労働人口の減少、法律の改正、コロナ禍によるテレワークの普及など、この数年の間に人事労務部門を取り巻く環境は大きく変わった。

2021年2月3日に開催されたマイナビニューススペシャルセミナーでは、ニューノーマル時代に向けた「人事労務部門の在り方」についてさまざまな講演が行われた。その中から本稿では、働き方改革における「戦略的人事」の重要性を説いた、株式会社SmartHR 人事労務 研究所 所長 執行役員 副島智子氏の講演を紹介する。

  • 株式会社SmartHR 人事労務 研究所 所長 執行役員 副島智子氏

今、なぜ働き方改革が必要なのか

「そもそも日本の生産性は、米国と比較すると30~40%、サービスの質を考慮しても50%程度と言われています。しかし、労働基準法の改正によって労働時間の削減が求められ、さらに50年後に日本の労働人口は半減する見通しです。このような状況の中で企業が成長していくためには、働き方改革の実践による生産性の向上が必須となります」(副島氏)

2020年より施行されている改正労働基準法では、これまで事実上の青天井だった時間外労働に明確な上限が定められた。この上限を超えた場合、たとえ残業手当を支払っていても罰則が科される。

さらに、労働安全衛生法の改正により、「労働時間の客観的把握」が義務付けられるようになった。例えば、本人が自己申告した退勤時間は19時であったにもかかわらず、業務で使用しているPCの使用ログは21時になっていた場合、2時間の差がプライベート(例えばオンライン飲み会など)なのか、それとも残業だったのかを「客観的」に把握しなければならない。

「改正労働基準法や労働安全衛生法を遵守することは、会社が生産活動できる時間の原則が変わるということでもあります。社員個人ではなく、会社全体として法律で定められた上限の中で生産活動を行う。これを新しい常識として受け入れていかなくてはなりません。働き方の常識は、時代によって変化していくものなのです」(副島氏)

加えて、少子高齢化に伴う労働人口の減少も課題視されている今、労働の効率化と生産性の向上を図るためには、「自社で働ける人材を増やすための取り組み」と「チームや人が活躍できるための取り組み」が必要だ。

「働く人材を増やすには魅力的な会社であることが必要です。そして、チームや人に活躍してもらうには、長期にわたって働いてもらえるようにしなければなりません。法令を遵守し、業務を効率化して働きやすくする。これらの活動が従業員にどのような影響を与えているのかについて、データを集め、分析を行い、改善する。これからの人事労務部は、そうした取り組みを実践する手段を考えていくことがミッションとなります」(副島氏)

働き方改革を実践する第一歩は人事労務部門の負担軽減

前述した「データを集め、分析を行い、改善する」取り組みを行う上で、副島氏は「人事データの活用」に着目している。

SmartHR社とHR総研が実施したアンケート調査「HR総研×SmartHR共同調査レポート」によると、人事データの活用に関して「非常に重要だと感じる」との回答が39%、「ある程度重要だと感じる」が54%となり、全体の9割以上が「人事データの活」を重要だと感じていることが明らかになった。一方で、「データ活用に取り組んでいる」という回答は32%に留まっている。

また、人事データを活用する上での課題としては「人事データの十分な収集ができていない」が45%、「人事データの一元管理ができていない」が48%と半数近くを占めた。

これらの調査結果からは、多くの企業が人事データの活用ができていないことが見て取れる。その要因として副島氏が指摘するのが「人事労務部門のリソース不足」だ。

採用、労務管理、給与支払いなど、人事労務部門の業務は多岐にわたる。複数の業務を兼務しているケースも多く、繁忙期には長時間の残業を強いられることもある。多忙を極める現在の状況では、ミッションを遂行するすべを考える余裕もない。

「戦略的人事活動の第一歩は、人事労務担当の業務を効率化して負荷を下げ、人事データの活用について考える時間を作ることです。そしてもう一つ、戦略的人事活動に欠かせないのは人事データを整えることです」(副島氏)

前述したアンケート結果にもあるように、人事データを活用するには「十分な収集」と「一元管理」が必要となる。そして、それを実現するソリューションが、SmartHR社が提供するクラウド人事労務ソフト「SmartHR」だ。

SmartHRが実践する人事データ活用術

SmartHR社では、自社製品であるSmartHRを用いて、人事労務に関する情報の入力から各種書類の作成、そして手続きまで、全てオンライン上で行っている。

例えば、新たに社員が入社する場合、採用が決まった社員にSmartHRへの招待メールが送られる。本人がフォームに必要な情報を入力すると、そのデータに雇用契約書や秘密保持誓約書などが紐付けられる仕組みだ。書類のやり取りはオンライン上で行われるため、紙の出力や郵送、そして捺印した書類のファイリングといった作業も不要となる。紙の書類で同様の手続きを行った場合と比べると、効率の差は歴然だろう。

また、SmartHRには人事データの分析に特化したBIツール「ラクラク分析レポート」がアドオン機能として用意されている。同ツールでは、会社案内やIR資料を作成する際に必要な年度ごとの従業員数などのデータをワンクリックで集計できるほか、人事として必要な指標を集計/可視化したり、共有したりといったことも容易に行える。

働き方改革の実施や各種法規制対策にも、人事データの活用は威力を発揮する。例えば、社員の平均残業時間、有給取得率、離職率などの推移を把握して働き方改革のKPIを設定し、PDCAを高速に回すことで課題を改善していくといった具合だ。

「これまで、人事労務部門の業務はオペレーションが多くを占めていました。しかしこれから企業が生き残っていくためには、“自社で働ける人材を増やすための取り組み”と“チームや人が活躍できるための取り組み”を考えて実行する戦略的人事へと変わらなければなりません。

私たちSmartHRは、そのために何ができるかを常に考え、取り組み、改善を繰り返し、その内容は『SmartHRオープン社内報』でアウトプットしています。ぜひ、皆さんとも一緒に考えていければと思います」(副島氏)

なお、SmartHRのWebサイトでは、人事データを活用した戦略的人事を実践している事例が多数紹介されている。興味のある方はぜひご覧いただきたい。

●SmartHR導入事例:https://smarthr.jp/case/

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