採用した京セラでは、現在日本国内の全社員への導入を進めており、管理会計のデータなどを全員が確認できるようにすることで、同社のアメーバ経営を支える分析プラットフォームとして活用しているという。

ロッテでは、大量の調達データなどをもとにしたサプライチェーン分析のほか、マーケットから購入しているデータをもとに自社製品シェアの分析なども行っているという。役員向けのレポート作成にも活用しており、役員から質問を受けた担当者がドリルダウン機能やSpotIQ機能を使って打ち合わせ中にインサイトを共有するという使い方もしている。

NECネッツエスアイでは、SalesforceのデータをSnowflakeに蓄積しており、これをThoughtSpotで分析している。同社ではもともとSnowflakeを採用していたため、ThoughtSpotの導入後約1カ月というスピード感で実際の営業現場において利用開始できたという。

食品スーパーマーケットチェーンのベルクでは、100以上あるすべての店舗にThoughtSpotを導入。各店舗3-4人の従業員が日々活用しているという。同社の場合、店舗にはiPadが支給されており、各従業員がiPadのアプリから欠品情報や他店舗との比較など、新たな価値を見つけるためにデータや日々の実績を確認している。

小売店向けのDX支援サービスを展開するTangerine(タンジェリン)は、ThoughtSpotの埋め込み機能である「ThoughtSpot Everywhere」を活用し、センサーを用いた顧客の分析サービスを提供している。センサーデータのビジュアライズにおいて、ThoughtSpotの検索・レポート機能が活用されているという。


このようにThoughtSpotは、誰もが簡単にデータ分析を行えるようになることが特徴である。Excelの操作に苦労している、他のダッシュボードツールを入れてみたが現場で使われないといった課題を抱えている場合はぜひ検討してみてほしい。なお、ThoughtSpotではフリートライアル期間も設けられている。自社データで検索機能を試してみたい方は、活用してみてはいかがだろうか。

[PR]提供:ThoughtSpot合同会社