シーメンスは2020年7月15日、3次元CADソフトウェアの新バージョン「Solid Edge 2021」を発表した。その詳細は8月26日にWeb上で行われるイベント「Solid Edge 2021 Virtual Launch」で正式に明かされる。本稿ではイベントに先駆けて「Solid Edge 2021」が実現するデジタルトランスフォーメーション(DX)の一部をご紹介したい。

  • Solid Edge 2021

    Solid Edge 2021

シーメンスはデジタル改革を推し進めるための手段としてDXの必要性を説いており、「Solid Edge 2021」もまたその戦略の流れに乗ったものだ。

これまでの製造業は、設計(デザイン)、製造(リアライズ)、作りこみ(オプティマイズ)という3つのフェーズでモノづくりを行ってきた。だが世界が変革していく中で、製造業の開発の仕組みはこのままでよいのだろうか? シーメンスはこの3つの流れをデジタル化によって統合し、シームレス化することで製造業をDXすることを提案している。

より柔軟なデザインが行える「サブディビジョン・モデリング」

「Solid Edge 2021」では、メカ設計の機能が拡充、強化される。リバースエンジニアリングのパフォーマンス強化といったコア部分のスピードアップも行われているが、今回の最大の目玉といえる機能といえば「サブディビジョン・モデリング」だろう。

サブディビジョン・モデリング

「サブディビジョン・モデリング」は、3Dのポリゴンメッシュを細分化し、格子の一つひとつにコントロールポイントを設定したもの。コントロールポイントを引っ張ることで自由な変形を行ったり、コントロールポイントを移動させることで曲面を作ったりできる。

  • サブディビジョン・モデリング

    サブディビジョン・モデリング

これまでSolid Edgeでは2Dにのみコントロールポイントがあり、3Dにはなかった。しかしこの「サブディビジョン・モデリング」によって、3D CADソフトウェアであるSolid Edge上で、3D CGソフトウェアのように造形を自由にコントロールできるようになる。この機能はデザインに強い「NX」にはすでに実装されていたが、それがSolid Edgeでも可能となったと考えるとわかりやすいだろう。

3Dプリンタの普及が進むことで設計から出力までのプロセスは短縮化が進んでいるが、「サブディビジョン・モデリング」によってデータ変換を行うことなく、かつSolid Edgeを離れることもなく意匠設計が行えることで、より裾野が広がるはずだ。

アダプティブ・ユーザー・インターフェース

「アダプティブ・ユーザー・インターフェース」は、Solid Edgeを操作するユーザーの行動をAIが学習し、先読みして候補となるコマンドを列挙してくれる機能。いわばコマンドの“おすすめ”機能だ。地味な機能だが、コマンド数が多く場合によってはメニューの階層が深くなりがちな3D CADソフトウェアにおいて、頻繁に行う作業の流れをスムーズにできる利点は大きいだろう。

3Dモデル検索エンジン「3D Find it.」の統合

CADENASが運営する3Dモデル検索エンジン「3dfind.it」との統合が進み、Solid Edge上からシームレスな形状検索が可能となる。たとえばフランジのような形状の部品を探したいときは、同じような円筒形の簡単なデータを作って検索を行えば、類似形状の部品を列挙できる。インターネットに接続している必要はあるが、事前設計段階での手間を大きく軽減してくれる。

  • 3D Find it.

    3D Find it.

エレキ設計とのコラボレーションを強化

エレキ設計もさらに拡張され、メカ設計との連携がより密になる。大きなポイントはパネルレイアウトとワイヤリング、そしてSolid Edgeのシミュレーション機能の強化だ。

従来は論理的な回路設計のみが可能だったが、新たに寸法の概念のあるパネルレイアウトが行えるようになる。これまでPCBなどは装置内でしか配置できなかったが、新たに制御盤の設計も可能となった。

  • パネルレイアウト

    パネルレイアウト

Solid Edgeが備えるFLOEFD(流体解析)と構造解析の連成解析が可能となった。これまで流体の流れだけを解析していたが、新たに圧力の値が周辺部品へどのような影響を与えるかまで計算可能。これによって流体によって起こり得る経年劣化や不具合が解析できるだろう。

  • FLOEFD

    FLOEFD

拡張されるクラウド機能

新たなポータルサイト「Teamcenter Share」が2020年夏ごろにオープンする。シーメンスは従来から「Solid Edgeポータル」を無償で公開してきたが、その機能がさらに充実し、利用できるデータストレージが100GBまで拡大される。無償の「Solid Edge ポータル」も引き続き利用できるが、さらに上のコラボレーション環境を求めるのであれば、新しい「Teamcenter Share」がお勧めだ。利用価格は追って発表される予定だが、CADファイルはもちろんのこと、2D/3Dの各種ファイル、設計仕様書のドキュメントといったさまざまなデータの保存・共有が可能だ。

  • Teamcenter Share

    Teamcenter Share

「Solid Edgeポータル」ではクライアントのデータのアップロードは手動で行う必要があったが、「Teamcenter Share」ではクライアントとポータルで自動的にデータ同期できるため、つねに最新のデータが共有される。さらに、スマホのカメラと連携するAR表示にも対応。たとえば「Teamcenter Share」にアップされたデータをダウンロードし、実際の現場に設置した様子を確認するといったことが可能だ。

新型コロナウイルス流行の影響により、製造業においてもテレワークが急激に浸透を始めている。「Teamcenter Share」はそのようなテレワークの需要をキャッチアップし、より柔軟なコラボレーションを実現するものだ。

テレワーク時代を見据えたコラボを強化するシーメンス

2020年8月26日に行われるイベント「Solid Edge 2021 Virtual Launch」のキーワードは「ニューノーマル時代のクラウド設計環境」だ。今回の「Solid Edge 2021」も含め、シーメンスは顧客のニーズを具現化するという姿勢を示している。

同社では、ユーザーサポート窓口で吸い上げられる顧客からのリクエストや、ユーザーグループと開発部門とのコミュニケーションなどを通じて、ユーザーの満足を得るにはどうすればよいかを検討し、新バージョンの開発にあたっている。

そう考えると、今回のバージョンアップ内容はコロナ禍の影響が強いことがわかるだろう。コラボレーションの強化は以前からの流れではあったが、テレワークへの対応という方向性がより明確に示されている。

なお、「Solid Edge 2021 Virtual Launch」は以下の内容で取り行われる。特に目玉である「サブディビジョン・モデリング」と「Teamcenter Share」は本邦初公開となるため、興味のある方はぜひこのオンラインイベントに参加してほしい。

「Solid Edge 2021 Virtual Launch」を開催!

開催日:2020年8月26日
時間:14:00~16:00
参加費:無料
プログラム:
・デジタルトランスフォーメーションとデジタル改革
・今メカ設計に求められるもの / Solid Edge 2021
・新クラウドコラボレーション / Teamcenter Share
・ビジネス改革はデータ管理から / Solid Edge with Teamcenter

>> イベント「Solid Edge 2021 Virtual Launch」の詳細はこちら!

[PR]提供:シーメンス