トラック・バスの国内最大手メーカーである日野自動車の販売会社、愛知日野自動車。日野の親会社、トヨタのお膝元である愛知県内を市場とする同社は、日野の優れたトラック・バスを顧客のもとへと届け、アフターサービスに努めることによって「スムーズな物流」を支えている。

創業以来70年にわたり、顧客の声に耳を傾けながら、最適な車の提供と、迅速かつ信頼性の高いサービスを提供してきた同社では、新たな営業スタイルを確立するべく、「Salesforce」を採用。その狙いや効果、今後のビジネス戦略において、愛知日野自動車の代表取締役常務 営業本部長 澤田 明正 氏に話を聞いた。

サイロ化した営業支援システムが効率的な営業の妨げに

愛知日野自動車が扱う商材は、その性質上顧客の大半は法人企業であり、なかでも運送業が多い。そのため、いかに効率的に顧客情報を管理して、車検や定期メンテナンスなど顧客への営業チャンスが高まるタイミングを見逃さないようにするかは、とりわけ重要な課題となる。

「トラックやバスを購入するお客様というのはほぼ固定されており、それらを使ってビジネスをするプロですから、製品はもちろんアフターサービスに関しても見る目が厳しいです。もしもメンテナンスが十分でなく車が止まってしまったら、売上にも直結するのでシビアになるのも当然と言えるでしょうね」(澤田氏)

しかし、日野自動車グループの販社42社が使用する同システムには顧客情報や車両情報が集約されているものの、それぞれの情報がサイロ化してしまっていて、顧客同士のつながりなどを一気通貫で見ることができなかったのである。このため、営業スタッフは自らの勘や経験に頼ったり、頻繁に顧客を訪問して販売機会を逃さないよう努力をしていた。

「当然ながらこうした状況を改善したいと、新しい営業支援システムを探していたのですが、どれも帯に短し襷に長しでなかなか当社の条件に合うものが見つからなかったのです」と、澤田氏は振り返る。

また、働き方改革を進める愛知日野自動車にとって、営業スタッフの残業時間を低減するためにも、顧客情報の一元化による仕事の効率化が求められたのである。

  • 愛知日野自動車株式会社 代表取締役常務 営業本部長 澤田 明正 氏

    愛知日野自動車株式会社 代表取締役常務 営業本部長 澤田 明正 氏

営業のプロも驚嘆させたレスポンスの速さ

そうしたなか、Salesforceに注目した澤田氏が日野自動車や他県の販社の知り合いに相談したところ、どちらからもSalesforceに強いベンダーとしてテラスカイを推薦された。早速Webサイトにアクセスし、営業支援システムに関する課題について問い合わせたところ、10分も待たずに電話があり、翌週にはテラスカイの担当者が同氏のもとを訪問し、課題解決に向けたアプローチが記された企画書を提出したのだった。

「2016年8月のことでしたが、長年営業に携わってきた身として、そのレスポンスの速さと親身な対応には驚きと関心を持ちました。テラスカイの担当者には、我々がやりたいことをすべて話したところ、後日のプレゼンには我々の求めているものがしっかり表現されていましたね」と澤田氏は話す。

そしてテラスカイを通してのSalesforce導入を決定すると、当初のうちは1週間に2回という頻度で何度もデモ画面を見せてもらいながら、要件定義を行った。

「自動車ディーラーの目標というのは、売上金額ではなく売上台数であって、それに売上金額がついてくるというイメージです。まずそこをしっかりと理解してもらったうえでシステムをつくりこんでもらいました。開発担当者とダイレクトにやり取りさせてもらったのもありがたかったですね。例えば『これをやりたい』と言えば、『このままは無理ですが、こういうやり方なら可能ですがいかがでしょうか?』といったように、率直な意見と改善案をすぐに返してもらえましたから。そうした結果、最終的にはやりたいと思っていたことがほぼ実現できるようになりました」(澤田氏)

