移り変わるビジネス環境とクラウドサービスへの期待

宮崎県宮崎市を本拠地とする宮崎電子機器は、UMKテレビ宮崎グループにおけるOA事業会社として1983年に設立。富士ゼロックスの特約店として複合機やプリンタなどのOA機器のほか、PCやサーバー、NAS、ネットワークといったIT機器を提供している。さらに、多くのベンダーソフトウェアの販売やソリューションサービスを提供するとともに、オフィスの業務改善提案から導入・サポートまでを一貫して行うワンストップサービスも展開している。国内外問わずオフィスに必要な機器やサービスを「的確に提案し、迅速な保守対応を行ってくれる」と評判で、県内企業のサポート役として信頼を勝ち得ている。

とは言え、近年の国内ビジネス環境は決して楽観できるような状況ではなく、それは宮崎県でも同様だ。旧来のOA/IT機器の販売・保守のみで大きく成長することは困難と判断した同社では、セキュリティサービスやクラウドサービスの提供により力を入れている。

宮崎電子機器 営業企画部 ソリューション&サービス課 課長 青木俊博氏

宮崎電子機器 営業企画部 ソリューション&サービス課 課長 青木俊博氏

「特にクラウドサービスは、人材不足の解消や柔軟な労働環境の実現を目指す働き方改革の広がりもあって、宮崎県内でも注目度が上昇しています。まだまだオンプレミスが中心とはいえ、基幹システムや会計システムなどからクラウド化を図る企業も増えつつあります」と、宮崎電子機器 営業企画部 ソリューション&サービス課 課長の青木俊博氏は述べる。

こうした近年のビジネス環境の変化、顧客のクラウド化への注目度を鑑みて、宮崎電子機器では新しいクラウドサービスの提供が必要だと考えたのだ。とは言え、いわゆるパブリッククラウドサービスは、“大規模で通信事業に精通した事業者のもの”というイメージが強く、同社でも実現は難しいと捉えていた。

そうした悩みの中、青木氏らは「RIO Cloud」の紹介を受ける。RIO Cloudは、アイ・オー・データ機器、アール・アイ、クラウディアンの3社が協同で提供するプラットフォームだ。NASやPCのデータをAmazon S3準拠のオブジェクトストレージ「CLOUDIAN HYPERSTORE(以下、HYPERSTORE)」にバックアップ/仮想化する「自社クラウドサービス」を構築することができる。

「RIO Cloudを活用したサービスが沖縄県で始まったと聞いて、当社でも似たようなクラウドサービスが実現できないかと検討しました。当初は、AWSやMicrosoft Azureなどのパブリッククラウドをベースに考えていたのですが、ストレージコストが不明瞭なため、顧客に提案しにくいという問題があったのです。もともと当社はアイ・オー・データ機器の製品を取り扱っており、同社製NASの導入企業が多いこともあって、RIO Cloudを活用しようと考えました」(青木氏)

MDクラウドひなたが短期間でスタートできた理由

宮崎電子機器はもちろん、県内でも初めてRIO Cloudを活用したクラウドサービスである。そこで同社は、当時アール・アイに所属していたNEXT GO 代表取締役 社長の石坂俊成氏の全面的な支援を受け、単なる技術やシステムだけでなく、事業として何が実現できるのか、どうやって実現できるのかを、経営陣を交えて議論を行った。

NEXT GO 代表取締役 社長 石坂俊成氏

NEXT GO 代表取締役 社長 石坂俊成氏

「RIO Cloudのプロジェクトは、『小規模企業へ低コストに安心・安全を提供したい』『地域密着型のサービスを支援したい』という想いで推進されています。一般的なパブリッククラウドの従量課金制は総コストが見えにくく、中小企業では採用しにくいのが現状です。一方のRIO Cloudは、事業者にとっても投資額が明確で、料金体系もシンプルにしやすいのが特長です。技術・製品がパッケージングされており、3社の全面的な技術支援によって小さな負荷ですばやくサービスを開始できるのも、宮崎電子機器には最適な選択肢だと考えていました」と、石坂氏は振り返る。

宮崎電子機器は、以前から“チャレンジしよう”“おもしろいことをやろう”という文化が醸成されていた。そのため経営陣の決断も早く、スピーディに全社的なタスクチームが形成され、将来の中核を担う事業を目指して舵が切られた。新しいクラウドサービスは「MDクラウドひなた」と名付けられ、「ひなたバックアップ」と「ひなたデスクトップ」の2つのサービスから開始されることになった。

宮崎電子機器 営業企画部 ソリューション&サービス課 係長 永田賀久氏

宮崎電子機器 営業企画部 ソリューション&サービス課 係長 永田賀久氏

「ひなたバックアップはNASのデータバックアップを、ひなたデスクトップはPCのストレージ仮想化を、宮崎県内に設置している当社のクラウドストレージで実現するサービスです。利用料はデータ容量と、PCにインストールするエージェントの台数のみのシンプルな体系にとどめました。NASもPCもバックアップデータも、当社がオールインワンでサポートするため、一般のパブリッククラウドのように顔が見えない不安はありません」と、宮崎電子機器 営業企画部 ソリューション&サービス課 係長の永田賀久氏は説明する。

前述したとおり、MDクラウドひなた(RIO Cloud)の中核を担うストレージサービスは、HYPERSTOREが担っている。宮崎電子機器の評価テストでも、レスポンスの高さが評価につながった。

「よく知られるストレージサービスをNASのバックアップ用途で試したことがあるのですが、どうにも不安定で反応の悪いことが多々ありました。HYPERSTOREはいつでも安定的で、確実にバックアップデータを取得できます。Amazon S3への完全準拠のため汎用性が高く、冗長化やレプリケーションなど多様な機能を活用しやすいのもポイントです」(永田氏)

宮崎電子機器のMDクラウドひなたは、ローンチ以前のプレス発表から注目度が高く、県内企業から多数の問い合わせを受けたという。安全性と利便性を両立するサービスとして、“働き方改革”に苦慮する顧客の期待も大きいようだ。

宮崎県から広がる新しいサービス、IoTやAIなどにも注力

宮崎電子機器のMDクラウドひなたは、まだ始まったばかりだ。決してクラウド化が早いとは言えない県内企業に、“顔が見えるクラウドサービス”として提案し、そのメリットを広めていきたいとしている。

石坂氏によれば、他地域でのRIO Cloud採用も進んでおり、ビジネスの連携が可能であれば、より強力なDR環境を提供できるようになるという。宮崎電子機器でも、そうした協業に注目しており、より安全で安心できる環境の提供を目指したいとしている。

また同社は、クラウディアンの技術が単なるストレージにとどまらず、IoTやビッグデータ、AIなどの領域へ広がっていることに着目している。

「宮崎県は第一次産業が多く、PCすらない現場も少なくありません。一方で、IoTやAI、クラウドなどの先端技術が活躍するチャンスは多いはずです。HYPERSTOREをベースとしたMDクラウドひなたを中核に、より新しいサービスを提供することができるのではないかと考えています。クラウディアンには、より新しい技術を開発し、新しい活用方法を提案してほしいと願っています」(青木氏)

  • 集合写真

[PR]提供:クラウディアン