ITシステムにおけるストレージの重要性が増している。背景にあるのは、データの「量」と「質」の変化だ。 データの「量」の変化については、画像や動画などの大容量データが昨今は急増していることが象徴的だ。 とくに動画データは、ここ数年のあいだに、SD、HD、フルHD(2K)へと解像度が高まり、近年では4K/8K映像の展開が始まっている。 たとえば、同じ内容の映像を取り扱っていても映像が4Kから8Kになると解像度(画素数)は4倍になり、データ容量は2倍近く増加する。また、ウェビナーの録画データやビデオ会議のバックアップデータ、eラーニング教育向けの映像コンテンツなど、企業における映像データの活用が広がるなか、ストレージの存在がますます重要になってきている。

一方、データの「質」の変化については「ビッグデータ」という言葉が示すように、データが多様化してきている。たとえば、SNSのテキストデータや、IoT向けのセンサーデータ、機械学習向けの大量の画像データやメタデータ、クラウドシステムを含めたイベントデータ、ログデータなどだ。 このような多様な非構造化データをどのように取り扱うかという点が課題となっている。 ビッグデータの処理では、大容量のストレージを用意しておけば万事解決というわけにはいかない。膨大なデータを高速に処理したり、必要になったときに素早く検索し取り出せるストレージがポイントになる。

では、こうしたデータの量と質の変化にどのように対応していけばよいだろうか。 本稿では昨今のストレージ導入の難しさについて、2つの代表的なユースケースで考えてみたい。

ストレージ導入の難しさ(1)「バックアップストレージが盲点に!」

  • イラスト:理想と現実に悩む男性
・高速なエンタープライズストレージは導入価格が高い
・バックアップストレージが低速でバックアップ時間がかかりすぎる
・データの復旧に時間がかかりすぎて事業継続性に問題が…
・メインストレージが故障したときにバックアップストレージを転用できない
・最新インタフェースに対応したSSDが入手しにくい

1つめは「バックアップ向けの高速ストレージを導入したいが予算が足りない」というケースだ。これは、メインストレージに高速で大容量なストレージを導入したものの、バックアップストレージの整備に手が回らなくなることで発生しがちな課題だ。

エンタープライズ向けのストレージはそもそも高額だ。そのような高速で大容量のハイエンドストレージをメインストレージとして導入すると、導入コストだけで数億円を超えてしまうといった場合がある。そこで、低速で低価格なものをバックアップストレージとして採用したり、これまで使っていたメインストレージをバックアップ用途に転用することでコストを浮かせるといった工夫をすることが多い。

しかしこの場合、当然メインストレージに比べて、バックアップ用のストレージのパフォーマンスが落ちるため、結果的にストレージ全体のパフォーマンス劣化につながりやすくなる。通常業務時のバックアップ作業や、サイバー攻撃の被害を受けたときなどの有事の際にバックアップからデータをリストアする作業に想定以上の時間を要してしまい、業務や事業継続に影響を及ぼしてしまうのだ。また、メインストレージが故障した際にバックアップストレージで代替した場合も、バックアップストレージのパフォーマンスが悪いと、業務に支障をきたしてしまう。

加えて、ストレージメディアを入手しにくいという事情もある。現在のストレージで利用されるSSDは、接続規格としてU.3/U.2を採用していることがほとんどだが、U.3/U.2対応のSSDは世界的な半導体不足などの影響もあり、入手しにくくなっている。そのため、従来のSATA/SASを使い続けざるをえず、高速なメインストレージを導入してもメリットを享受できないケースも増えてきている。

バックアップの目的は、迅速な事業復旧や確実な事業継続にある。しかし、限られた予算内でのストレージ選定に目が奪われてしまった結果、本来の目的が達成できなくなってしまったわけだ。

ストレージ導入の難しさ(2)「SSDの"過信"によって思わぬトラブルに遭遇!?」

  • イラスト:クレームを受ける男性
・オールフラッシュストレージを導入したいが高い
・SSDの寿命を気にしなくてもよくなったと聞いたのに…
・TBW、DWPDって何?
・せっかくのSSDなのに期待したIOPSが実現できない

2つめのユースケースは「SSDへの過信によって、思わぬトラブルに遭遇してしまう」というケースだ。 データの量や質の変化を受けて、企業ではより高速なストレージとして、オールフラッシュアレイ(AFA)を採用するケースが増えている。HDDと違って回転する物理メディアのないSSDは、ランダムリードやランダムライトがケタ違いに速い。たとえばHDDは、SATAでは1台のディスク当たり250MB/s程度の書込速度が限界だが、SSDはPCIe Gen3 x 4で3.8GB/sといった書込速度も実現可能だ。SSDのRAID構成などで数十万IOPSを実現するストレージ製品もある。 またSSDは故障率が低く、消費電力も少ないため長期運用したときの運用コストが劇的に低下するといったメリットがある。

もっとも、SSDを全面採用したオールフラッシュストレージは価格の高さがネックになりやすい。また、SSDには素子の書き換え回数に制限があるため、一定の期間で「寿命」を迎えることも課題で、TBW(Tera Byte Written)やDWPD(Drive Write Per Day)といった指標で書き込み回数を管理する必要がある。しかし近年ではストレージベンダーやSSDベンダーの技術開発力が向上したことを受け、SSDの寿命を気にする必要はほとんどなくなったという。