こうして愛知日野自動車では、営業支援システム(SFA)にSalesforce Sales Cloudを採用し、2017年6月から運用をスタートしたのだった。

Salesforceに顧客情報を集約し営業アプローチの効率化を実現

Salesforceを導入したことで、車を起点としたターゲットリストの作成が可能となった。例えば、検索画面から、車検切れが近い車など任意の条件で車両を検索し、選択した車両からターゲットリストを作成して営業をかけるといったスタイルを実現したのである。

「今は車の売り上げの8、9割は、新規購入ではなく古くなった車両の更新によるものです。そのため営業の現場では、『そろそろ車検が切れますがどうしますか?』『いい下取り価格が付くと思うので見積もりを出させてもらえませんか?』『貴社の最近の仕事に最適な車を提案させてください』といった、お客様とのやり取りがとても重要になります。『いい新車がありますよ』と言うだけでは絶対に売れません」と、澤田氏は言う。

顧客情報を登録する際には、まず既存の営業支援システムに登録して、そこから自動的にSalesforce側にも反映するようにした。別々に入力することで手間が増えるのを避けるためだ。 画面から業界内の部会などをクリックすれば、所属する顧客を一覧として表示することもできるようになるなど、顧客同士の縦の関係も横の関係も一覧として見ることができるようになった。また、現在では保険やリースの満期が近づくと、どの書類を揃えればいいのかまでシステムが教えてくれるようになった。

「とにかくこれ以上営業スタッフに必要なものが思いつかないぐらい、営業がしやすくなりましたね」(澤田氏)

頻繁な改修と機能追加で思い通りにシステムを進化

愛知日野自動車におけるSalesforceのSFA活用の第二ステップとなったのが、2018年9月にスタートした車検予約システムだ。以前は、トラック・バスを修理メンテナンスするためのドックが空いているかどうかは社内に持ち帰らないとわからなかった。そこで営業担当者が出先からでも、サービス担当者の予約整備車両や予約可能残数などのリアルタイムな情報を、Salesforceを用いてわかるようにしたのだった。

続いて2019年5月末には、先述したように保険に関する情報もSalesforce上で扱うようになった。さらに2020年2月からは、新車購入時に同時に中古車両の査定も行えるようにしたのだった。そして現在では、Web電話帳の作成に向けてPoCを進めるなど、CRM領域に力を入れている。

Salesforceは、営業スタッフの残業時間低減にも貢献しているようだ。もともと営業スタッフはiPadを支給されていたことから、Salesforce導入後は出先からでも日報の作成が可能となったことも労働時間短縮につながっている。また、顧客に見せる営業資料も作成する必要がなくなったという。

澤田氏は、「当初は2週間に一回くらいの頻度でテラスカイに改修をお願いしていました。するとそれに応えてくれるので、思い通りのことができてしまう。そうしてより使いやすいシステムに仕上げていくことができました」と評価する。

営業成果アップのスタッフも続出

今やSalesforceは愛知日野自動車の営業スタッフの間にすっかり定着しており、効率的な仕事の遂行に欠かせない存在となっている。

「上から使えと命じるのではなく、システムを使えば車検や保険の情報もとりやすくなって仕事が楽になり、営業成果もアップするような環境を整えることで、自発的な利活用を促していました。そのため2、3年かかってやっと現場に定着させることができましたが、それで良かったと実感しています。現場スタッフのITリテラシーも向上したので、今後のさらなるIT活用も進めやすくなると期待しています」(澤田氏)

実際、Salesforceを活用することで営業成果が上がった営業スタッフは多いという。さらに現在、同社ではSalesforceの顧客情報と連携する名刺管理システムの開発に向けて動き出している。

「今後も、やりたいことがあればまっさきにテラスカイに相談していきます。できること、できないこと、できないけれどこうすればできるなど、率直な回答や提案を素早く返してくれるので、信頼と期待は大きいですね」と、澤田氏は笑顔で語ってくれた。

  • 愛知日野自動車株式会社 代表取締役常務 営業本部長 澤田 明正 氏

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