デル株式会社(以下、デル)は中堅企業支援のためのデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)支援として無償の教育コースの提供を開始した。これはDXを中堅企業においても推進するための継続的な施策のひとつとして2020年7月から9月にわたって全8回のオンラインセミナーを無償で提供するもので、コースの開発と講習には奈良先端科学技術大学院大学(以下、奈良先端大)、株式会社dToshの協力を受けている。

デルは毎年行っている中堅企業のIT投資動向調査から、大企業に比べて中堅企業はDXの実践が遅れているという結果をもとに、実践的にDXを進めるための施策として「中堅企業DXアクセラレーションプログラム」という奈良先端大のメンターが中堅企業を支援するなどのプログラムも平行して実施している。今回の機械学習実践教育コースは、プログラミング言語としてPythonを選択し、機械学習にフォーカスして実際にプログラミングの入門からデータ処理、深層学習の実践までをグループワークを取り入れながらリモートで行うという野心的な試みだ。

“個人のプログラミング実習×チーム開発”を実現した「産学連携プログラム」の中身とは?

冒頭の挨拶に登壇したデル株式会社 広域営業統括本部 フィールドセールス本部 中部営業部兼西日本営業部 部長 木村 佳博氏は、リカレント教育について言及し「DXが進まないことの背景には、学生から社会人になる段階で学びの機会が少なくなっていることがあるのでは?」という考察をもとにデルとして中堅企業を支援するための継続的な学びの機会を提供する重要さを解説した。

2020年6月に行われた追加調査でも、デジタル化のためには人材育成の内製化が重要である認識を中堅企業の76%が持っていることを解説した。これまでのようにシステム開発を外部のベンダーに頼るのではなく、自社のビジネスをITで改革するためにはビジネスを理解して実践している社内の人材が新しい領域に積極的にチャレンジする必要があるとの考えが今回の教育コースの背景にある。

  • 76%の中堅企業が「人材育成の内製化」を重視

この教育コースがいわゆる座学だけの講習に留まらず、一歩踏み込んだ形式になっていることに注目したい。特に参加者が複数回のセミナーを全て履修することを前提としていること、リモートによる演習でありながら個人のみならずグループワークを指向していること、株式会社dToshが開発したプログラミング教育に特化した「カメレオン」というツールを活用していること、複数の講師が連携してサポートする体制をとっていることなどリモートトレーニングでありつつも演習を通じて最大限のサポートを用意している。

このような形式の教育コースは、実際に集合形式の研修であれば当たり前に提供可能な内容だが、それを全てオンラインで行うということにデルが挑んだチャレンジと言えるだろう。その背景についてデルの担当者と奈良先端大の講師にインタビューを行った。 「日本では産学共同の活動があまりうまくいっておらず、中堅企業においては顕著だと思います。中堅企業が悩んでいるのが社員の教育という部分だと思います」と語るのはデル株式会社 上席執行役員 広域営業統括本部長 瀧谷 貴行氏だ。また奈良先端大の博士研究員であり、株式会社dToshの代表取締役社長も務める平尾俊貴氏も「デル様とは産学連携という観点で1年弱、色々な企画を一緒に進めています。今回もその一環なんです」と語り、デルと奈良先端大が中堅企業に対する施策として産学連携と社員教育というふたつのゴールを共同で目指していることを説明した。

  • 産学連携プログラムのイメージ図

また7月15日(水)の第1回目終了後に実施したアンケートによると、特に参加者から好評だったのは、プログラムの特長であるグループワークだという。横のつながりが少なく情報が入ってきづらい中堅企業にとって、さまざまな業界や異なるビジネスで活躍する参加者との対話は新たな発見をもたらすことが明らかになったのだ。

またデルにとってはこの教育コースプログラムが単発で終わるのではなく、中堅企業DXアクセラレーションプログラムに繋がる継続した顧客支援のひとつとして位置付けられていると木村氏は語る。

続けて、瀧谷氏は「中堅企業のDXを支援するプログラムにおいての壁は経営層の理解だと思います。社員が一生懸命新しいテクノロジーにチャレンジして、それを実際に現場で使えるようにするという判断は経営者が行うわけです。なので経営者はテクノロジーをしっかりと理解して頂く必要があり、私たちはその部分をしっかりとサポートしていきたいと考えています」と語った。 また「事前に動画を見て予習したり、復習においても講師陣がしっかりサポートすることで集合教育よりも大きな効果を出すことができるのがオンラインの利点です」と平尾氏は語った。

全8回でPythonの基礎からデータ処理、機械学習、深層学習までを網羅

最後に第1回目の講義内容について紹介しよう。人工知能については開発されてきた道程を振り返り、大まかな分類を紹介した。特にルールベース、機械学習、表現学習、深層学習についてそれぞれの例を示しながら解説した。

  • 人工知能の分類に関する解説

ルールベースはチャットボットで利用されており、機械学習はスパムメールの判定に使われていたとして「データからパターンを自動で抽出」できることがその特徴であると解説した。また深層学習についてはGoogleが発表した大量の画像データから特徴を抽出して、学習データを与えなくても機械的に人間の顔や猫の顔を判定できるようになった研究からもわかるようにこれまでの人工知能のレベルを飛躍させることが可能になったことを紹介した。この説明で参加者にとっては「あれはそうやって作られていたのか?」という気付きや「ひょっとすると今の仕事に使えそうかも?」といったひらめきを与えることに成功していたのではないだろうか。

  • 深層学習の深さについて解説

後半では株式会社dToshが開発した「カメレオン」を使用した演習が行われた。進み具合に合わせて段階的に問題を提示し、Pythonのソースコードとして書いて実行、エラーや結果も即座に表示され、わからない時は「助けて!」ボタンで質問ができる。これだけでも個人向けには最適だが、チャットでグループの参加者と対話できる機能もあり、個人のプログラミング実習だけにとどまらず「チーム開発」のためのツールとしても設計されており、オンラインでのグループワークでは十分な機能を果たしていた。

  • カメレオンの操作画面

今回は第1回目の講義を解説したが、9月までの期間にPythonの基礎からデータ処理、機械学習、深層学習までを網羅することで、データから特徴を抽出して判定するという機械学習の基本的な内容を実習ベースで学習できることことになる。またオンラインでの参加者同士が知り合える懇親会も予定されているのもグループでのコミュニケーションを重視していると言えるだろう。

  • 全8回で構成される養成講座

デルとしては中堅企業支援のためのさまざまなプログラムを実施しており、同様の教育コースをこれ以降も開催することを予定しているという。詳細はデルのホームページを参照して欲しい。

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