ここで注意したいのは、TBWやDWPDをまったく気にせずともよいというわけではないことだ。というのも、ストレージ装置のなかでSSDのRAIDを組んだり、SSDの部分的な交換作業などが発生したときに、書き込み回数にずれが生じたり、管理ソフトウェアでうまく管理できないケースが発生することがあるからだ。 TBWやDWPDの数値がメーカーの保証範囲を超えた状態で利用すると、ストレージ性能が期待通りにならなかったり、それによってトラブルが発生してしまうなどで、結果的に運用負荷が高まってしまうのだ。

QNAPが提供するオールフラッシュNAS「TDS-h2489FU」に注目

こうした課題に対応するオールフラッシュ製品のなかでとくに注目したいのが、ストレージベンダーであるQNAP株式会社が提供するオールフラッシュストレージ製品だ。さまざまなストレージ製品を扱うQNAPだが、ここでは中小規模から大規模環境まで対応した高速・大容量のオールフラッシュNAS製品「TDS-h2489FU」を詳しく取り上げたい。

  • 製品画像:TDS-h2489FU

    TDS-h2489FU

TDS-h2489FUは、QNAPのフラグシップモデルの1つであり、100万IOPSを実現するストレージ装置を、市場価格の約6~7割とリーズナブルな価格で提供することが最大の特徴だ。「メインストレージとして高速なオールフラッシュがほしい」「メインストレージと同等性能のバックアップストレージがほしい」といったニーズを限られた予算のなかでも満たすことができる。

100万IOPSを超える高い処理性能は、デュアルIntel Xeon Silver 4300プロセッサと、24 U.2 NVMe Gen 4 x4 SSDベイによって実現されている。I/O集中型アプリケーションや遅延に敏感なアプリケーションを問題なく処理することができる。 また、スケーラブルな設計によって、データ容量の拡大にも柔軟に対応できる。具体的には、SAS 12Gb/s拡張エンクロージャに接続することで、最大ペタバイト規模のストレージ容量に対応可能だ。

ストレージ管理システムとしてはZFSベースのOSを採用しており、インラインデータ重複排除・圧縮のほか、SSD寿命を大幅に延ばす、特許取得済み技術であるQSAL(QNAP SSD Antiwear Leveling)を備えている。また、ネットワークが25GbEに対応しているため、仮想化やファイルへの集中アクセス、4K/8Kストリーミングなど、大容量データの高速転送を実現し、業務を高速化させる。 ネットワークが高速なため、バックアップ時間の短縮や、災害時のデータ復旧の高速化、バックアップストレージからメインストレージへの転用なども容易だ。

コストパフォーマンスが優れたTDS-h2489FUは、さまざまな企業の高速・大容量ストレージのニーズを満たす製品といえるだろう。

オールフラッシュNASや25GbEに対応したネットワークスイッチも提供

そのほかにQNAP製品のなかで紹介したいのが、デスク上に配置できるオールフラッシュNAS「TS-h1290FX」と、高速25GbEに対応したネットワークスイッチ「QSW-M5216-1T」だ。

  • 製品画像:TS-h1290FX

    TS-h1290FX

TS-h1290FXは、12ベイ U.2 NVMe/SATAを採用したオールフラッシュNASで、洗練されたデザインとほぼ静音の冷却性能が特徴だ。映像制作の現場やスタジオなどでの利用に最適で、AMD EPYC 16コア 7302P/8コア 7232Pプロセッサと内蔵25GbE接続を備えることで、負荷のかかる処理への対応や、スムーズなファイル転送、表示、4K/8Kメディアのリアルタイム編集が可能だ。

  • 製品画像:QSW-M5216-1T

    QSW-M5216-1T

QSW-M5216-1Tは、25GbEを16ポート搭載、820Gbpsのスイッチング性能を備えている点が特徴だ。サーバールーム内の25GサーバーやNASへのアップリンクを提供するコアスイッチとしての利用や、25G/10Gスイッチに接続して高速ストレージ、仮想化、AIアプリケーションの高速化にも活用できる。

いずれもリーズナブルな価格で提供されており、TDS-h2489FUと組み合わせて導入することで、各業務に応じた高度なストレージ環境やネットワーク環境を実現する。

  • イラスト:製品導入した男性

昨今のデータ量と質の変化を受け、ストレージはただ高速・大容量なだけでは適応できない時代に突入した。本稿ではストレージ導入の課題を取り上げなから、オールフラッシュNAS製品「TDS-h2489FU」「TS-h1290FX」とネットワークスイッチ「QSW-M5216-1T」の魅力について紐解いてきたが、QNAPではこのほかにも多彩なラインナップを取り揃えている。ストレージに求めるものや課題は企業によって千差万別だが、QNAPの製品群は高いコストパフォーマンスでビジネスを強力に支援してくれるだろう。

製品ラインナップ

「TDS-h2489FU」
「TS-h1290FX」
「QSW-M5216-1T」

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